人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

鈴木秀美 ✕ 石上真由子 ✕ 山形交響楽団でベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、シューベルト「交響曲第8番”ザ・グレート”」を聴く ~ フェスタサマーミューザKAWASAKI

2023年07月31日 00時08分19秒 | 日記

31日(月)。月末を迎えたので、いつもの通り7月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシック・コンサート=15回(今夜の公演を含む)、②映画鑑賞=18本、③読書=6冊でした ①はこのほか公開リハーサルを1回見学しました。②は短編映画が含まれているので多くなっています。③は6冊のうち2冊はまだブログアップしていません 今月は超ハードスケジュールでいささか疲れましたが、8月もコンサートが15回あります 熱中症に気をつけて乗り切りたいと思います

【追記:6時45分】スマホのツイッターのロゴが今朝、「ツイッター・ブルー」から「 X ブラック」に変わりました ブラック・ジョークだと思いました

ということで、わが家に来てから今日で3121日目を迎え、香港民主派支援などに取り組んできた中国の元人権派弁護士、慮思位氏が渡航先のラオスで現地の警察当局に連行されたことが29日分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国・習近平政権は 反政府主義者が世界中のどこにいても 見つけ出して逮捕する

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで、「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「山形交響楽団 山響 ✕ 鈴木秀美 ~ クラシックの神髄プログラム」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」、シューベルト「交響曲第8番 ハ長調 D944 ”ザ・グレート” 」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=石上真由子、管弦楽=山形交響楽団、指揮=鈴木秀美です

当音楽祭に初参加となる山形交響楽団は1972年、東北初のプロオーケストラとして創立(団員49名)されました。常任指揮者=阪哲郎、首席客演指揮者=鈴木秀美、ミュージック・パートナー=ラデク・バボラーク、桂冠指揮者=飯森範親という布陣です

 

     

  

拍手の中、オケのメンバーが配置に着きます オケは8型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります ホルンは古楽器=ナチュラル・ホルンを使用します。コンマスは犬伏亜里さんです

1曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が旧知のヴァイオリニストのフランツ・クレメントの依頼により1806年にたったの1か月で作曲、同年12月23日にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の石上真由子は1991年京都生まれ。京都府立医科大学卒という異色の経歴の持ち主。日本音楽コンクール第2位など国内外の受賞多数   この人が素晴らしいのは、オーケストラとの共演のほかに、自主企画を次々と実行しているところです

石上真由子が白地に銀のラメ入りのエレガントな衣装で登場、中央でスタンバイします

鈴木秀美の指揮で第1楽章がティンパニの4連打で開始されます 通常のティンパニを固いマレットで叩いているのか、バロック・ティンパニを使っているのか不明ですが、古楽器のような音がします オケだけの演奏に続いて、独奏ヴァイオリンが入ってきますが、演奏を聴いていて違和感を覚えました これまで聴いてきた石上の演奏は自然で美しいヴィブラートが大きな特徴だったのに、それがまったく見られません いったいどうしたのか・・・と、しばし考えてみましたが、1楽章が終わるころに、ハタと気が付きました 指揮者は古楽の大家・鈴木秀美です 弦楽器はヴィブラートをかけない古楽奏法を採用します 石上は鈴木 ✕ 山響に合わせてノン・ヴィブラートで演奏しているのではないか、と

終盤のカデンツァは耳慣れない曲想でしたが、刺激的な曲想で面白く聴きました ベートーヴェン自身はカデンツァを作曲していないので、クライスラー、ヨアヒム、アウアー、シュ二トケなどによるものか、あるいはベートーヴェン自身がこの曲をピアノ協奏曲に編曲したバージョンのカデンツァだったのかもしれない また、第2楽章の終盤のカデンツァはそれに輪をかけて面白い曲想だった 第3楽章でもカデンツァが独特で、面白く聴けた チャレンジ精神旺盛な石上のこと。あまり演奏されない作曲家のカデンツァを使用したのではないか・・・と思って、帰りがけに案内ボードを見たら「カデンツァ 松崎国生編」とありました あとで石上さんのツイッターを見たら、「松崎君が書いてくれたカデンツァを勝手にアレンジしまくり」と書かれていました 要するにベートーヴェンの主題をもとに松崎氏がカデンツァを書いて、それを石上さんが即興でアレンジして弾いたということのようです ベートーヴェンを現代に息づかせるという意味では理想的な演奏だと言えるかもしれません

満場の拍手に石上は、ベートーヴェン「七重奏曲 作品20」から第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」(松崎国生編)を軽快に演奏し、再び大きな拍手に包まれました

ところで、開演直前、ステージ下手の方から言い争いの声が聞こえてきました 女性が甲高い声で何かを言い、最後に「何なのよ」と叫び、男性が「もう始まるんだから」と注意を促している様子です コンマスも気がついて、不安そうにそちらの方を見ていました 私はその時、舞台袖の奥で出演者とスタッフの間でトラブルがあったのかな? でも本番直前では有り得ないし・・」と思っていました。コンサート終了後、電車の中でツイッターを見ていたら、舞台袖の奥ではなく、その上の2階Lブロックで女性が騒ぎ出したらしいことが分かりました いくつかのツイートをまとめると、体調が悪そうな女性にレセプショニストが気づかいの声をかけたところ、「どうしても聴きたいのよ」と叫びながら床に寝そべっていた、ということです これについては「2階Lブロックにヤバいオバサンがいた」「オケの人たちも気が付いていた」「演奏者に失礼だろ」といったツイートが複数見られました そういえば、演奏終了後にホールの出口で係員に何やらしつこくクレームをつけている女性を見かけましたが、あれが当該者だったのだろうか

いずれにしても、オケの楽員がスタンバイし、あとはソリストと指揮者の登場を待つだけのタイミングで、大きな声を出して自己主張するのは「演奏妨害」です 体調が悪いのならコンサートに来るべきではないし、途中で気分が悪くなったのならレセプショニストの助けを借りて会場から出て休憩所で横になって休むべきです あまりの猛暑続きの異常気象のせいで、こういう唯我独尊・自己中心・四面楚歌・猪突猛進・因果応報・排他的経済水域のような行動に走る者が出てきたのかと驚きを禁じ得ませんが、演奏者や聴衆に迷惑をかける行為は断じて許せません 当該女性には猛省を求めます あなたにコンサートを聴きに来る資格はありません もっとはっきり言います。もう2度とコンサート会場に来るな

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「交響曲第8番 ハ長調 D944 ”ザ・グレート” 」です   この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1825年から28年にかけて作曲、シューベルトの死後、1839年1月にウィーンに滞在していたシューマンが、シューベルトの兄の家を訪問した際に、この交響曲の楽譜を発見、同年3月21日にメンデルスゾーン指揮ゲヴァントハウス管弦楽団によりライプツィヒで初演されました    第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ ~ トリオ」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

オケを見渡すと、ホルンのほかに、トランペットもトロンボーンも古楽器を使用していることが分かります

鈴木は暗譜で指揮をとります 第1楽章がナチュラル・ホルンの柔らかい音色で開始されます 演奏は速めのテンポでサクサクと進みますが、オーボエとフルートが素晴らしい 第2楽章ではオーボエの軽快な演奏に加え、クラリネット、ファゴットの演奏が冴えています またホルン、トランペット、トロンボーンといった古楽器の独特の柔らかい音が印象的です 第3楽章に入ると、私の悪い癖が出てきて、「何と長い曲なんだ シューマンが『天国的な長さ』と評したのが良く分かるよ なんでシューベルトは同じメロディーを何回も繰り返すんだ・・・」と口には出さず独り言ちます 第4楽章も同様です。それでも、これまでの他のオケの演奏と比べれば、古楽器奏法によるメリハリの利いた演奏が功を奏し、あまりしつこさは感じませんでした 全曲を通じて感じたのは、少人数の割には迫力のある音が出ていたことです 山響は侮れないと思いました

大きな拍手とブラボーの嵐の中、カーテンコールが繰り返され、楽員がセクションごとに立ち上がり拍手に応えました

鈴木 ✕ 山響はアンコールに、ベートーヴェン「オーケストラのための12のメヌエット  WoO7」から第11番を優雅に演奏、満場の拍手の中 コンサートを締めくくりました

 

    

    

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キンボー・イシイ ✕ マルティン・ガルシア・ガルシア ✕ NHK交響楽団でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」を聴く

2023年07月30日 00時25分41秒 | 日記

30日(日)。わが家に来てから今日で3120日目を迎え、香港の高等法院(高裁)は28日、抗議デモで歌われた楽曲「香港に栄光あれ」のインターネット配信などを封じる禁止令を却下した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国の傀儡政権では 行政も立法も絶望的だが 司法はまだ生きていた 司法を殺すな!

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで、「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「NHK交響楽団 ガルシアのラフマニノフと魅惑のシェエラザード」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」、②リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」です   演奏は①のピアノ独奏=マルティン・ガルシア・ガルシア、指揮=キンボー・イシイです

午後4時の開演に先立って、3時から「プレコンサート」がありました 曲目はボロディン「弦楽四重奏曲第1番 イ長調」から第1楽章と第4楽章です 演奏はヴァイオリン=横島礼理、村尾隆人、ヴィオラ=村松龍、チェロ=中美穂という若手のメンバーです

中を除く3人は立奏します 第1楽章はボロディンの有名な「ノクターン」を想起させる静謐な曲想です 第3楽章はその流れを引き継ぐように静かに始まりますが、途中から一転、スケルツォ風の軽快な音楽に変わります 4人のアンサンブルは聴きごたえがありました

 

     

     

指揮をとるキンボー・イシイは幼少期を日本で過ごし、12歳で渡欧。ウィーン市立音楽院でヴァイオリンとピアノを学ぶ 1986年に米ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイに師事するが、左手の故障のためヴァイオリンを断念、指揮に転向 小澤征爾、サイモン・ラトルらに師事。ベルリン・コミッシェ・オーパー首席カぺルマイスター、ドイツ・シュレースヴィヒ=ホルスタイン州立劇場音楽総監督などを歴任しました

会場は「完売御礼」の表示の通り、満席です

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは郷古廉(ごうこ すなお)です。ステージ中央にはガルシアがショパン・コンクールでも弾いたイタリアのメーカー「ファツィオリ」のピアノが置かれています どこから運んできたのだろうか

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です    この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1897年の交響曲第1番の初演の失敗の後、再起をかけて1900年から1901年にかけて作曲、1901年にモスクワで初演されました   第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のマルティン・ガルシア・ガルシアはスペイン生まれ。2021年クリーブランド国際ピアノコンクールで優勝。第18回ショパン国際ピアノコンクールで第3位並びに最優秀協奏曲特別賞を受賞しました

第1楽章がガルシアのソロにより開始されます 彼のピアノは打鍵が強く、特に低音部の重い音が床を伝わって届いてきます 弦楽合奏による渾身の演奏がソリストを盛り立てます とくにヴィオラ・セクションがいい音色で素晴らしい演奏を展開します 第2楽章ではピアノの一音一音の粒立ちが美しく、ロマンティシズムの極致をいく演奏が繰り広げられます フルートの神田寛明、クラリネットの伊藤圭の冴えた演奏がソリストを引き立てます 第3楽章ではガルシアの弾くファツィオリの高音部が美しく響きます そして、ソリストとオケとの丁々発止のやり取りによりアグレッシブな演奏が展開しますが、イシイは引き締まった指揮でオケを統率しソリストをサポートします

文字通り満場の拍手とブラボーに、ガルシアはラフマニノフ「13の前奏曲作品32」より第13番(変ニ長調「グラーヴェ」)を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半はリムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」です    この曲はニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844-1908)が「千夜一夜物語」に霊感を受けて1888年に作曲、同年ペテルブルクで初演されました    第1楽章「海とシンドバットの船」、第2楽章「カランダール王子の物語」、第3楽章「若い王子と王女」、第4楽章「バグダードの祭り ~ 海 ~ 船は青銅の騎士の立つ岩で難破 ~ 終曲」の4楽章から成ります

オケは16型に拡大し、ステージ下手にはハープの早川りさ子がスタンバイします

キンボー・イシイの指揮で第1楽章に入ります 冒頭「シャフリヤール王のテーマ」がオケの総奏で力強く演奏され、次いで「シェエラザードのテーマ」が郷古のヴァイオリン・ソロで演奏されます このテーマは全曲を通じて局面ごとに趣を変えて奏でられますが、これが素晴らしい ただ美しいというのではなく、ノーブル(高貴)な印象を受けます また、第1楽章と第2楽章を中心に、木管楽器群が素晴らしいパフォーマンスを展開します 神田簡明のフルート、伊藤圭のクラリネット、吉村結実のオーボエ、宇賀神広宣のファゴット・・・みんな素晴らしい また東響からの客演と思われるホルンの上間喜之の演奏も特筆に値します 辻本玲のチェロ独奏も素晴らしかった 第3楽章では弦楽アンサンブルの美しい響きが会場を満たしました 白眉は第4楽章です。とくに船が嵐で難破する場面は、荒れ狂う海の様子がオーケストラの総力を挙げての渾身の演奏で活写され、ド迫力で迫ってきました

キンボー・イシイは暗譜で指揮をとりましたが、さすがはオペラ指揮者 と思わせるドラマティックな曲作りに徹し、類まれな統率力でN響から最大限の力を引き出しました

私はこれまで、ライブで何回この曲を聴いてきたか分かりませんが、間違いなく今回の演奏がこれまで聴いた中でベストでした

繰り返されるカーテンコールに応え、リムスキー・コルサコフ「熊蜂の飛行」が目にも止まらぬ超高速で演奏され、聴衆の興奮は頂点に達し、熱気によって会場の温度が2度上昇しました  この日の演奏は、会場を満席にするだけの価値のある素晴らしい演奏でした

 

     

     

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大野和士 ✕ 久末航 ✕ 東京都交響楽団でグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調」、シベリウス「交響曲第2番 ニ長調」、ニールセン:狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想旅行」を聴く

2023年07月29日 00時09分12秒 | 日記

29日(土)。わが家に来てから今日で3119日目を迎え、中国の秦剛外相が解任された問題をめぐり、26日の中国外務省定例記者会見で相次いだ解任に関する質疑が、同省公式サイトの会見記録に一切掲載されなかったが、秦氏に関するその他の記述も全て消し去られている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     政府に不都合な情報は”無かったことにする”のが 習近平政権のやり口  秦氏は無事?

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ、甘酢ネギ胡麻だれ」「生野菜サラダ」「冷奴」「大根の味噌汁」を作りました 「豚バラ~」はタレが美味しいのでご飯が進みました

 

     

 

         

 

昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「東京都交響楽団 耳から納涼♪ 北欧名曲選」を聴きました プログラムは①ニールセン:狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想旅行」、②グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」、③シベリウス「交響曲第2番 ニ長調 作品43」です 演奏は②のピアノ独奏=久末航、指揮=都響音楽監督・大野和士です

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び。コンマスは山本友重です

1曲目はニールセン:狂詩曲風序曲「フェロー諸島への幻想旅行」です この曲はカール・ニールセン(1865-1931)がコペンハーゲンの王立劇場から、フェロー諸島からの一行の訪問を祝すガラ・コンサートのための委嘱を受けて1927年に作曲、同年11月27日に初演されました 初演時のプログラムには「穏やかな海 ~ 島への着陸 ~ 舞踏と歌唱 ~ 別れ ~ 海上の穏やかさ」という副題が各部に添えられていたとのことです

この曲は初めて聴きます。冒頭はティンパニによる弱音のロールで開始されます 中盤の「舞踏と歌唱」の部分に移ると急に賑やかになり、大太鼓の図太い音が1階席に座る身体に響きます 全体の曲想と流れとしてはスメタナの「モルダウ」に似ているな、と思いました

2曲目はグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」です この曲はエドヴァール・グリーグ(1843-1907)が1868年に作曲、1869年4月にコペンハーゲンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の久末航(ひさすえ  わたる)は2016年、メンデルスゾーン全ドイツ音楽大学コンクールで第1位、2017年には第66回ミュンヘン国際音楽コンクール第3位入賞を果たしています 現在、ベルリン芸術大学に在籍中

ピアノがステージ中央に配置され、コンチェルトなのでオケは12型に縮小します

冒頭はティンパニの強音のロールで開始され、独奏ピアノが力強く入ってきます 久末は奇をてらったところがなく、素直な演奏です 第2楽章で久末は、レガートでなく一音一音をクリアに丁寧に演奏します 第3楽章では一転、リズム感もよく躍動感あふれる演奏を展開します

終演後、大きな拍手の中、久末は大野氏と握手し、前に一礼、後ろに一礼し、カーテンコールが繰り返されますが、大野氏から「コンマスと握手をした方がいいよ」と言われ、握手をしていました(友重氏は苦笑していました)。あがっているのか、まだステージ慣れしていないのか分かりませんが、そこがまた良いところでしょう

久末はアンコールにリスト「巡礼の年 第1年 スイス」より第4曲「泉のほとり」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

ここ数年、若手の男性ピアニストの活躍が目覚ましいですが、久末も彼らの仲間入りができそうです

 

     

 

プログラム後半はシベリウス「交響曲第2番 ニ長調 作品43」です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1901年から翌02年にかけて作曲、1902年3月にヘルシンキで作曲者の指揮により初演されました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「テンポ・アンダンテ、マ・ルバート」、第3楽章「ヴィヴァーチッシモ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の4楽章から成ります

弦楽器は14型に戻り、大野の指揮で第1楽章に入ります 都響自慢の弦楽セクションのアンサンブルが美しい これは伝統なのでしょうね フルート、オーボエ、そしてブラス・セクションの演奏が冴えています 第2楽章では冒頭の低弦のピッツィカートに乗せて抒情的な演奏を展開するファゴットが素晴らしい 白眉は第3楽章から第4楽章に間断なく移行する部分の盛り上げでしょう まさにベートヴェンの運命交響曲のテーマ「暗闇から光明へ」を音楽化したようなハイライトです ホルン、トランペットといったブラス・セクションの輝かしい演奏と、フルート、オーボエといった木管楽器群の踏ん張り、弦楽器セクションの渾身の演奏により、壮大なフィナーレを飾りました

この日のコンサートは、北欧の風を受けて、酷暑の夏を一瞬忘れさせる公演でした

 

     

     

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セバスティアン・ヴァイグレ ✕ 樫本大進 ✕ 読売日響で細川俊夫「ヴァイオリン協奏曲”祈る人”」、モーツアルト「交響曲第31番」、シュレーカー「あるドラマへの前奏曲」他を聴く

2023年07月28日 01時29分01秒 | 日記

28日(金)。わが家に来てから今日で3118日目を迎え、北朝鮮の朝鮮中央通信は、金正恩総書記が26日、平壌でロシアのショイグ国防相が率いる代表団と面会したが、ロシアのプーチン大統領の親書が手渡され、「地域・国際安全保障環境について評価と意見を交わし、見解の一致をみた」と報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     強権主義国家同士が「意見の一致をみた」のは 核やミサイルで他国を脅すことだろ

 

         

 

昨日、夕食に「揚げジャガイモと鶏肉の炒めもの」「冷奴」「生野菜とツナのサラダ」「豆腐とオクラの味噌汁」を作りました 「揚げジャガ~」は小ぶりの新じゃがを使いますが、とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第630回定期演奏会」を聴きました プログラムは①モーツアルト「フリーメイスンのための葬送音楽 ハ短調 K.477」、②細川俊夫「ヴァイオリン協奏曲”祈る人”」、③モーツアルト「交響曲第31番 ニ長調 K.297 ”パリ” 」、④シュレーカー「あるドラマへの前奏曲」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=樫本大進、指揮=読響常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレです

 

     

 

オケは8型の小編成で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは長原幸太です アシスタント・コンマスは戸澤采紀さんによく似ていますが、違うかな 各弦楽セクションは首席クラスを揃え常任指揮者ヴァイグレに敬意を表しています

1曲目はモーツアルト「フリーメイソンのための葬送音楽 ハ短調 K.477」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が、フリーメイスンに加入した1784年の翌年に亡くなった2人のフリーメイソンの結社員を追悼するため1785年に作曲しました

ヴァイグレの指揮で演奏に入りますが、全体の曲想としては晩年の未完の傑作「レクイエム」を彷彿とさせる悲しみに満ちたもので、荒木奏美のオーボエが悲しみの旋律を静かに歌い上げました

2曲目は細川俊夫「ヴァイオリン協奏曲”祈る人”」です この曲は細川俊夫(1955~)がベルリン・フィル、ルツェルン響、読響の共同委嘱作品として2022年から翌23年にかけて作曲、2023年3月2日にベルリンで初演されました この作品は樫本大進に献呈されており、本公演が日本初演となります この曲は①序、②間奏曲、③祈りのうた、④闘争A、B、⑤浄化の5つの部分から成ります 作曲者はプログラム・ノートに「私は、音楽の起源はシャーマニズムの祝祭にあり、シャーマンの祈りの歌が根本にあるのだと考えている このヴァイオリン協奏曲でも、独奏者はシャーマンであり、背景のオーケストラはシャーマンの内と外に拡がる宇宙、自然であると捉えている」と書いています

曲は、独奏ヴァイオリンによる聴こえるか聴こえないか微妙なピアニッシモにより開始されます やがて抑制気味のオーケストラが加わり、ヴァイオリンとオケとの対話が展開します 樫本大進の演奏姿を見ていると、まるでストイックな修行僧のように見えます まさにヴァイオリンを通じて「祈っている」ように見えます 激しい「闘争」を経て「浄化」に移りますが、再び「祈り」の音楽が展開します 演奏時間にして25分程度の作品ですが、大半が弱音による「静」の世界で、緊張を強いられました こういう曲は苦手ですが、樫本の独奏ヴァイオリンは、これぞベルリン・フィルのコンマスによる唯一無二の素晴らしい演奏だと思いました

満場の拍手に、客席で聴いていた細川氏がステージに呼ばれ、大きな拍手を浴びました 樫本はアンコールにイザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番」より「サラバンド」を超絶技巧で演奏し、再度満場の拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はモーツアルト「交響曲第31番 ニ長調 K.297 ”パリ” 」です この曲は管弦楽団コンセール・スピリチュエルの支配人ジョセフ・ル・グロの依頼により1778年に作曲、同年パリで初演されました 第1楽章「アダージョ・アッサイ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります 当時の「交響曲」と言えば4楽章形式ですが、この曲は3楽章形式であることが大きな特徴となっています

ヴァイグレの指揮で第1楽章が開始されます 12型ということもあるかもしれませんが、重心の低いどっしりしたドイツ的な演奏が展開します 第2楽章ではフルートの倉田優、オーボエの荒木奏美、ホルンの日橋辰朗の演奏が冴え渡っていました そして、弦楽セクションの美しいアンサンブルが印象的でした 第3楽章に入ると、それまでフェルト付きのソフトなマレットを使用していたティンパニの岡田全弘が、固いマレットに代えて演奏したこともあり、メリハリの利いた愉悦感に満ちた演奏が繰り広げられました この曲におけるティンパニの役割は大きいと思います

最後の曲はシュレーカー「あるドラマへの前奏曲」です この曲はフランツ・シュレーカー(1878-1934)が自作の歌劇「烙印を押された人々」の前奏曲を拡大する形で1914年に作曲しました この歌劇の内容は説明すると長くなるので省略しますが、一言で言えばやるせない悲劇です

オケは14型に拡大し、管・打楽器も大幅に増員され、ハープ2台、ピアノ、チェレスタまで動員され、フルオーケストラ態勢をとります

ヴァイグレの指揮で演奏に入ります。思ったよりもロマンティックかつドラマティックな曲です 元が歌劇の前奏曲ということだけあって、日本の音楽界に置き換えれば「NHK大河ドラマ風」、あるいは「ハリウッド映画音楽風」なゴージャスな音楽です 曲想で一番近いと思うのはオーストリアの作曲家コルンゴルト(1897-1957)です 彼は「神童モーツアルトの再来」と騒がれ、1934年にハリウッドに移って数々の映画音楽を作曲しました

演奏は読響の総力を挙げてのゴージャスなもので、ヴァイグレと読響の面々に満場の拍手とブラボーが送られました ヴァイグレはコロナ禍でも来日し指揮をとっていました 読響との相性も抜群で、頼もしい常任指揮者だと思います

 

     

 

本日、toraブログのトータル訪問者数が250万 I P を超えました( 2,500,771 I P。トータル閲覧数は 8,042,352 P V)。   これもひとえに普段からご訪問くださっている皆さまのお陰と感謝申し上げます これからも毎日休むことなくド根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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高関健 ✕ 横山幸雄 ✕ 東京シティ・フィルでガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」「パリのアメリカ人」、バーンスタイン「シンフォニック・ダンス」「ディヴェルティメント」を聴く

2023年07月27日 01時38分27秒 | 日記

27日(木)。わが家に来てから今日で3117日目を迎え、ワシントン・ポスト電子版は25日、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏が武装反乱を起こした直後の6月24日、プーチン大統領が決断力を持って対応できず「まひ状態」に陥っていたと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンは臆病者ということで定評があるからな  信じられる部下がいない悲しさ

 

         

 

昨日、夕食に「アスパラとベーコンのバター醤油炒め」「生野菜サラダ・ナッツ乗せ」「冷奴」「シメジの味噌汁」を作りました まるでビールのつまみみたいな料理ですが、あえて否定はしません

 

     

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで、「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「東京シティ・フィル 新時代の先駆者たち ~ アメリカン・オールスターズ」を聴きました    プログラムは①ガーシュイン「パリのアメリカ人」、②同「ラプソディ・イン・ブルー」、③バーンスタイン「ウエストサイド物語」から「シンフォニック・ダンス」、④同「ディヴェルティメント」です    演奏は②のピアノ独奏=横山幸雄、指揮=常任指揮者・高関健です

 

     

 

拍手の中、楽員が配置に着きます。オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは戸澤哲夫です

1曲目はガーシュイン「パリのアメリカ人」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898-1937)がパリ滞在中の1928年に作曲、同年ダムロッシュ指揮ニューヨーク・フィルにより初演されました

高関の指揮で演奏に入りますが、パリにやってきたアメリカ人(ガーシュイン)が、大都会の喧騒の中でタクシーのクラクションに驚き、戸惑いながら彷徨う姿が生き生きと活写されます 金管楽器、とくにトランペットが素晴らしい 中盤では3人のサックス奏者が立奏して熱演を繰り広げたのが印象的でした 戸澤コンマスのソロも素晴らしかった

2曲目はガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」です この曲はポール・ホワイトマンの依頼により作曲、1924年にニューヨークで初演されました

ピアノ独奏の横山幸雄は1990年ショパン国際ピアノコンクールで歴代の日本人として最年少入賞を果たし、文化庁芸術選奨文部大臣新人賞など多数の賞を受賞 2019年には3日間でショパンの全作品を演奏するなど意欲的な活動で知られています

高関の指揮で、クラリネットの低音からのスリリングなグリッサンドで開始されます やがて横山のピアノが入ってきますが、パワフルな演奏で高関 ✕ シティ・フィルを挑発し、高関がそれを迎え撃つといったスリリングな演奏が展開します 終盤における横山によるカデンツァは刺激的で迫力満点でした ジャズのインプロビゼーションそのものといった演奏でした その後もソリストとオケとの丁々発止のやり取りによりアグレッシブな演奏が続き、圧倒的なフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーに横山は、ドビュッシー「前奏曲集  第2巻」から第6曲「奇人ラヴィーヌ将軍」を超絶技巧で演奏し、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はバーンスタイン「ウエストサイド物語」から「シンフォニック・ダンス」です この曲はレナード・バーンスタイン(1918-1990)が1957年に作曲、同年ワシントンで初演されました 曲は①プロローグ、②サムウェア、③スケルツォ、④マンボ、⑤チャチャ、⑥出会いの場面、⑦クール ~ フーガ、⑧ランブル(決闘)、⑨フィナーレから成りますが、切れ目なく演奏されます

高関の指揮で演奏に入ります 特に印象に残ったのは「サムウェア」におけるヴァイオリンとヴィオラのデュオ、「マンボ」におけるノリノリの演奏。高関は演奏中、客席の方を振り返り合図を送ります 楽員と客席が一体となって「マンボ」と叫びます。こういう仕掛けは楽しいですね そして終盤、激しい「ランブル(決闘)」を経て、フルートの抒情的な演奏に導かれて弦楽合奏が美しい調べを奏で、静かに幕を閉じます この時、バーンスタインは天才だな、と思いました

最後の曲はバーンスタイン「ディヴェルティメント」です    この曲は1980年にボストン交響楽団100周年を祝う曲として作曲、同年9月25日に小澤征爾指揮ボストン響により初演されました   曲は①セネッツとタケッツ、②ワルツ、③マズルカ、④サンバ、⑤ターキー・トロット、⑥スフィンクス、⑦ブルース、⑧イン・メモリアル ~ 行進曲「ボストン響よ、永遠なれ」の8曲から成ります

高関の指揮で演奏に入ります この曲は意外にも初めて聴きますが、特に印象に残ったのは「セネッツとタケッツ」の迫力ある演奏、「ワルツ」におけるヴィオラのソロ、「マズルカ」におけるオーボエとハープのコラボ、「ターキー・トロット」におけるユーモラスな音楽、「ブルース」における弱音器付きトランペットとテューバのグルーヴ感に満ちた演奏、そして最後の「イン・メモリアル ~ 行進曲『ボストン響よ、永遠なれ』」の「静から動へ」の見事な切り替えと 輝きに満ちた演奏です 行進曲ではピッコロと金管群が立奏により渾身の演奏を展開しました

会場いっぱいの拍手に、高関 ✕ シティ・フィルはアンコールに「イン・メモリアル ~ 行進曲『ボストン響よ、永遠なれ』」を再度演奏しましたが、終盤では楽員全員が立ち上がり、右を見たり左を向いたり、歩き回ったりして自由気ままに演奏、最後に一斉に弓(や楽器)を挙げてフィナーレを飾り、満場の拍手を浴びました やってくれますね

この日来場した人たちの一人でも多くの人がシティ・フィルのファンになって、定期会員になればいいな、と思いました

 

     

     

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フェスタサマーミューザ「洗足学園音楽大学 ~ バレエとオーケストラで魅せる物語」を観る ~ ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」から、グノー:歌劇「ファウスト」から他

2023年07月26日 00時01分17秒 | 日記

26日(水)。わが家に来てから今日で3116日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は24日、ロシア軍などの予備役対象となる年齢上限を5歳引き上げる改正法に署名した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ウクライナ戦で多数の犠牲者が出ている証拠だな プーチンが前線で戦えば良くね?

 

         

 

昨日、夕食に「ピーマンのチーズ肉詰め焼き」「冷奴」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」を作りました 「ピーマン~」はピーマンが大き過ぎて挽肉が足りなくなってしまいました。次回の反省材料にします 味はチーズと塩コショウが効いて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「洗足学園音楽大学 ~ バレエとオーケストラで魅せる物語」を観ました 毎年楽しみにしている公演です プログラムは①ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲、②ショパン「ロマンティック組曲」(ピアノ曲による)、③ベルリオーズ:劇的交響曲「ロメオとジュリエット」作品17から、④グノー:歌劇「ファウスト」からです 出演はバレエ=洗足学園音楽大学バレエコース、東京シティ・バレエ団(5名)、谷桃子バレエ団(1名)、牧阿佐美バレエ団(1名)、ピアノ=福島未紀、管弦楽=洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団、指揮=秋山和慶(洗足学園音楽大学芸術監督・特別教授)です

 

     

 

自席は2CA4列17番、2階センターブロック左から3つめです 私はバレエ公演に限って1階席は取りません 演舞の全体像を観るためには2階以上の席でないと把握できないからです。1階席を取っている人たちは、「わが家の娘」が出演しているのかもしれません 私も、娘が小学校の6年間クラシックバレエをやっていたので気持ちは分かります

ステージは奥のスペースに学生オーケストラがスタンバイし、手前のスペースでバレエが躍られます オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという並びです

最初はワーグナーの歌劇「タンホイザー」から序曲です この曲はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1843年から1845年にかけて作曲、同年ドレスデンで初演されました 1861年に改定版がパリで初演されましたが、その際に第1幕冒頭のヴェーヌスベルクの場面にバレエが加えられました

1~4年生によるバレエですが、皆さん素晴らしい 東京シティ・バレエ団の西澤一透はさすがはプロのバレリーナだと思わせるパフォーマンスを発揮しました

2番目はショパン「ロマンティック組曲」(ピアノ曲による)です これは戦後 活躍したバレリーナの谷桃子がフレデリック・ショパン(1810-1849)の音楽に触発されて創作した5曲から成る組曲です

使用曲目は、ショパン①プレリュード第17番 変イ長調 作品28-17,②ノクターン第20番 嬰ハ短調「遺作」、③エチュード 変ト長調 作品25-9 ”蝶々”、④ワルツ第10番 ロ短調 作品69-2,⑤プレリュード第16番 変ロ短調 作品28-16,⑥ワルツ「華麗なる円舞曲」第2番 変イ長調 作品34-1です

ピアノ演奏は洗足学園大学院修了の福島未紀です 2~4年生によるバレエですが、白の衣装で踊る「クラシックバレエ」のエッセンスを伝えるものです ショパンの曲とバレエということで思い出すのはフォーキンの「レ・シルフィード」ですが、まさに「レ・シルフィード」へのオマージュです 男女ソリストによる「ノクターン」、女性ソリストによる「エチュード」が特に印象に残りました

 

     

 

プログラム後半の最初はベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」作品17から抜粋です この曲はエクトール・ベルリオーズ(1803-1869)がシェイクスピアの同名の悲劇をもとに1839年に作曲、同年パリで初演されました 本公演では全体の中から①序章、②ロメオひとり、③悲しみ、④コンサートと舞踏会、⑤キャピュレット家の饗宴、⑥女王マブまたは夢の妖精ーが演奏されました

1~4年生に、東京シティ・バレエ団から男性3名、女性1名が加わった公演です プロは流石ですが、学生たちの頑張りが素晴らしい

最後の曲はグノーの歌劇「ファウスト」から抜粋です この曲はシャルル・グノー(1818-1893)がゲーテの原作をもとに1852年から59年にかけて作曲、1859年にパリで初演されました 初演時にはバレエの場面はありませんでしたが、1869年にパリ・オペラ座で上演された際に第5場に「ワルプルギスの夜」のバレエが加筆されました

1~4年生に、牧阿佐美バレエ団から1名が加わった公演です この公演では学生たちの素晴らしいパフォーマンスは言うまでもありませんが、秋山和慶指揮洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団による演奏が素晴らしい グノーの原曲がバレエに適していることもあり、学生たちが生き生きと踊っている様子が窺えます 秋山氏の手にかかると学生オケでもプロ並みの実力を発揮するようです

終わってみて、前年と比較すると、①前年が創作バレエを中心とする公演だったのに対し、今年は純クラシック音楽が使われている、②前年は2度休憩がありトータル2時間半くらいかかっていたのが、今年は1度の休憩でトータル2時間以内に抑えられているーという違いがあります この公演は親子連れも目立つので、帰りがあまり遅くなるのは困る、というアンケートが少なからずあったのかもしれません

学生の皆さん、素晴らしいパフォーマンスでした これからも頑張ってください 

最後に主催者側に希望を言わせてもらうと、ヴェルディ「アイーダ」で踊られるバレエを、来年是非取り入れてほしいと思います

 

     

     

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町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」を読む ~ 2021年「本屋大賞」第1位:同じクジラの仲間たちにも聴こえないような周波数で歌を歌う、世界で一頭しかいないクジラ

2023年07月25日 06時47分23秒 | 日記

25日(火)。わが家に来てから今日で3115日目を迎え、ウクライナ南部オデーサ州のオレフ・キぺル知事は、ロシア軍による23日未明のミサイル攻撃でユネスコの世界遺産に登録された州都オデーサの44棟の建物が被害を受け、うち25棟が歴史的建築に指定された建物であることを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     野蛮人プーチンにとって世界遺産など何の意味もない ウクライナを破壊尽くすだけ

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「鯖を塩焼き」にして、「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「鯵のタタキ」「舞茸の味噌汁」と一緒にいただきました 鯖は脂が乗って美味しかったです

 

     

 

         

 

町田そのこ著「52ヘルツのクジラたち」(中公文庫)を読み終わりました 町田そのこは1980年生まれ。福岡県在住。「カメルーンの青い魚」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞 2017年に同作を含む「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」でデビュー 「52ヘルツのクジラたち」で2021年「本屋大賞」を受賞しました

 

     

 

「52ヘルツのクジラ」とは、同じクジラの仲間たちにも聴こえないような周波数で歌を歌う、世界で一頭しかいないクジラのことです 大海原を巨大な身体で泳ぎながらも孤独を感じているます これは不幸な境遇のもとに生まれ、傷つき、理不尽な思いを抱えながらも ひたすら懸命に生きている者たちの象徴と言えます

物語の舞台は大分県の海辺の町です 自分の人生を家族から搾取されてきた若い女性・貴瑚(きこ)は、都会から逃げるようにしてこの地にやってきます 静寂を求めていたはずなのに、地方の狭い社会ならではの監視に晒され、あらぬ噂を立てられ、違和感だらけの生活を余儀なくされます そこに自分を「ムシ」と呼ぶ一人の少年が転がり込んできます 彼は母親から虐待を受けて、舌に煙草の火を押し付けられた結果、言葉が話せないのです 辛い思いをしてきた貴瑚と少年は似た者同士だったのです 貴瑚は辛いことがあるとテープに録音したクジラの鳴き声を聴いて、自分を鼓舞してきました そして、少年にもその声を聴かせ、自分の名前を言えない彼に「52」という名前を付けます 貴瑚は52の母親に会って、虐待を責めますが、母親は「子どもは生きていく上で邪魔だ」と取り付く島がありません 貴瑚は52を連れて、彼を責任をもって育ててくれる親戚を訪ねる旅に出ます 果たして貴瑚は52を安心して預けられる人を探し出すことが出来るのでしょうか

貴瑚には美晴という親友がいますが、美晴から職場の同僚・岡田安吾(アンさん)を紹介されます アンさんは貴瑚の苦しみを全身で受け止めてくれる”大事な人”になりますが、美晴はアンさんが貴瑚のことを愛しているのに自分からは決して言い出そうとしないことにイライラしています しかし、いずれその理由がはっきりします 著者はここで極めて現代的なテーマを提示しています

本書を読み終わって思い出したのは、娘に十分な食事を与えずに入院させ、共済金をだまし取った疑いで母親が逮捕された事件です 大阪府大東市の縄田佳純容疑者(34)は娘(当時8歳)に食事を与えず入院させ、共済金6万円をだまし取った疑いを持たれています 娘に下剤を与えるなどして低血糖症にさせ、入退院を繰り返させていたとみられ、その数は5年間で43回にのぼると言われています

この8歳の娘さんも、52ヘルツの歌を歌って誰かの助けを求めていたのだと思うと胸が苦しくなります 世の中には、まだ表面に出ていないだけで、親から虐待を受けている子供たちが少なからずいると思います 子供たちの「52ヘルツの歌」を少しでも早く聴くことができるよう、周囲の人たちは注意を払い、行政はシステムを整備・拡充すべきだと思います

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澤田誠著「思い出せない脳」を読む ~ 人の名前を思い出せない、さてどうする?・・・年をとって衰えるのは新しいことを『覚える力』ではなく『引き出す力』である

2023年07月24日 06時52分31秒 | 日記

24日(月)。手帳を見てため息をついています 明日=25日(火)から来週の8月2日(水)まで、9日連続コンサート(うち7日間はミューザ川崎)なのです この間、マンションの理事会もあるし、肺がん検診もあります 連日の酷暑の中、熱中症で倒れる訳にはいかないので、昨日に引き続き 今日も家で読書をして身体を休めることにします

ということで、わが家に来てから今日で3114日目を迎えロシア国営のRIAノーボスチ通信は23日までに、プーチン大統領は南アフリカのヨハネスブルクで8月下旬に開催予定の振興5か国(BRICS)首脳会議にはオンラインで参加すると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国際指名手配されてるプーチンが南アに行けば逮捕される 本音は行きたくないだろ

 

         

 

澤田誠著「思い出せない脳」(講談社現代新書)を読み終わりました 澤田誠は1958年香川県生まれ。東京工業大学大学院総合理工学研究科博士後期課程生命化学専攻修了。理学博士。専門は神経化学。2012年名古屋大学環境医学研究所所長に就任

 

     

 

スーパーに買い物に行って、5つの物を買うのに4つまでは予定通り買えたのに残り1つを買い忘れ、代わりに買う予定がなかった物を買って帰る・・・こんなことは日常茶飯事です どうしてこういうことが起こるのは??? これを防ぐにはどうしたら良いのか??? そんな時、書店で出会ったのがこの本です

本書は次のような章立てで構成されています

はじめに

序 章 記憶力が未来を決める

第1章 記憶を作れないと、どうなるか

第2章 情動が記憶を選別する

第3章 睡眠不足が記憶の整理を妨げる

第4章 抑制が働いて思い出せない

第5章 使わない記憶は変容し、劣化する

第6章 記憶という能力の本当の意味

おわりに

「序章」の中で、著者は「実は、年をとって衰えるのは新しいことを『覚える力』ではなく、『引き出す力』だという研究結果がある」とし、次のように説明を加えています

「なぜ、年を取ると引き出す力が弱くなるのか まず考えられるのは、加齢によって脳の細胞が減っていくことだ 特に『海馬』と呼ばれる脳部位の細胞は、他の部位より減りやすいことが分かっている 海馬は記憶の形成を司る脳部位だが、それだけでなく、形成した記憶を呼び戻すときにも活躍する そのため、細胞が減って海馬がうまく働かなくなると、脳内に貯蔵されているたくさんの記憶を引き出して活用することが出来にくくなる また、年を重ねて経験が多くなったことも、記憶の引き出しにくさに関係してくる。脳に貯蔵される記憶が増えるほど、神経細胞のネットワークは複雑になる 記憶の引き出しには、脳の複数の機能が関わっているため、間違えやすくなったり、引き出しにくくなったりする

そして「思い出せない時に、脳の中で起こっていること」を次の5つのパターンに分類しています

①そもそも記憶を作ることができなかった( ⇒ 第1章)

②情動が届かず、重要な記憶と見なされなかった( ⇒ 第2章)

③睡眠不足で記憶が整理されなかった( ⇒ 第3章)

④抑制が働いて、記憶が引き出せなかった( ⇒ 第4章)

⑤長い間使わなかったために、記憶が劣化した( ⇒ 第5章)

上記について第1章から第5章までで解説を加えています

第1章から学ぶ記憶力向上のポイントは「神経細胞を減らさないように、健康的な生活習慣を身につける」こと

第2章から学ぶポイントは「好奇心を持ち、心を動かしながら日々を過ごす」こと

第3章から学ぶポイントは「質の良い睡眠をとる」こと

第4章から学ぶポイントは「どうしても思い出せないときは、思い出すのをやめてみる」こと

第5章から学ぶポイントは「どうしても忘れたくない記憶は、定期的に思い出す」こと

私が冒頭でご紹介した「スーパーに買い物に行って、5つのうち1つは買うべきも物を買わず、買う予定のない物を買ってくる」という習性の原因は、第4章で解説されている「周辺抑制が発動した結果」であることが分かります 簡単に言えば、買い物に行って他の商品に目移りしてしまい、本来思い出さなければならないことが抑制されてしまったからです

「人の名前が思い出せない」ということに関して、著者は第6章の中で、エピソード記憶の重要性を語っています

「ピンポイントで必要な記憶を思い出せなくても、その記憶を担当している周辺の細胞が活性化したら、紐で引っ張るように、思い出したい記憶を引っ張り出すことが出来る エピソード記憶が思い出しやすく、意味記憶が思い出しにくい ある人と一緒にコーヒーを飲んで会話をしたというエピソード記憶は、引き出すための紐がたくさんある その人の見た目、コーヒーの香り、会話の内容、喫茶店の様子などだ。しかし、その人が何という名前だったのかは、意識的に覚えたのでなければ、引き出す紐は細く弱いものになる さらに、名前の文字列それぞれに様々な紐が付いているせいで、そちらに引っ張られて思い出すことができないこともあるだろう もし名刺交換したときに、『坂本さんか。坂本龍馬と同じですね』と会話していれば紐は2つになる 『坂本龍馬と同じ四国出身です。子孫というわけではないですが』などと相手が答えてくれたら、さらに関連情報が増えて、もう忘れることはないだろう

つまり、名前を意識的に何かに紐づけて覚えることが重要だということです 本書は専門的な内容が分かりやすく解説されています お薦めしておきます

最後に、本書のタイトルと著者名を言ってみてください

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ジョナサン・ノット✕東京交響楽団でチャイコフスキー「交響曲第3番」&「交響曲第4番」を聴く ~ フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023 オープニングコンサート

2023年07月23日 00時01分27秒 | 日記

23日(日)。わが家に来てから今日で3113日目を迎え、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵攻の停滞ぶりを批判してきた強硬主義派のイーゴリ・ギルギン被告(53)が21日、モスクワ市内の自宅で拘束され、市内の裁判所に出廷したが、最長で5年の禁固刑を科せられる可能性がある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンも大変だねぇ 国連からは卑怯と言われ 国内からは手ぬるいと批判される

 

         

 

宮城県白石市に単身赴任している息子にすき焼き用の牛肉を送ったら、「カルパッチョを作ってみた」というメールとともに写真が送られてきました わが家で料理が一番上手なのは息子であることを再認識させられました

 

     

 

         

 

今年も「フェスタサマーミューザ KAWASAKI」の熱い夏がやってきました 今年は7月22日から8月11日までの間、ミューザ川崎シンフォニーホールを中心に19公演が開催されます 昨日はミューザ川崎のフランチャイズ・オーケストラ、東京交響楽団によるオープニングコンサートが開かれました プログラムは①チャイコフスキー「交響曲第3番 ニ長調 "ポーランド” 作品29」、②同「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です 指揮は東響第3代音楽監督 ジョナサン・ノットです 早いもので、ノットは音楽監督として今年10年目を迎えたそうです

ミューザのサイネージには「完売御礼」が表示されています オープニング・コンサートで、ノットがチャイコフスキーに初挑戦するというレアな公演ですから当然と言えば当然でしょう

 

     

     

オケは14型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスはグレブ・ニキティンです

1曲目はチャイコフスキー「交響曲第3番 ニ長調 "ポーランド” 作品29」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1875年に作曲、同年モスクワで初演されました 第5楽章が「ポロネーズのテンポで」とあるため、イギリスで演奏されたときに「ポーランド」という愛称が付けられました 第1楽章「モデラート・アッサイ~アレグロ・ブリランテ」、第2楽章「アラ・テデスカ(ドイツ風に):アレグロ・モデラート・エ・センプリーチェ」、第3楽章「アンダンテ・エレジアコ」、第4楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィーヴォ」、第5楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の5楽章から成ります

この曲は馴染みが薄いのでナクソスのCDで予習し、メロディーを頭に叩き込んでおきました

ノットの指揮で第1楽章に入りますが、若干抑え気味という印象を受けます 第2楽章はワルツです 相澤政宏のフルート、荒絵理子のオーボエが素晴らしい 第3楽章は福士マリ子のファゴットが冴えています ホルンの独奏も素晴らしい 弦楽セクションの美しいアンサンブルを聴くと、メロディーメーカーとしてのチャイコフスキーの素晴らしさを再認識します 曲想で面白かったのは第4楽章です 速いパッセージによるきめ細かい演奏は、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」における妖精の飛翔を、あるいは「弦楽八重奏曲」のスケルツォを思い浮かべます 実に楽しい演奏でした 第5楽章では弦楽セクションが対抗配置をとっているメリットが生かされ、美しいアンサンブルを繰り広げました 最後はチャイコフスキーらしい、終わりそうで終わらない雄大な演奏が展開し、輝かしいフィナーレを飾りました

演奏が終わって振り返ってみると、ノットは楽章と楽章の間を十分に空けて、次の楽章に移っていたのが印象的でした

 

     

 

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第4番 ヘ短調 作品36」です この曲は1877年から78年にかけて作曲、1878年にモスクワで初演され、彼の経済的支援者ナジェージダ・フォン・メック夫人に献呈されました 2人は生涯に700通以上もの手紙を交わしながら、一度も会いませんでした メック夫人は「お金は出すが、口は出さない」というパトロネスの鏡のような存在だったようですが、編曲の仕事を通じてチャイコフスキーの才能を見抜いていたのでしょう 第1楽章「アンダンテ・ソステヌート ~ モデラート・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンティーノ・イン・モード・ディ・カンツォーナ」、第3楽章「スケルツォ:ピッツィカート・オスティナート」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

ノットの指揮で第1楽章に入ります 冒頭のファンファーレを聴いて、若干抑制気味だと思いました 金管を鋭角的に押し出して力強さを表現するというよりも、ソフトに包むように、あくまで美しさを第一に押し出して演奏しました そして、木管に歌わせる箇所ではテンポを落として存分に歌わせます オーボエ、フルート、ファゴットの演奏が素晴らしい フィナーレに向けてのテンポアップはノットならではのアグレッシブな姿勢が反映していました 第2楽章では、冒頭の荒絵理子のオーボエの抒情的な演奏が素晴らしい 弦楽セクションの美しいアンサンブルが会場を満たします 第3楽章はピッツィカートによる軽快な演奏が小気味よく響きました 第4楽章はシンバルの一撃で開始され、徐々にテンポアップしてオケ総動員によるアグレッシブな演奏が展開します ここまでくると「抑制」と言う言葉はありません そこにあるのは「熱狂」であり「歓喜」であり「勝利」です

ノットの指揮による演奏は、いわゆる”ロシア的な”パワーで押し切るようなタイプとは一線を画すものですが、そうかと言って、爆発すべきところは爆発します あくまでも理知的なバランス感覚が働いた音楽づくりに徹していると思います

満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されます ノットは木管、金管、打楽器、弦楽器を立たせて賞賛を求めますが、この日の演奏が東響最後となる首席トランペット・佐藤友紀氏にはひと際大きな拍手が送られました

この日の演奏を踏まえて、ノットは今後チャイコフスキー「交響曲第5番」と「同 第6番”悲愴”」を演奏するつもりがあるのだろうか・・・そんなことを考えながら会場を後にしました

 

     

     

     

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ジャン=リュック・ゴダール監督「小さな兵隊」を観る ~ アルジェリア戦争下で暗躍するスパイの悩みを描く / 藝大オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」のチケットを取る

2023年07月22日 07時02分02秒 | 日記

22日(土)。昨夜、元の職場NPCの若手社員T君とK君を誘い、内幸町のIビル地下の沖縄料理店Nで”暑気払い”をやりました 私はほとんど外で飲む機会がないので、本当に久しぶりでした 彼らの語る現在のNPCの現状について訊きましたが、たまにはこうした会合も お互いにとって良いものだと思いました 

ということで、わが家に来てから今日で3112日目を迎え、クレバリー英外相は19日、米西部コロラド州アスペンで開かれた安全保障フォーラムに出席し、ウクライナ侵攻を続けるロシアから「聡明で才能にあふれた若い技術者や実業家らが大挙して脱出している」「ロシア国民は不満を募らせている」と述べ、プーチン大統領の支持離れが進んでいる可能性に言及した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     多くの若者がロシアに見切りをつけて脱出してるから 子どもを誘拐してるんだろう

 

         

 

昨日は、私が暑気払いの飲み会だったので、娘の夕食に「うな丼」と「生野菜とアボカドのサラダ」を用意しておきました

 

     

 

         

 

10月7日(土)14時から東京藝大奏楽堂で開かれる「第69回 藝大オペラ定期公演 コジ・ファン・トゥッテ」のチケットを取りました 出演はフィオルディリージ=梅澤菜穂、ドラベッラ=倉林かのん、フェッランド=新海康仁、グリエルモ=植田雅明、デスピーナ=八木麻友子、ドン・アルフォンソ=田中夕也。管弦楽=藝大フィルハーモニア管弦楽団、合唱=東京藝大音楽学部声楽科3年生、指揮=佐藤宏充、演出=今井伸昭です 「コジ・ファン・トゥッテ」はモーツアルトのアンサンブル・オペラの代表作です 今から楽しみです

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でジャン=リュック・ゴダール監督による1960年製作フランス映画「小さな兵隊」(88分)を観ました

アルジェリアがフランスの植民地支配からの独立を目指して戦ったアルジェリア戦争の時代 報道カメラマンの青年ブリュノ(ミシェル・シュポール)は、ジュネーヴでの仕事を終えて、友人の紹介で出会った女性ヴェロニカ(アンナ・カリーナ)に一目ぼれする 実はブリュノにはOAS(秘密軍事組織)のエージェントという裏の顔があった 二重スパイだと疑われた彼にOASが下した新しい命令は、「反OAS的ジャーナリスト、パリフォダの暗殺」だった ブリュノは拒否したが、かつて軍隊を脱走したという弱みを握られていた ブリュノはヴェロニカとともに逃げるが、遂に追い詰められ、暗殺を引き受けざるを得なくなる しかしブリュノはなかなか撃つことが出来ない。ブリュノはOASにとって反逆者とされたが、動きをかぎつけたFLNに危険人物として捕らわれて、厳しい拷問を受ける やがてヴェロニカの手によって脱出したブリュノは、ヴェロニカの秘密を知る 彼女はFLNのスパイであり、任務はブリュノを監視し、OASとの接触を知らせることだった ヴェロニカはFLNに反逆し、ブリュノとともに国外逃亡を企てる。しかし、2人ともOASに捕らわれてしまう ブリュノはヴェロニカを救うためOASの要求を呑む。彼はついにパリヴォダを撃った

 

     

 

この映画は、ゴダール監督が後にパートナーとなるアンナ・カリーナを初めてヒロインに迎え、アルジェリア戦争を題材に極右のOAS(秘密軍事組織)とこれに対立する組織FLN(アルジェリア民族解放戦線)の間で翻弄されるスパイを描いた長編第2作です

映画ではOASとFLNが実名で登場し、両組織による拷問を批判的に描いたことにより上映禁止となり、1962年3月のアルジェリアの独立による停戦、同年6月のOASとFLNとの停戦からさらに半年を経た1963年になって ようやく公開されました

現在進行形の戦争を題材に取り上げ、ストーリーを構築していくことは相当勇気のいることだと思います 戦争はどっちが勝ってどっちが負けるか、終わって見なければ分からないからです その意味では、ゴダール監督の勇気と行動力は見上げたものだと思います スパイ映画で「実は相手の女性もスパイだった」みたいな展開はよくある手法ですが、この作品を嚆矢とするのだろうか

本作ではブリュノとヴェロニカが会話中に、ハイドンの交響曲のような軽快な音楽が流れます 残念ながら曲目までは分かりませんが、明るく明朗な音楽でした

ゴダール監督は「『小さな兵隊』は、鏡のなかに映る自分の顔が、自分の内面に思い描いている自分の顔と一致しないことに気づく男の物語である」と語っていますが、これはゴダール自身のことを言っているのかもしれないし、映画を観ている観衆一人ひとりのことを言っているのかもしれません

 

     

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