人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

キム・ミレ監督「狼をさがして」を観る 〜 1974年の東アジア反日武装戦線”狼”による連続企業爆破事件から45年:彼らを突き動かしたものは何か?

2021年04月30日 07時23分02秒 | 日記

30日(金)。わが家に来てから今日で2302日目を迎え、米連邦検察当局は28日、トランプ前大統領の弁護士を務めたジュリアーニ元ニューヨーク市長のマンハッタンにある自宅と事務所を家宅捜査し、コンピューターや携帯電話を押収したが、ジュリアーニ氏はトランプ氏の有利になるように、ウクライナ企業の役員だったバイデン氏の息子に関する不正情報の収集に当たり、その際、ジュリアーニ氏がウクライナ政府高官に対する高額な代理人契約交渉を進め、個人的利益を追求した疑惑が持たれている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプの周りに集まるのは 自分の利益しか考えない 胡散臭い連中ばかりじゃね?

 

         

 

昨日の夕食は、先日 娘が月島でお土産に買ってきた「月島 もんじゃ焼」にしました チーズを入れたら一段と美味しかったです

 

     

     

 

         

 

昨日、渋谷のシアター・イメージフォーラムでキム・ミレ監督による2020年製作映画「狼をさがして」(74分)を観ました

最初にお断りしておきます 現在 東京都には新型コロナ禍に関わる緊急事態宣言が発出されており「不要不急の外出を控えるように」という要請が都民に出されています そうした中で、不特定多数の人々が集まる映画など観に行っていいのか、という疑問を抱いている方もいらっしゃるかもしれません しかし、私にとってコンサートを聴きに行ったり映画を観に行くことは「日常生活」そのもので、決して非日常の「不要不急」の外出ではありません どこのコンサート会場や映画館も、来館者にはマスク着用、体温測定、手指の消毒が求められ、管内における食事は禁止されています また、コンサートを聴いていて大声を出す人はいませんし、映画館でも黙ってスクリーンを観ている人ばかりです。こうした環境のもと、あくまでも自己責任で、コンサートが中止にならない限り聴きに行くし、映画が上映されている限り観に行きます そうすることによって、文化活動を担う主催者を 微力ながら応援しようと考えています

さて、イメージフォーラムは新型コロナ感染拡大対策のため、現在 市松模様の座席配置で 定員の半分しか入れていませんが、ほぼ満席です

「狼をさがして」は次のような内容です

1974年8月30日、東京・丸の内の三菱重工本社ビルで時限爆弾が爆発し、8名の死者と約380名の負傷者が出た 犯行声明を出したのは「東アジア反日武装戦線”狼”」と名乗った。やがて別動隊「大地の牙」と「さそり」が現れ、翌年5月までの間に旧財閥系企業や大手ゼネコンが次々と標的になった 1975年5月19日、メンバーが一斉逮捕され、長い間収監される。その後、彼らはそれぞれ別々の人生を送ることになる。服毒をはかった者、獄死した者、出所した者、今なお収監されている者もいる

2000年代初頭、釜ヶ崎で日雇い労働者を撮影していた韓国のキム・ミレ監督は、一人の労働者から東アジア反日武装戦線の存在を知り、彼らの思想を辿るドキュメンタリーを撮り始める メンバーやその家族、関係者の証言を追う中で、彼らの姿が紐解かれていく

 

     

 

東アジア反日武装戦線”狼”は、60年代の学生運動が国家権力を相手にゲバ棒と火炎瓶で闘った闘争だったのに対し、戦時中の日本企業に搾取され殺された東アジア(中国や韓国)の人たちの恨みを胸に、財閥企業を中心とする大企業を相手に爆弾で闘った闘争だったことに大きな特徴があります 彼らは「かつて中国や韓国の人たちを徴用して日本国内で働かせ搾取した大企業は、何の反省もなく海外進出をして安い労働力を使って儲けている。そういう企業で働く従業員も企業と同様に断罪すべきだ」として、爆弾によって死傷者が出ても当然だと看做していました しかし、収監後、自分自身と向き合い、また支援者たちと交流する中で、彼らはそれが過ちだったこと、いかなることがあっても人を殺してはいけないということを悟ります

この映画には、メンバーを支援してきた多くの人たちが登場し、インタビューに答えていますが、「彼らの行動は間違っていた しかし、被害者の立場に立って考え、その行動に至った動機はよくわかる」という言葉が印象に残ります

三菱重工本社ビル爆破事件のあった1974年は、私が大学を出て新聞関係団体に入職した年だったので、忘れようにも忘れられません 事件が起こった数日後、アフターファイブに飲んでいる時、国際部の先輩が 事件について「あれほど やめろって言ったのに、あいつら・・・」と呟いたのを聞いて、「えっ」と思い、言葉が出ませんでした 先輩は国内外に友人が多く、過去の日本や日本企業に対し悪いイメージを抱いている友人もいたようなので、そのうちの誰かが事件を引き起こしたのではないか、先輩はその犯人を知っているのではないか、と思ったのです でも、怖くて聞けませんでした それ以来、そのことは自分の心に閉じ込めて過ごしてきました 犯人グループが逮捕されたと知った時も、あえて先輩に「知り合いですか」とは尋ねませんでした。だから、今でも犯人グループの誰かが先輩の知り合いだったのかは分かりません

映画を観終わって、これは被害者側の韓国の監督だからこそ撮れた作品だったのかな、と思うと同時に、日本人監督では撮れなかっただろうか、という疑問も抱きました

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バッハ・コレギウム・ジャパン第143回定期演奏会 ⇒ 8月に延期 / タイ映画「ハッピー・オールド・イヤー」を観る 〜 断捨離に挑む若き女性の物語:新文芸坐

2021年04月29日 07時21分00秒 | 日記

29日(木・祝)。バッハ・コレギウム・ジャパンからのメール配信によると、5月7日(金)に東京オペラシティコンサートホールで開催予定の「第143回定期演奏会」は、新型コロナ禍に関わる緊急事態宣言を受けて8月に延期されることになりました 日程が決まり次第公表するとしていますが、延期された日程で都合が悪い場合は払い戻しに応じるとのことです 8月は「フェスタサマーミューザ」があるので、日程が重ならなければ良いのですが

ということで、わが家に来てから今日で2301日目を迎え、米グーグルの持ち株会社「アルファベット」が27日に発表した2021年1〜3月期決算は、動画共有サイト「ユーチューブ」をはじめとする主力のインターネット広告事業の収益が拡大した結果、売上高が前年同期比34%増の553億1400万ドル(約6兆200億円)、純利益が2.6倍の179億3000万ドルだった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     お金儲けの基本をグーグルで検索したら ネット広告を出させるのが A B C だって

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「エノキダケの味噌汁」を作りました もちろんお酒はワインです

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でナワポン・タムロンラタナリット監督による2019年製作タイ映画「ハッピー・オールド・イヤー」(113分)を観ました

デザイナーのジーン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)はスウェーデンに留学し、ミニマルなライフスタイルを学んで帰国する かつて父親が営んでいた音楽教室兼自宅の小さなビルで、出ていった父を忘れられない母や 自作の服をネット販売する兄と暮らす彼女は、ビルを改装してデザイン事務所にしようと思いつき、モノに溢れた家の断捨離を開始した 洋服、レコード、楽器、写真など友だちから借りたままだったモノを返して回る中で、元恋人から借りたカメラも小包にして送るが、受け取り拒否にあって返ってきてしまう 整理されていく部屋に反比例して様々な思い出が溢れだし、ジーンの心は乱れていく

 

     

 

この映画は、中国で実際にあったカンニング事件を題材にしたタイ映画「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」のヒロインを演じたチュティモン・ジョンジャルーンスックジンが主演した「断捨離」をテーマとした作品です 断捨離の女王コンマリ(近藤麻理恵)さんもテレビの登場人物として顔を見せています

ジーンは建築デザイナーの友人ピンクから誕生日プレゼントとしてもらったCDをゴミ袋に捨てますが、それを発見したピンクから「捨てるのなら返して」と非難されます その後、ジーンが兄にプレゼントした手編みのマフラーがゴミ袋に入っていたのを見てショックを受け、自分があげたものを捨てられた人の気持ちが良く分かるようになります ジーンはモノと共に人の気持ちも捨ててきたのですが、人間って勝手なもので、自分が酷い目に合わなければ心の痛みは分からないのかもしれません

この映画は建築デザイナーのピンクがジーンに、「ビルを改装してデザイン事務所にするのなら、不要なものは捨てて断捨離をする必要がある」とアドヴァイスしたことがキッカケとなって、ジーンが迷いながら断捨離に挑戦する様子を描いています また、ピンクはジーンに人の気持ちの大切さを気付かせるキッカケを作りました ピンクはもちろん女性ですが、頭を坊主刈りにしています。仏教国タイの映画ということを鑑みて、私は 監督がピンクにジーンを正しい道に導く僧侶の役割を与えたのではないか、と思いました

ところで、この映画は6つの断捨離の法則を提示しながら物語が進んでいきます それは次のようなものです

ステップ1=ゴールを設定し直感に従え

ステップ2=思い出に浸るな

ステップ3=感情に溺れるな

ステップ4=迷うな、人の気持ちを考えるな

ステップ5=もう物を増やすな

ステップ6=振り返るな

このうちステップ1の「直感に従え」というのはコンマリ流でいう「ときめきを感じるかどうか」ということだと思います 一方、ステップ4の「人の気持ちを考えるな」は、この映画のテーマとは逆を言っているように思います

毎日のようにやれ買い物だ、アマゾンだ、メルカリだ・・・と物が増えていく娘に、この断捨離の法則を実践してほしいと思います

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「第93回米アカデミー賞」に中国人監督クロエ・ジャオの「ノマドランド」が3部門を獲得するも中国は報道せず / シルバー川柳の傑作

2021年04月28日 07時18分25秒 | 日記

28日(水)。3回目の緊急事態宣言を受けて25日から池袋のTデパートが休業になったことに伴い、テナントとして入居している娘の勤務先も休業となったため、娘は現在 自宅待機中です 正社員でなく「非正規雇用」なので休業期間中は無給です。上場企業で営業成績も上々なのに「働かざる者食うべからず」の方針は徹底しています 世の中厳しいです

ところで、昨日の朝日新聞朝刊によると、公益社団法人・全国有料老人ホーム協会が「シルバー川柳」を募集しているそうです 6月13日必着でハガキにより応募することになっています。過去の入選作を見ると傑作揃いです    気に入った川柳をいくつかご紹介します

 〇じいちゃんの敵は段差とパスワード

 〇オレオレの相手をしたいほどの暇

 〇挑んでも店員を呼ぶセルフレジ

 〇デイサービス「お迎えです」はやめてくれ

 〇朝起きて調子いいから医者に行く

思わず「自分のことか」と 思い当たる人もいるかも知れませんね

ということで、わが家に来てから今日で2300日目を迎え、東京五輪・パラリンピックの大会中の医療スタッフとして、大会組織委員会が日本看護協会に対し、看護師500人の派遣を要請した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新型コロナがいつ終息するか予測できない中 安定的な医療態勢が維持できるのか?

 

         

 

昨日、夕食に「鮭の西京焼き」「マグロの山掛け」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「シメジの味噌汁」を作りました 肉料理大好きな娘を前にして、意識して定期的に魚料理を用意するようにしています

 

     

 

         

 

昨日の朝日新聞朝刊・文化面に「アジア勢躍進 分断超えて 第93回米アカデミー賞」という見出しの石飛徳樹編集委員による記事が載っていました 超訳すると、

「第93回米アカデミー賞は25日、米国在住の中国人監督クロエ・ジャオの『ノマドランド』が作品賞など主要3部門を獲得。また『ミナリ』の韓国人俳優ユン・ヨジョンが助演女優賞を得て、昨年に続いてハリウッドにアジア旋風が吹き荒れた また、配信大手のネットフリックスが7部門、アマゾンプライムビデオが2部門を獲得した。コロナ禍で映画館が休業する中、今年は映画館での上映という要件が緩和された。その影響もあるだろう ただし、配信映画の隆盛の流れはもはや止まらない。それを象徴する受賞結果だった。そんな中で、『ノマドランド』で主演女優賞を獲得したフランシス・マクド―マンドが、作品賞の授賞スピーチでこんな話をした。『今夜紹介されたすべての作品を、大きなスクリーンで見てください。知り合いを連れて映画館に行き、暗闇の中で隣の人と肩を触れ合わせながら見てください』。今年は、作品賞や監督賞、俳優賞などの部門では配信映画の授賞がゼロだった マクド―マンドと同じ思いの映画人が少なくないことの証左だとも言える 『ノマドランド』は、長年住み慣れた企業城下町が その企業の倒産で廃墟になってしまい、キャンピングカーで移動生活を始めた60代の女性の物語。米中西部の雄大な風景が魅力的に映し出され、まさに映画館の大スクリーンでこそ輝く作品だった    資本主義の行き過ぎを批判するリベラルな主題を持ちながら、ヒロインは自助独立の精神でタフに生きている 保守層にもアピールしたに違いない

3月30日付toraブログに「ノマドランド」を観た感想を書いています。興味のある方はご覧ください

 

     

 

私はマクド―マンドの言葉にすごく共感を覚えます 私は映画館で作品を観るのが「映画を観る」ことだと思っています 自宅でテレビやDVDで作品を観るのは「映画を観る」こととは考えていません。映画鑑賞とは、わざわざ映画館に出かけて行って、大きなスクリーンを前に他の観客と一緒に、同じ空間の中で観ることだと思っています それはコンサートにも共通しています。コンサートを聴くというのは、わざわざコンサート会場まで行って、ライブの公演を聴くことであり、ライブ配信を聴くことではありません。演奏者と同じ空間の中で音楽を共有することが大事だと考えています 一期一会の出会いを大切にしたいと思っています。もちろん、住んでいる地域など様々な制約によって自由に映画を観たり、コンサートを聴いたり出来ないケースもあると思いますが、それは仕方のないことです わが家では長女が生まれた時、いろいろ調べてとても良い私立保育園があったので近くに引越ししましたが、希望を叶えたいと思ったら少しでも条件の良いところに引っ越すしかないと思います 私が東京から地方に移住したいと思わないのは、都内には多くのコンサート会場があり、映画館があり、大規模書店があり、それらの建物に容易にアクセスできるからです

話が逸れました アカデミー賞の話に戻します

同じ日の朝日朝刊・国際面に「ジャオ監督受賞 報じない中国 主要メディア沈黙 作品上映も中止」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「中国出身のクロエ・ジャオ監督がアジア系女性として初めて米アカデミー賞の監督賞を受賞したことについて、中国の主要メディアは26日、報道しなかった 作品賞を受賞した『ノマドランド』も上映中止になっている 今年3月に入り、ジャオ氏が8年前の2013年に米国でのインタビューで『10代に過ごした中国ではうそがあふれていた』と発言していたことが問題視された ジャオ氏は『逃げられないと思った。家族や自分の出自について反抗的になり、突然、英国に行って学んで自分を見つめ直した』と語り、祖国への忠誠心が欠けているとの批判的な論調に変わった これにより中国版ツイッターの微博で数千万回のアクセスがあったノマドランドの中国名『無依之地』にハッシュタグがついたページは『法律と政策に基づいて表示できない』として開けなくなった 国営中国中央テレビのデジタル版をはじめ主要メディアは習近平国家主席の地方視察をニュースのトップに置き、アカデミー賞関連には触れていない。『ノマドランド』は中国でも4月23日から公開される予定だったが、現在も上映されていない

これが共産党の”一党独裁”による中国・習近平政権の本質のようです 「8年前だろうが、何年前だろうが、中国の悪口を言うヤツは絶対に許さない」という頑強な方針で貫かれています 

『法律と政策に基づいて表示できない』という理由で、どれほど多くの表現の自由が奪われているか また、政府の方針によって、どれほど多くの作品が観たくても観られない状況にあるか  

バイデン政権発足後の3月にアラスカ州で開かれた米中両国の外交トップクラスによる初会談で、米国側が中国の人権状況への深刻な懸念を表明したのに対し、中国側は「中国には中国の民主主義がある」と言い放ちました 今回のアカデミー賞がらみで言えば、「中国の民主主義」とは「政権に都合の悪いことは国民に知らせないように情報統制し、誰もが等しく知らないようにする」ということのようです こういう国が世界第2位の経済大国と言われても 苦笑するしかありません   中国の国民には特段の悪感情は抱いていませんが、国民を監視カメラで監視し、他国の領海を平然と侵略することを当然のように考えている独裁者が率いる覇権主義国家は許せません

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久石譲の挑戦 〜 なぜ 日本センチュリー交響楽団の首席指揮者に就任したか? / ジェフリー・ディーヴァー著「オクトーバー・リスト」を読む ~ 最終章から始まり第1章で終わる奇想天外のサスペンス

2021年04月27日 07時19分42秒 | 日記

27日(火)。昨日の日経 夕刊文化欄に「久石譲  70歳で楽団指揮者に挑戦 〜『あたらしいクラシックをやる』」と言う見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「久石譲は宮崎俊監督『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』など数多くの映画音楽を手掛けてきた オーケストラの指揮を本格的に始めたのは2000年ごろからで、指揮者としては遅いスタートだった 今になって真正面から指揮に向き合うのはなぜか。きっかけをたどると米国の同時多発テロに行き着く 『現代音楽を作曲する中で、古典を否定して既成概念を壊すことが創作なんだと思ってきた。だが9.11の後、今までの価値観では生きられない、否定の対象としてきた王道自体がなくなる時代になる、と感じるようになった それならこれからは自分は王道を行こう、クラシックの土台の上にいる自分を受け入れようと考えた』と語る 以来、国内外の楽団で数多く指揮してきたが、近年は『オーケストラとの一期一会にフラストレーションがたまってきていた。オーケストラとより深い関係にならないと先に進めないと思った』と語る そこに19年、日本センチュリーが首席指揮者就任の誘いを持ちかけた。数年単位でひとつの音作りができるポストは最高の誘いだった 決定的だったのは日本センチュリーを『新しい感覚を持つオーケストラだ』と感じられたことだ 作曲家が本職だけに、経験の面で専業の指揮者には及ばない。そこで目指すのは『作曲家である自分にしかできない指揮』だ。『僕がやりたいのは新しいクラシック。古典を古典のまま古典っぽくやることではない。現代に聞くべき音楽の一つとして、クラシックを提供したい。10年後、20年後のスタイルを先取りする。それが作曲家ならではの指揮だと思う』と語る」

彼の「現代に聞くべき音楽の一つとして、クラシックを提供したい」という言葉で思い出したのは、昨年の「フェスタサマーミューザ」で新日本フィルを振ったベートーヴェン「交響曲第7番」の演奏です 超高速テンポによる軽快な演奏で、まさに「ベートーヴェンはロックだ」というような快演でした マッハの音速でジェット旅客機が飛ぶ時代には、それに相応しいテンポが求められるはずだ、という主張が込められた演奏でした    彼は新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラの音楽監督も務めているので、プログラミング構成によって振り分けするのでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2299日目を迎え、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐ一環として、東京都が午後8時以降は街灯を消すよう呼びかけた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     たしかに蛾は明りを求めて飛んでくる・・・って都民はいつからモスラになった?

 

         

 

昨日、夕食に「牛肉と大根の煮物」「生野菜とツナのサラダ」「冷奴」「舞茸の味噌汁」を作りました 「牛肉と大根の煮物」は大根を30分煮た後、牛肉を砂糖で味付けして、醤油、味醂、酒で大根と一緒に40分じっくり煮込んだので、味が沁み込んで美味しかったです

 

     

 

         

 

ジェフリー・ディーヴァ―著「オクトーバー・リスト」(文春文庫)を読み終わりました ジェフリー・ディーヴァーは1950年、シカゴ生まれ。ミズーリ大学でジャーナリズムを専攻。雑誌記者、弁護士を経て40歳でフルタイムの小説家となる 科学捜査の天才リンカーン・ライムのシリーズをはじめ 多くの作品は世界でベストセラーとなっている

 

     

 

この作品は3日間の出来事を36の章立てで描いたサスペンスですが、これまでの小説と異なる最大の特徴は、物語が第36章から始まり時間を遡って第1章に至ることです 冒頭に置かれた第36章では、娘を誘拐され、秘密資料「オクトーバー・リスト」の引き渡しを要求されている女性ガブリエラが登場します。その取引要求のタイムリミットが迫っており、ついに銃を手にした誘拐犯が彼女の目の前に現れる場面が描かれています 普通の小説であれば、そこからガブリエルが誘拐犯にリストを渡す代わりに娘を救い出すまでが描かれるはずです しかし、この小説では、どういう経緯でそういう事態に至ったかが、CP作戦と呼ばれる作戦に従事している刑事たちの動向や、ガブリエルの相手役ダニエルとの逃避行など過去に起こった出来事が前へ前へと遡って描かれていきます

最後の第1章を読み終わって、思わず冒頭の第36章に戻り、読み直してしまいました どんでん返しに次ぐどんでん返しが巧妙に仕組まれていたからです 400ページの大作で「時間逆行サスペンスは可能なのか 」と訝りながら読み進めていきましたが、第4章から第1章に至る物語の”本質部分”を読んで驚愕しました

ジェフリー・ディーヴァーの作品のうち比較的新しい「シャドウ・ストーカー」などは、「話の持っていき方が ちょっと強引ではないか」と思う面もありましたが、この「オクトーバー・リスト」を読んで、あらためてジェフリー・ディーヴァーの底力を再認識しました これは凄い本です。強く推薦します

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中山七里「TAS 特別師弟捜査員」,村田沙耶香「地球星人」、平居紀一「甘美なる誘拐」、誉田哲也「あの夏、二人のルカ」、向田邦子「少しぐらいの嘘は大目に」を買う

2021年04月26日 07時18分28秒 | 日記

26日(月)。昨日はサントリーホールで「都響スペシャル4月公演」(ショスタコーヴィチ「交響曲 第1番 ヘ短調 作品10」、マーラー「大地の歌」)を聴く予定でしたが、緊急事態宣言を受けて、急きょ中止になってしまい 予定が狂いました 宣言終了予定の5月11日までの間、8日の東響定期公演が中止となっているほかは、1日(土)「モーツアルト・マチネ」(東響・ミューザ川崎)と7日(金)「バッハ・コレギウム・ジャパン定期演奏会」(東京オペラシティ)の予定が入っていますが、現在のところ中止の発表はありません しかし、現下の情勢を鑑みると中止も時間の問題かもしれません

また、映画館も大手(TOHO系、松竹系等)を中心に臨時休業となるところがあり、こちらも予定が狂いました 一方、ミニシアターでは休業しない(時短を含む)館が結構あるようです 営業中止は死活問題ですから、よく分かります 私がよく観に行くミニシアターを調べてみたら次の通りでした

岩波ホール(神保町)   =通常通り営業。

ユーロスペース(渋谷)  =通常通り営業。

イメージフォーラム(渋谷)=営業。入場者を半分に制限(シアター1は 64人 ⇒ 32人,シアター2は 98人 ⇒ 49人)

ギンレイホール(神楽坂) =営業。20時までに終了するようにプログラム変更。

新文芸坐(池袋)     =25日、26日は営業。27日以降はあらためてHPで発表。

早稲田松竹(高田馬場)  =休業。

こうなったら、ミニシアターだけが頼りです

ということで、わが家に来てから今日で2298日目を迎え、25日付の中国共産党機関紙・人民日報や軍機関紙・解放軍報は、23日に南シナ海に面した海南島で行われた初の強襲揚陸艦を含む主要艦艇3隻の就役を一面で伝え、「南シナ海を支配する決意を鮮明にした」という見方を強調した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義むき出しの中国にとっては ”俺のものは俺のもの 他人のものも俺のもの”

 

         

 

23日に3回目の緊急事態宣言が発出されましたが、24日の新聞を読んだら、東京都の対応のうち休業要請(1000平方メートル超の施設)の対象業種に「本屋」が入っていたので、行きつけのJ書店池袋本店も25日から休業になると思い、24日のコンサート終了後、慌てて本を買いに行きました 取りあえず、手元に未読の本が2冊あるので新規購入は5冊にとどめておきました なお、あとで改めて調べてみたら、J書店・丸善系列は休業する店としない店があるようで、池袋本店は現在営業しているようです

1冊目は中山七里著「TAS  特別師弟捜査員」(集英社文庫)です 当ブログをご覧いただいている読者の皆さんにはお馴染みの人気作家の作品です。本作は中山七里には珍しい学園ミステリーとのこと。どんなどんでん返しが待っているか、楽しみです

 

     

 

2冊目は村田沙耶香著「地球星人」(新潮文庫)です 著者の作品を読むのは芥川賞受賞作「コンビニ人間」以来です

 

     

 

3冊目は平居紀一著「甘美なる誘拐」(宝島社文庫)です 本作は2021年、第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作とのこと。読むのが楽しみです

 

     

 

4冊目は誉田哲也「あの夏、二人のルカ」(角川文庫)です 誉田哲也の本も文庫化されるたびに当ブログでご紹介しています 「ストロベリーナイト」など姫川玲子を主人公とする警察シリーズとは別系統の作品です

 

     

 

5冊目は向田邦子著・碓井広義編「少しぐらいの嘘は大目に」(新潮文庫)です 向田邦子の作品は大好きで、小説、脚本、エッセイなどほとんどすべての作品を読んでいます 特に軽妙洒脱で切れ味鋭いエッセイは私の理想です 本作は、向田邦子の全作品の中から名言、名セリフを選んで紹介したものです

 

     

 

いずれも、読み終わり次第、当ブログでご紹介してまいります

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小林研一郎 ✕ 福田廉之介 ✕ 読売日響でサン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲第3番」、ムソルグスキー/ラヴェル「展覧会の絵」他を聴く ~ 読響土曜マチネーシリーズ

2021年04月25日 07時21分43秒 | 日記

25日(日)。わが家に来てから今日で2297日目を迎え、ドナルド・トランプ前米大統領は23日、在外米軍の駐留経費に関する声明を発表し、韓国の文在寅大統領について「指導者、交渉人として弱腰だった」と批判する一方、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記については「最も困難な状況で知り合い(そして好きになった)」と説明し、金氏が「文大統領に対して敬意を抱いたことはまったくない」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大きく吹っ掛けて交渉するトランプ流を真似できる政治家は 金正恩しかいないしね

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「読響土曜マチネ―シリーズ第236回演奏会」を聴きました プログラムは①ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」作品9,②サン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61」、③ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=福田廉之介、指揮=小林研一郎です

 

     

 

土曜マチネ―2021-2022シーズンの自席は2階右ブロック後方です。新シーズン第1回目のコンサートということでか、会場は通常配置で9割くらいの盛況です

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは長原幸太です

1曲目はベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」作品9です この曲はエクトール・ベルリオーズ(1803‐1869)が1838年に作曲した歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」から題材を厳選し、演奏会用序曲として1843年に作曲、翌44年にパリで初演された作品です 

マスク姿のコバケンの指揮で演奏に入ります 謝肉祭に湧くローマのコロンナ広場の賑やかな様子が、色彩感溢れる演奏で活写されました

2曲目はサン=サーンス「ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61」です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835‐1921)が1880年に作曲、1881年1月にパリでサラサーテの独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アンダンティーノ・クァジ・アレグレット」、第3楽章「モルト・モデラート・エ・マエストーソ ~ アレグロ・ノン・トロッポ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の福田廉之介は1999年岡山県生まれ。2014年メニューイン国際コンクール・ジュニア部門優勝をはじめ、多くのコンクールに入賞しています 現在、ジャニーヌ・ヤンセンに師事しています

コバケンの指揮で第1楽章に入ります 独奏ヴァイオリンが入ってきたとき、ずいぶん図太い演奏だな、と思いました かなり身体を動かして演奏します。身体全体を使って音楽を表現するタイプのアーティストのようです 演奏はかなり力強く説得力を持ちます 第2楽章では、力だけではない繊細な一面も見せました オーボエの蠣崎耕三、フルートのフリスト・ドブリノヴの演奏が冴えていました 第3楽章では福田の技巧的な演奏が光りました オケとの丁々発止のやり取りも見事でした

 

     

 

プログラム後半はムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です この曲はモデスト・ムソルグスキー(1839‐1881)が1873年に死去した友人の画家ヴィクトル・ガルトマンの追悼展覧会が1874年に開かれた時の印象をもとに作曲したピアノ独奏用の作品ですが、1922年にモーリス・ラヴェルが管弦楽用に編曲しました

この曲は「プロムナード」と第1曲「グノームス(小人)」、第2曲「古城」、第3曲「テュイルリー」、第4曲「ヴィドロ(牛車)」、第5曲「卵の殻を付けた雛鳥のバレエ」、第6曲「サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ」、第7曲「リモージュの市場」、第8曲「カタコンブ〜古代ローマの地下墓地」、第9曲「バーバ・ヤガ―(鶏の足の上に建っている小屋)」、第10曲「キエフの大門」から成ります

コバケンの指揮で演奏に入ります 冒頭のトランペット・ソロが素晴らしい 第2曲「古城」におけるサクソフォンの哀し気な演奏が郷愁を誘います 第4曲「ヴィドロ」におけるチューバの重心の低い演奏が冴え渡ります 第6曲の2人のユダヤ人の会話は、威圧的な弦楽器と卑屈なトランペット(ミュート付き)の対比が面白い 第8曲「カタコンブ」における金管の重厚な和音に圧倒されます そして、第10曲「キエフの大門」ではオーケストラ総力を挙げての渾身の演奏が展開し、会場を震わせました

この演奏を聴いてあらためて感じたのは、”管弦楽の魔術師”ラヴェルの天才性です

いつものように、コバケンは拍手を制して挨拶をします

「マスクをしているので、聞き取りずらいと思いますが、適当にお察しください(会場 )本公演は金曜・土曜マチネ―ですが、緊急事態宣言の発出を受けて、明日の公演は中止となりました したがって読響の演奏は本日のみとなりました。もう一度、オーケストラの皆さんに拍手をお願いします

これを聞いた聴衆の多くは、「今日聴けてラッキーだった」と思ったに違いありません コバケン ✕ 読響はアンコールに マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「間奏曲」を思い入れたっぷりに演奏し、聴衆のクールダウンを図りました

これでしばらくライブのコンサートを聴けなくなると思うと寂しいものがあります

帰りがけに、読響会員特典CDをいただいてきました 2種類ありますが、こちらのCDを選びました

 

     

     

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4/25, 26 , 5/10 都響公演中止 〜 緊急事態宣言を受け、5/8東響定期公演中止 〜 ノット来日出来ず / 森達也著「FAKEな日本」を読む ~ フェイクとトゥルースの現状

2021年04月24日 07時18分35秒 | 日記

24日(土)。東京都交響楽団のホームページによると、「23日に発出された緊急事態宣言及び都における緊急事態措置等により、コンサートを含むイベントに対して中止等の要請がされる見通しであるため、4月25日の都響スペシャル、同26日の第925回定期演奏会Bシリーズ、5月10日の第926回定期演奏会Aシリーズを中止する。チケット購入者には6月末までに現金書留で返金する」としています 25日に藤村実穂子でマーラー「大地の歌」が聴けると楽しみにしていたのに残念です

また、東京交響楽団のホームページによると、「5月8日(土)にサントリーホールで開催予定の第690回定期演奏会は、出演を予定していたジョナサン・ノットが、音楽・芸術監督を務めるスイス・ロマンド管弦楽団関係施設で複数の新型コロナウイルス感染者が発生したため隔離待機したことから、来日日程の再調整を行っているが、当該公演については日程的に出演が不可能となったため、中止することとした。チケット購入者には払い戻し案内を近日中に郵送で送付する」としています やっと、ノットのマーラー「第1番」が聴けると楽しみにしていただけにとても残念でなりません マーラーは呪われているのか

ということで、わが家に来てから今日で2296日目を迎え、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言(25日から5月11日まで)が東京、大阪など4都府県に出されたが、繁華街近くの公園や路上で飲食するグループが後を絶たず、ゴミの散乱も目立ち、自治体は頭を抱えている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     気持ちはわかるけど 外でも感染リスクはある  それにゴミは持ち帰るのが常識です

 

         

 

昨日の夕食は「牛タン塩焼き&ハラミ焼肉」「生野菜サラダ」「卵スープ」にしました コロナ禍で外食が出来ないので、家で焼肉です

 

     

 

         

 

森達也著「FAKEな日本」(角川文庫)を読み終わりました 森達也は1956年広島県呉市生まれ。1998年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開、ベルリン映画祭に正式に招待され、海外でも高い評価を受ける 2016年にドキュメンタリー映画「FAKE」を、2019年には「 ー 新聞記者ドキュメント ー 」を公開し、話題を呼んだ 現在は映像・活字双方から独自の表現を展開している

 

     

 

日本は平成から令和に改元され、安倍政権から菅政権への政治体制も変わりました しかし、報道をはじめ、表現の自粛と委縮は”忖度”の言葉で凝縮されるように変わるところがありません ドキュメンタリー映画監督の森達也は、平成の30年間を振り返り、「天皇」や「放送禁止歌」をはじめ「タブー視」されているテーマは、どのような変遷を辿り、現在どうなっているのか等について鋭い考察を加え、トゥルースとフェイクについて独自の見解を述べています

本書は次の5幕から構成されています

第1幕「疑似的民主国家ニッポン」ー「放送禁止歌」 ~ ビートルズの「イマジン」も放送禁止扱いだった 他

第2幕「差別するぼくらニッポン人」ー「ミゼットプロレス伝説」 ~ 小人プロレスをやってる方と見てる方 他

第3幕「自粛と委縮に抗って」ー幻の「天皇ドキュメンタリー」 ~ 普通でないのは天皇ではなく僕らの方だ 他

第4幕「組織は圧倒的に間違える」ー「A」「A2」 ~ 共謀罪審議にオウム事件は利用された 他

第5幕「平穣、かつての東京との交信」ー未完の「北朝鮮ドキュメンタリー」 ~ よど号ハイジャック事件の当事者の生活と意識 他

第6幕「正しさこそが危機を生む」ー「FAKE」 ~ 大事なのは、異論を伝え続けること 他

本書の巻末に掲載された「解説」で、ライターの武田砂鉄氏は次のように書いています

「平成とはどんな時代だったかと問われた森が、『メディアが一人称単数の主語を急速に失い続けた30年です』と切り返している。森はずっとこのことばかり言ってきた

この言葉は、とくに 政府の発表する「報道用資料」を何の疑問も抱かず書き写している報道機関にとっては耳の痛い話だと思います

上記の言葉とともに、本書の中で森氏が繰り返し主張しているのは次の言葉です

「社会とメディアと政治のレベルは、常に一緒です。もしもこの国のメディアが三流であるならば、この国の国民も三流なんです そしてその国民が選ぶ政治家も三流です。ネットなどではよくマスゴミと書く人がいるけれど、もしこの国のマスコミがゴミならば、社会もゴミのレベルです。だって市場原理なのだから。メディアと政治は社会の合わせ鏡です

この言葉を突き詰めて考えれば、一人ひとりの国民のレベルを引き上げない限り、マスコミも政治も三流のままだ、ということになります

森氏は「第6幕」の中で、次のように語っています

「ほとんどの情報はトゥルースであり、フェイクでもある なぜなら情報を発信する人の主観が入るからです。これを完全に除去することなど不可能です。それをたった一つの真実などと思い込むことの方が危険です。フェイクの怖さと同様にトゥルースの怖さにも、特にメディアの人は、もう少し気づいた方がいい

これを読んで気が付くのは、ドキュメンタリーも同様だということです 同じ「事実」を撮るにしても、撮る人の立場によって出来上がった映像の「見え方」が異なってくるからです なぜなら、そこに撮影者の主観が入っているからです

個人的には、よど号ハイジャック事件を起こして現在 北朝鮮に住んでいる人たちの発言や生活(日本人村では衛星放送が受信できる)が興味深いので、森監督には、未完の「北朝鮮ドキュメンタリー」を仕上げて公開してほしいと思います

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エフゲニー・ルーマン監督「声優夫婦の甘くない生活」を観る 〜 ギンレイホール / 睡眠6時間以下は認知症リスク増加 〜 英ネイチャー誌の調査より

2021年04月23日 07時12分09秒 | 日記

23日(金)。昨日の日経夕刊に「睡眠6時間以下  認知症リスク増 〜 英科学誌の調査」と言う見出しの記事が載っていました    超訳すると、

「英科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』は20日、睡眠時間が1日あたり6時間以下だと認知症のリスクが高まるという調査結果を発表した    中高年が短時間の睡眠を続けると発症リスクが30%増えるとの結果も示した 25年間にわたり約8000人の被験者からデータを集め、521件の認知症の症例を調べた。この結果、50歳と60歳の被験者で通常7時間の睡眠をとる人と比較し、睡眠時間が6時間以下の場合は認知症の発生率が高いと結論づけた さらに50,60,70歳の人が短い睡眠時間を継続すると認知症リスクが30%増加するとの結果を示した

私の場合、睡眠時間は平均7時間程度だと思います ただし、夜にコンサートがある日は、帰宅してから寝るまでの間にブログの下書きを書いたりする関係で、睡眠時間が5~6時間位になることは結構あります もっと要領よく簡潔に書けば睡眠時間も7時間は確保できるのですが、読む立場に立って出来るだけ情報量を多くしたいし、一度書いた文章は最低3回は読み直して推敲を重ねるので、どうしても時間がかかってしまいます 「翌朝の起床時間を遅くずらせばいいじゃないか」という考えもあるかもしれませんが、土・日を含めて毎朝7時に起き、ブログを完成させて7時20分をめどにアップするというペースは、現役時代から一貫して守っているので崩すつもりはありません したがって、ブログの「予約投稿」はしません。毎日 規則正しく生活することが健康に一番良いと思います

ということで、わが家に来てから今日で2295日目を迎え、ロシア全土で21日、刑務所に収監されている反政権指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏の釈放を求める反政権デモが行われ、同国の人権団体によると、全国で1735人が拘束された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国の傀儡政権の香港にしても プーチン独裁のロシアにしても 権力の横暴が酷い

 

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」と「豚汁」を作りました 娘が「材料が同じ〜」とクレームを付けましたが、「筑前煮」の材料は鶏もも肉、こんにゃく、シイタケ、レンコン、ゴボウ、人参であるのに対し、「豚汁」は豚肉、豆腐、シメジ、人参で、ダブっているのは人参だけです 「何言ってんのや」てなもんです もちろん、どちらも美味しかったです

 

     

 

         

 

ギンレイホールでエフゲニー・ルーマン監督による2019年製作イスラエル映画「声優夫婦の甘くない生活」(88分)を観ました

1990年、ヴィクトル(ウラジミール・フリードマン)とラヤ(マリア・ベルキン)は ソ連からイスラエルに移民してきた 2人はソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍してきたスター声優夫婦だった 第2の人生を謳歌するつもりで移民したものの、イスラエルでは声優の需要がないという現実に直面してしまう 生活のためにラヤは夫に内緒でテレフォンセックスの仕事に就き、思わぬ才能を発揮する 一方のヴィクトルは、違法な海賊版レンタルビデオ店で再び声優の仕事を得る 何とか生活を軌道に乗せ始めた2人だったが、妻の秘密が発覚したことにより、お互いが長年気づかないふりをしてきた夫婦の本当の声が噴出し始める

 

     

 

この映画は、旧ソ連圏からイスラエルに移民したエフゲニー・ルーマン監督が自身の体験をもとに製作した作品で、ロシア系ユダヤ人のリアルな姿を描いています

この作品にはソ連の崩壊(1991年12月)の直前という時代背景があります 多くのユダヤ系ロシア人がイスラエルに移住しました。当然、ロシア語とイスラエルのヘブライ語は異なるので、言葉が通じません そこで、映画館で映画を盗撮してロシア語に吹き替えたものをビデオにしてユダヤ系ロシア人に売ろうというストーリーが出来上がる訳です

また、映画館でフェリーニの映画を上映中に急に警報が鳴って、観客全員が ガスマスクを着けて「サダム・フセインのイラクの攻撃がくる」と言い合いますが、これも当時のイスラエルの置かれた不安な政治状況を反映しています マスクを着けた観客の姿は現在の日本から見るとシュールですが、当時のイスラエルの国民にとっては死活問題の象徴です

「映画は豊かな世界そのものだ。声優はその案内人だ」という台詞が語られるのをはじめ、この作品は映画への愛に溢れています

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芸劇ブランチコンサートでブラームス「ヴィオラ・ソナタ第2番」、ベートーヴェン「2つのオブリガート眼鏡付きの二重奏曲」他を聴く ~ 佐々木亮(Va)、辻本玲(Vc)、西山真二(Kb)、清水和音(P)

2021年04月22日 07時14分49秒 | 日記

22日(木)。わが家に来てから今日で2294日目を迎え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)へのサイバー攻撃に関与したとして、警視庁公安部は20日、中国籍の男を私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで書類送検したが、男は中国共産党員で 中国国営の情報通信企業のシステムエンジニアだった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       中国は香港の自由を奪い 次は台湾に狙いを定め 同時に日本を狙ってる様子が窺える

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました ビーフといっても、わが家の肉は牛バラ肉ですが、安くて美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート第29回「極み!二重奏の世界」を聴きました    プログラムは①ベートーヴェン「2つのオブリガート眼鏡付きの二重奏曲 変ホ長調 WoO.32」、②ロッシーニ「チェロとコントラバスのための二重奏曲」、③ブラームス「ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 作品120ー2」です 演奏は ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、チェロ=辻本玲(N響首席:伊東裕の代演)、コントラバス=西山真二(N響首席)、ピアノ=清水和音です

 

     

 

会場は、前から3列入れて1列空席、また3列入れて1列空席という形でコロナ感染対策を取っています 会場は7割くらいは入っていると思われます

1曲目はベートーヴェン「2つのオブリガート眼鏡付きの二重奏曲 変ホ長調 WoO.32」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)が1796年から翌97年にかけて作曲したヴィオラとチェロのための作品です 柴田克彦氏のプログラムノートによると、「眼鏡をかけた友人のために書かれたとみられている」とのことです 全3楽章からなる未完の作品らしいのですが、この日演奏するのは第1楽章「アレグロ」です

佐々木亮と辻本玲の2人により演奏が開始されます ベートーヴェン20代の作品ということで、ハイドンやモーツアルトの影響を受けた曲かと思っていたら、微塵もありませんでした どちらかと言うと、20歳以上年下のロッシーニのようなユーモアを感じました 2つの楽器が交互に主役となって進行する楽しい曲でした

演奏後のトークで、進行役を兼ねた清水氏が「今日はチェロの伊東裕君が出演予定だったのですが、コロナの2週間拘束という条件のために出演できなくなったので、辻本さんに急きょお願いしました」と説明し、佐々木氏に「ところで、ヴィオラとチェロの二重奏曲は他にあるんですか?」と訊くと、佐々木氏は「ないと思います」と答えていました

2曲目はロッシーニ「チェロとコントラバスのための二重奏曲」です この曲はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792‐1868)が1824年に作曲した作品で、1968年に彼の遺品の中から楽譜が発見されたそうです 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・モルト」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

辻本玲と西山真二の2人により演奏が開始されますが、低音楽器同士とはいえ 歌心に満ちた曲想で、さすがはオペラ作曲家ロッシーニの作品だと感心しました

演奏後のトークで、清水氏から「チェロとコントラバスの二重奏曲は他にあるんですか?」と訊かれた西山氏は「ないと思います」と答えていました 1曲目のベートーヴェンの作品にしても、このロッシーニにしても、今回は珍しい曲を聴く貴重なコンサートであると思いました 清水氏は「ヴィオラとコントラバスの人って、本当にいい人が多いんですよ ”主張しない”ところが共通点かもしれないですね」と語っていましたが、横で西山氏が静かに微笑んで頷いていました 私も「なるほど そうかもしれないな」と感心しました

 

     

 

最後の曲はブラームス「ヴィオラ・ソナタ 第2番 変ホ長調 作品120ー2」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833‐1897)が当初クラリネットのために作曲した作品です ブラームスは60歳に至らないうちに作曲から引退しようとしていましたが、1891年(ブラームス58歳)にマイニンゲン宮廷楽団のクラリネット奏者ミュールフェルトの演奏を聴いて創作意欲を刺激されます その結果、2曲のソナタを含む4つのクラリネット作品を相次いで作曲します 1894年に作曲した2つのクラリネット・ソナタは、自身の手でヴィオラ用に編曲されました 「ソナタ第2番」は第1楽章「アレグロ・アマービレ」、第2楽章「アレグロ・アパッショナート」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」の3楽章から成ります

佐々木亮と清水和音の演奏で第1楽章に入ります 今の季節にぴったりの穏やかで幸せな気分の曲です ヴィオラのソフトな音色が素晴らしい 第2楽章は憂いに満ちた曲想が魅力的です クラリネットで聴くのも良いですが、ヴィオラで聴くと独特の感慨を覚えます 第3楽章の主題と5つの変奏も楽しい つくづくブラームスの室内楽はいいな、と思いました

 

     

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「音楽家・俳優苦境 支援策は力不足」 ~ 日経記事から / グレゴリー・マーニュ監督「パリの調香師 しあわせの香りを探して」を観る 〜 ギンレイホール

2021年04月21日 07時18分16秒 | 日記

21日(水)。昨日の日経夕刊に「音楽家・俳優苦境   支援策は力不足」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「新型コロナウイルスの影響で音楽家や俳優の苦境が続いている コンサートなどの活動の場が減り、4割が「収入は半分以下に減った」との調査結果もある 文化庁は20年7月、コロナ下の芸術家を支援するため活動にかかった経費の一部補助を始めた 個人対象の補助金は上限150万円だが、まず事業計画書を作成して申請し、支給はイベント開催後に報告書を提出してからとなるため、開催に当たって一定の自己負担が必要となる フリーランスのヴィオラ奏者、朴梨恵さんは募集案内を読み込んだものの事業計画書の書き方がわからず、経費計算にも手間取った 20年10月に交付決定通知を受け取るまで修正提出は6回に及び、3か月かかった 決定前に自主企画コンサートの開催を余儀なくされ、「精神的に追い詰められた」と明かす 文化庁の補助金はこれまで4回の募集で予算枠の約450億円に達した。海外は より手厚い    フランスはコロナ下で「文化セクター」に総額20億ユーロ(2500億円)の支援策を公表。ドイツはフリーランス向けに全額助成や返金不要の制度を設けている 神戸大学の藤野一夫教授(文化政策)は「コロナ前から公的支援は不十分だったが、コロナ下で『不要不急』とされ、芸術家は経済的、精神的に難しい状況だ」と説明、社会の理解を求めている

日本では、お金が絡むことは全て「計画書」に始まり「報告書」に終わるところがあります 文化支援施策については、それが結果的に「使い勝手の悪い」制度になっています 行政はもっと、芸術に携わる人たちを信用できないものでしょうか 煩瑣な補助金申請手続きに追われて 演奏・演技をする前に疲れてしまっては本末転倒です 必要な時に必要な資金が用意できない制度では、アーティストは安心して活動できません 文化庁の補助金は予算枠に達したとのことですが、今後、第3次緊急事態宣言が発出されそうな動きがあります 予算枠の拡大を含めて支援制度の充実を期待したいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2293日目を迎え、中国の習近平国家主席は20日、アジアを中心に政財界の要人が集まるフォーラムで講演し、「デカップリング(分断)は経済秩序に反し、誰の得にもならない」と語り、米国などの脱中国の動きを牽制した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     香港問題に口出しするな と主張している中国こそ デカップリングやってないか?

 

         

 

昨日、夕食に「サバの塩焼き」「ニラ玉」「舞茸の味噌汁」を作り、「カツオの刺身」と一緒に食べました 青魚を食べなければ、と思います

 

     

 

         

 

昨日、ギンレイホールでグレゴリー・マ―ニュ監督による2019年製作フランス映画「パリの調香師  しあわせの香りを探して」(101分)を観ました

アンヌ(エマニュエル・ドゥボス)は世界中のトップメゾンの香水を手掛けてきた天才調香師だったが、4年前、仕事へのプレッシャーと忙しさから嗅覚障害になり、地位も名声も失ってしまう 聴覚が戻った現在は、なじみのエージェントから紹介される地味な仕事だけを引き受け、パリの高級アパルトマンでひっそりと暮らしていた そんな彼女に運転手として雇われたのは、離婚して娘の親権を奪われそうな上、交通違反が多く仕事も失いかけていたギヨーム(グレゴリー・モンテル)だった 彼は命令するばかりのわがままなアンヌに振り回されながらも正面から向き合い、彼女の心を少しずつ開いていく アンヌはギヨームと一緒に仕事をこなすうちに、彼に調香の才能があることを見い出し、ともに新しい香水を作りたいと再起への思いを強くしていく

 

     

 

レストランで食事を注文する時、アンヌはメニューからまったく目を離さず料理をウエイトレスに注文し、後で彼女の付けていた香水の成分を言い当てます それを聞いたギヨームは「あなたは 香水にしか関心を示さない。ウエイトレスを見ようともしなかった 人間は香水がすべてじゃない。次にウエイトレスがやってきた時は、一言でも二言でもいいから声をかけるべきだ」と言います。そして、ウエイトレスが水とワインを持ってくると、アンヌは「メルシー」とお礼を言います このやり取りに「人間関係を築くのが苦手なアンヌ」と「自分に何かをしてくれる相手には敬意を示すべきだという思いやりのあるギヨーム」の性格が表れていますが、この会話をキッカケにアンヌはギヨームに心を開いていくことになります

この映画は、ディオールの撮影協力とエルメスの専属調香師クリスティアン・ナーゲル監修のもとに撮影されたそうです 新しく作った香水のサンプルを持って、アンヌとギヨームがディオール本社に乗り込むラストシーンはカッコイイです

それにしても・・・と思うのは、原題は「Les  parfums」(香水)であるのに「パリの調香師」と「パリ」が付いていることです フランス映画でパリが舞台になっている映画では、たいていが「パリの~」という邦題になっているような気がします あまりにもワンパターンのような気がしますが、どうなんでしょうか

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