人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ヴァイオリン弓の材料 国際取引規制強化」~朝日の記事から / アンソニー・ホロヴィッツ著「殺しへのライン」を読む ~ 最も犯人らしくない人物が犯人である

2022年11月30日 07時12分38秒 | 日記

30日(水)。月日の流れは速いもので今日で11月も終わり。2022年も残すところあと1か月になってしまいました   コロナ陽性による自宅待機の件は、昨日午後保健所から電話があり、私の場合は予定通り検体採取日(24日)の翌日から7日間=12月1日まで、濃厚接触者の娘の場合は、り患者との最終接触日(わが家では陽性判明日=27日)の翌日から5日間=12月2日までとなるとのこと ただし抗原検査キットで2日目と3日目に自主検査をして陰性だったら3日目から自宅解除になるとのことでした 娘は27日に抗原検査キットを1回分発注しているとのことですが、まだ届かないそうです 届いてもあと1回分必要なので5日間休むしかないのだろうか

話は変わりますが、一昨日の朝日夕刊に「バイオリン弓の材料  国際取引の規制強化 ~ ワシントン条約会議 完成品も対象」という見出しの記事が載っていました 記事を超略すると次の通りです

「中米・パナマで開かれたワシントン条約締約国会議は、バイオリンなど弦楽器の弓の材料に使われるブラジル産の木が絶滅するおそれがあるとして、国際取引に輸出国の許可が必要になる現行の『付属書Ⅱ』を維持した上で、材料のほか完成品や部品も新たに輸出の規制対象とする修正で合意した ペルナンブコ(別名・ブラジルボク)と呼ばれる木で、弦楽器から優れた響きを引き出す弓の材料としてプロ奏者の間で広く使われている ブラジルから完成品が輸出される場合には、新たに許可が必要になるが、すでに海外に存在する製品については対象外となる

楽器に無知な私は「ヴァイオリンの弓」と聞いて、「あれっ、ヴァイオリンの弓は馬の毛で出来てんじゃなかったっけ」と一瞬 頭を捻りましたが、弓毛ではなくスティック(棹)の部分であることに気がつきました 弦楽奏者の皆さんからボウイングが、もとい、ブーイングが飛んできそうですが、そこは素人の赤坂見附です(「あさはかさです」と言いたい) この規制強化が演奏家の皆さんに実際上どの程度の影響を及ぼすのか、私にはさっぱり分かりませんが、ヴァイオリン本体の値段に比べれば桁違いに安いのではないか(それでも高いと思いますが)と想像します

ということで、わが家に来てから2879日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は25日の兵士の母親との懇談で「人はいつかは死ぬ。問題は私たちがどう生きたかだ」と発言し、ウクライナ侵攻での戦死を美化する考えを示していたが、ロシア兵の母親や反戦を訴える女性団体は27日、ウクライナからの撤退を求める議会宛ての公開書簡を発表し、その中ですべての兵士の帰還を要求し、「『特別軍事作戦』は破壊と悲しみをもたらしながら続いている。軍事行動の支持は家族、女性、子供の保護と相いれない」と批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     侵略から9か月経ってやっと自国が無謀な戦争をしていることに気がついたようだ

 

         

 

昨日も”自宅待機中”の娘が夕食を作ってくれました 夕食作りはメニューを考えることからしてメンドクサイんですよね その点、誰かに作ってもらって食べるだけがいかに楽かという話です 食べるだけの人は作る人に感謝すべきです 昨夜のメニューは「ピーマンとツナの炒めもの」、「鶏ささみの串焼き(ニラ+味噌、紫蘇+味噌、アボカド+しらす+チーズ)」、「麩とワカメの味噌汁」でした どれも私のレパートリーにないものばかりで、作る人によってこうも料理内容が違うかと感心し、感謝しながら美味しくいただきました それは良いのですが、あとで これから数日分の食材費を請求されました 普段 給料の一部を家に入れてくれているわけではないんだから、こういう時ぐらい負担してくれてもいいんじゃないの? と言いたいところですが、私のために休ませてしまっているので当然かもしれないと思い直しました  あらためて思うのは、わが家は娘も 単身赴任中の息子も料理ができる(2人とも私より上手)ので、何が起ころうがそれぞれ自力で食べていけるということです

 

     

     

         

 

東京交響楽団から「2023年度定期演奏会  定期会員券  継続案内」が届いたので、現在の1階左ブロック後方のA席を継続するとして申込用紙を送付しておきました

 

     

 

         

 

アンソニー・ホロヴィッツ著「殺しへのライン」(創元推理文庫)を読み終わりました アンソニー・ホロヴィッツはイギリスを代表する作家。ヤングアダルト作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズがベストセラーとなる 人気テレビドラマ「刑事フォイル」の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作長編 「シャーロック・ホームズ  絹の家」等を手掛ける アガサクリスティへのオマージュ作品「カササギ殺人事件」は「このミステリがすごい!」「本屋大賞(翻訳小説部門)」の第1位に選ばれるなど、史上初の7冠を達成した その続編の「ヨルガオ殺人事件」も絶賛された 本書は「メインテーマは殺人」「その裁きは死」に続く「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズの第3作に当たる作品です

 

     

 

このシリーズの探偵は元刑事で警視庁の顧問を務めるダニエル・ホーソーンで、いわゆる諮問探偵という立場で警察が手に負えない難事件を解決してきました その彼から作家であるアンソニー・ホロヴィッツに「自分の捜査を取材して本を書いてみないか」と誘われ、迷いながらも彼に同行し、彼が手掛ける事件を記録するようになります したがって、作者が同姓同名役の作家として小説に登場します

「メインテーマは殺人」の刊行まで残すところあと3か月。本のプロモーションとして文芸フェスティバルに参加するため、探偵ダニエル・ホーソーンと わたし(アンソニー・ホロヴィッツ)は、英仏海峡にあるチャンネル諸島のオルダニー島を訪れた 島にやってきた顔ぶれは様々で、児童文学作家や島の歴史を研究する戦争史家がいれば、フェスの後援者であるオンライン・カジノのCEOや、不健康なレシピ集を刊行したシェフとその助手、降霊体験を自伝にまとめた霊能者とその夫などもいた 参加者同士の間に不穏な雰囲気が漂うなか、フェス関係者の一人が両足と左手を拘束されて殺害される事件に遭遇する しばらくして、その妻も死体で発見される 果たして誰がどういう動機で彼を殺したのか? なぜ右手だけ自由にして殺害したのか? さらに、妻を殺したのは同じ人物だったのか? 意外な結末が待っていた

本書は450ページの大書ですが、実際に殺人が発生するのは147ページ。つまり全体の3分の1読んだところでやっと殺人事件が発生するということです ホロヴィッツはそれほどの分量を費やし、フェスティバルに参加した面々や主催者側の人たちの人物像やそれぞれの関係を描き、何かが起こりそうな雰囲気を醸し出しています そして誰が犯人でもおかしくないという伏線を張っていきます 私が「この真犯人かもしれない」と思ったのは、作中のホロヴィッツが好意的に描いている人物です 「最も犯人らしくない人物が犯人である」というのが推理小説の鉄則ですから しかし、動機が分からないのでその人が犯人であると断定することができませんでした。結果的には当たっていましたが

犯人は「なぜ右手だけ自由にして殺害したのか?」について、ストーリーの途中で「死ぬ前にある書類にサインをさせるために右手だけ自由にしておいた」という説が開陳されますが、これは説得力があるな、と思いました しかし、そういう理由ではなかったので、それではいったいなぜ? と疑問が深まりました このあたりの仕掛けはホロヴィッツならではだと思います

登場人物同士の複雑な人間関係の間に巧妙に張り巡らされた伏線、誰が犯人であっても不思議ではないという状況設定、今回も してやられました 読み始めたら途中で止められない面白さ 一気読みをお勧めします

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まさかの陽性 / 井上道義 語る ~ 朝日朝刊連載「人生の贈りもの 第10回 ~ 序盤に響く携帯音 とっさに転倒」:ライブ録音中のアクシデント / ギンレイホール閉館

2022年11月29日 07時05分12秒 | 日記

29日(火)。世の中には3つの坂があります。1つ目は「上り坂」、2つ目は「下り坂」、そして3つ目は「まさか」です その「まさか」の陽性です 24日(木)にO病院でPCR検査を受けましたが、検査をしたH医師から27日(日)夕刻に、その結果が陽性だったという電話連絡がありました 検査翌日の25日(金)には5回目の新型コロナワクチンを接種しているし、体温も平熱が続いているので安心していた身には、寝耳に水です 外出時は常にマスクを着用しているし、家に帰れば手指の消毒を欠かさないし、外で人と会食する機会もないので、感染の心当たりは全くありません H医師から「保健所に登録するので、保健所から連絡があると思います」と言われたので待つことにしました 私は無症状なので何とかなりますが、困るのは一緒に暮らしている娘が「濃厚接触者」となるので自宅待機を余儀なくされることです 娘は勤務先の店舗が移転して新規オープンしたばかりということもあり、先週から朝4時半には起床し、5時半には家を出て働き、午後5時に帰宅するといった超多忙な生活を送っているので、休むことによる影響が大きいのです 取り急ぎ娘の「自宅待機期間」がいつまでなのかを勤務先に連絡しなければなりません 区役所内の保健所のサイトを見ると、無症状の陽性者は「検体採取日の翌日から7日間が自宅待機」となっているので、私の場合は12月1日までと考えられます 一方、濃厚接触者の娘の場合は「り患した者との最終接触日の翌日から5日間が自宅待機」となりますが、11月29日(本日)までという解釈で良いのかどうか?  保健所からの連絡がないと勝手に判断できません とにかく待つしかないので待つことにします

ということで、わが家に来てから今日で2878日目を迎え、ロシアの独立系メディアは、プーチン政権がウクライナでの戦闘長期化を視野に、態勢立て直しの「時間稼ぎ」のため、この冬に予備役30万人の多くを危険な前線近くに投入する見通しだと報道した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンは 自分の野望を遂げるためなら 兵士が何人死のうが構わないと考えてる

 

そういうわけで、私が無症状ながらコロナ感染者のため、昨日の夕食は娘が「すいとん」を作ってくれました いつも自分で料理を作っている身からすると、他人(ひと)様の作ってくれた料理はとりわけ美味しく感じます 無症状なんだから日本酒飲んでもいいよね

 

     

 

         

 

昨日の朝日新聞夕刊に「ギンレイホール  48年に幕」という記事が載っていました リードに次のように書かれています

「東京・飯田橋にある老舗の名画座『ギンレイホール』が27日夜、閉館した。入居するビルが老朽化し建て替えるため、立ち退く 移転先は神楽坂地区を念頭に交渉中だというが、再開する場合も1年以上はかかる見込みだという

 

     

 

ギンレイホールには何回通ったか数え切れません 年間パスポート(1人用=税込み@11,000円)で2本立て映画を1年間何回でも観られるという超お得なシステムが際立っていました 長い間、良質の映画を提供していただきありがとうございました 再開するのを心待ちしたいと思います

 

     

 

         

 

朝日新聞朝刊に連載の「語る~人生の贈りもの 井上道義」は昨日第10回目を迎えました タイトルは「序盤に響く携帯音  とっさに転倒」です これは1999年9月30日にすみだトリフォニーホールで行われた井上道義指揮新日本フィルによるマーラー「交響曲第1番」のコンサートでの出来事を表しています

当時、井上道義は新日本フィルを振ってマーラー「交響曲全曲演奏会」に挑戦し、すべてをライブ録音するという試みを開始しましたが、この日はその第1弾でした 全曲を聴くつもりでいた私もその会場に居合わせていました 井上の指揮で第1楽章がピアニシモの緊張感の中で開始されましたが、ほんの数分経ったところで1階席右後方辺りで ピピピピッ というケータイの着信音が鳴り出したのです 演奏中の楽員もその音に気づいた様子で不安そうな顔をしています すると突然、指揮をしていた井上道義が「あ~っ」という声とともに指揮台から転げ落ちたのです 先代の林家三平なら「あ~、落後者」と言って笑いを取るところですが、ライブ録音中です。それどころではありません 楽員も聴衆も、いったい何が起こったのかという唖然とした表情です 井上は やおら起き上がり、舞台袖に引き上げ、十数分後に再び指揮台に上り第1楽章冒頭から指揮をやり直しました    私は長い間コンサート通いを続けてきましたが、指揮者が指揮台から落ちるのを見たのは生まれて初めてでした

井上は当時の様子を吉田純子編集委員のインタビューに次のように語っています

「序盤の静かなところでピピピ・・・って。それからしばらく楽員の顔をうかがってたけど、みんなフリーズしたままだった ライブ録音している公演だったので、これは止めた方がいいなと思った。こういう類の大きな物語を描いていく音楽って、最初でつまづいたらもうダメなんだ。でも、ここで僕が普通に中断したら、鳴らしたお客さんや楽員のせいだと思われてしまう。ということで、とっさの判断でした 楽員たちの反応?  ポカーンとしてましたよ。だって、いきなり僕が視界から消えちゃったんだから わざと転んだって、誰も気付かなかったんだな。気付いていたのは僕の妻くらいで、ほとんどの人たちは、「かわいそうに、大丈夫かな」って心配してくれていた。そのあとの演奏はうまくいきました。でも、コケた時にどうやら足元のマイクにぶつかっちゃったらしく、肝心の録音がダメになってた。結局、録り直しました

その「録り直し」はその翌年、20世紀最後の2000年7月29日に同じ会場で、1年前に会場にいた聴衆を無料招待して全楽章が演奏されました もちろん、私もその会場に駆けつけましたが、感慨もひとしおでした そして、2000年11月に発売されたのが下の写真のCDです

 

     

     

 

このCDに付属しているブックレットに音楽評論家の東条碩夫氏が解説を書いています その中の対談で、井上は初日のアクシデントについて次のように裏事情を語っています

東条「他日録り直しができるんだったら、初日にあんな手の込んだ方法で演奏を中断してやり直す必要もなかったんじゃない?」

井上「そりゃ僕が新日フィルの音楽監督だったら、いつ録り直すかすぐ考えられたかもしれない けど、僕は客演指揮者だし、そんな再録音のスケジュールなんか取らせてもらえるかどうかわからない立場でしょう それにお客さんが帰ってから部分的に録り直しをしても、ホールのアコースティックが変わってしまうからーとディレクターに前もって言われていた。僕はそれに反論できなかった

井上道義と新日本フィルとの関係は、1983年~1988年=音楽監督、1999年9月~2000年6月=マーラー「交響曲全曲演奏会」ライブ録音、2000年~2003年=首席指揮者となっており、マーラー・チクルスの期間は客演指揮者の一人に過ぎませんでした

井上はさらに吉田さんのインタビューに応えます

「みんなが幸福になる舞台をつくり、そこに僕も一緒に立つ。それが僕の理想です お客さんにはちょっと申し訳ないんだけど、僕、本番で失敗しても別にいいと思ってる。完璧なものが、必ずしも最良の音楽というわけじゃない。完璧なところへ行こうとする、その真剣さが感動をもたらすんだ それぞれのやりがいを共有しながら完成を目指し、全力で練習を重ねる。そのプロセスがあってこそ、芸術は意味を持つ。僕はそう信じている

「本番で失敗しても別にいいと思ってる」という言葉は、思っていてもなかなか言えない台詞だと思います しかし、「完成を目指して全力で練習を重ねる」というプロセスを大事にするという点は納得させられます そんな井上道義も2024年末をもって指揮者を引退します。「惜しまれるうちが華」というのが彼の美学なのでしょう

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「METライブビューイング2022ー2023」第1弾 ケルビーニ『メデア』を観る ~ マリア・カラスが復活させたオペラにソンドラ・ラドヴァノフスキーがチャレンジ!:新宿ピカデリー

2022年11月28日 07時06分22秒 | 日記

28日(月)。わが家に来てから今日で2877日目を迎え、中国・上海の新疆ウイグル自治区にちなんで名づけられた道路の交差点で「習近平退陣しろ、共産党退陣しろ」と叫ぶ大規模なデモが行われた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新疆ウイグル自治区の人権問題と 政権のゼロ・コロナ政策に我慢できなくなったね

     

         

 

METライブビューイングが今年も開幕しました 昨日、新宿ピカデリーで「METライブビューイング2022ー23」第1弾、ケルビーニ「メデア」(MET初演)を観ました これは今年10月22日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はメデア=ソンドラ・ラドヴァノフスキー、ジャゾーネ=マシュー・ポレンザーニ、クレオンテ=ミケーレ・ペルトゥージ、グラウチェ=ジャナイ・ブルーガー、ネリス=エカテリーナ・グバノヴァ。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、指揮=カルロ・リッツィ、演出=デイヴィッド・マクヴィカーです

 

     

 

「メデア」はマリア・ルイジ・ケルビーニ(1760ー1842)がフランソワ=ブノワ・ホフマンの台本を基に作曲、1797年3月13日にパリのテアトル・フェイドーで初演されたオペラです

舞台は古代コリント。国王クレオンテは、アルゴー号で数々の冒険に出かけて武勲を立てたジャゾーネに、娘のグラウチェを嫁がせることにした しかし、グラウチェの心にはジャゾーネの前妻メデアの存在が重くのしかかっていた かつて、ジャゾーネは、金羊毛を手に入れるため、コルキスの王女であるメデアに弟を殺させ、その上で残忍な心を持った魔女メデアと結婚したのだった ジャゾーネは王クレオンテにアルゴー号の探検で手に入れた数々の宝物を披露すると、そこにメデアが現れ、かつてジャゾーネと交わした愛と、彼に奪われた2人の子どものことを訴える しかし、ジャゾーネは冷たくそれを拒む(以上、第1幕)

クレオンテはメデアに国外追放を命じるが、彼女の懇願により1日の猶予を与えることにする メデアは侍女ネリスに自分の子を連れてきて、グラウチェに復讐するために毒を仕込んだ王冠とローブを結婚祝いとして彼女に贈るようにと頼む(以上、第2幕)

メデアは自分とジャゾーネの間の子を殺すべきかどうか迷う グラウチェが毒を仕込んだ王冠とローブで死んだという知らせを聞き、メデアは復讐の成功を喜ぶが、人々が彼女の死を悲しんでいるのを聞き、子どもも殺してしまう 出てきたジャゾーネに復讐が終わったと告げ、宮殿に火を放つ(以上、第3幕)

歌劇「メデア」はパリでは20回で打ち切られましたが、ドイツ系諸国では19世紀だけで500回以上も上演されました しかし、20世紀に入ると忘れ去られてしまいました その後、1953年開催のフィレンツェ音楽祭はマリア・カラスをタイトルロールに迎え、ヴィットリオ・グイの指揮で「メデア」を上演、大成功を収めました それ以後、カラスは代表的レパートリーとして62年6月まで31回「メデア」を歌いました この間、1957年9月にはトリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団をバックにスカラ座で録音を行いました それが下のCDです

 

     

 

正直に告白すると、この2枚組CDは20年以上前に購入したものの、包装用セロファンを開けることなくCD棚に眠らせていて、今回このライブビューイングを観るにあたり、「そういえばマリア・カラスのCD持ってたよな」と引っ張り出してきたものです ここだけの話、ほかにも何組かあります

カラスの凄絶な演唱に魅せられたパゾリーニ監督は1969年に映画「王女メデア」を製作し、カラスは歌わずに女優として出演しました その映画が下のVHSビデオです

 

     

 

正直に告白すると、このVHSテープは20年以上前に購入したものの、再生用プレーヤーが壊れてしまい1度も観ることなくビデオ・テープ棚に放置されていたものです

なお、この映画は今年7月3日に新文芸坐で観たので、その感想を翌4日のブログに書きました 興味のある方はご覧ください

 

     

 

ライブビューイングに戻ります

メデアを歌ったソンドラ・ラドヴァノフスキーは1969年米イリノイ州生まれのソプラノですが、ドラマティックな歌唱と身体を張った演技はマリア・カラスに届きそうです 何よりも、グラウチェと自分の子供たちを殺したのは、そもそもジャゾーネの裏切りが原因であり、メデアこそ犠牲者だったということを説得力を持って歌い切りました また、マクヴィカーの演出はメデア役に過酷なまでの動きを要求するので、53歳のラドヴァノフスキーにとっては厳しいものがありますが、そんな表情はおくびにも出しません 幕間のインタビューによると、そもそもこの公演は彼女がMETのピーター・ゲルブ総裁に「メデア」を歌わせてくれと提案して実現したそうです 自信も覚悟もあったのでしょう 素晴らしいディーヴァです

ジャゾーネを歌ったマシュー・ポレンザーニは1968年米イリノイ州生まれのテノールですが、リリカルな歌唱と迫真の演技で聴衆を魅了しました

国王クレオンテを歌ったミケーレ・ペルトゥージは1965年イタリア・パルマ生まれのバスですが、国王に相応しいノーブルな歌唱と威厳のある振る舞いで存在感を示しました

グラウチェを歌ったジャナイ・ブルーガーは1983年シカゴ生まれのソプラノですが、落ち着いた歌唱で美声を発揮しました

ネリスを歌ったエカテリーナ・グバノヴァは1979年モスクワ生まれのメゾ・ソプラノですが、深みのある声で聴衆を魅了しました

特質すべきは1960年イタリア生まれのカルロ・リッツィ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏です 歌手に寄り添いながら、自らメデアの悲しみや怒りを、ジャゾーネの迷いを歌い上げていました とくに劇的な序曲と第2幕と第3幕の導入部における管弦楽だけによる音楽は、これから起こる出来事を暗示する渾身の演奏でした

今回の公演の大きな特徴は1966年スコットランド生まれのデイヴィッド・マクヴィカーによる演出です ステージ上で演じられている舞台が、バックの壁に鏡のように映し出し出されます 実際には天井から舞台を見下ろす位置にあるカメラが映した映像を背景のスクリーンに映し出していると思われますが、観る者に強い印象を与えます

本ライブビューイングの上演時間は幕間のインタビュー等の特典映像、休憩(1回=約10分)を含めて3時間6分   上映は12月1日(木)までです

MET初演となる今回の「メデア」は新シーズンの開幕に相応しいチャレンジングな公演でした

 

     

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ジョナサン・ノット ✕ アンティエ・ヴァイトハース ✕ 東響でシューマン「ヴァイオリン協奏曲」、ベートーヴェン「交響曲第2番」他を聴く ~ 東響第706回定期演奏会

2022年11月27日 07時06分57秒 | 日記

27日(日)。来年1月28日(土)の新国立オペラ「タンホイザー」と東京シティ・フィル「第357回定期演奏会」が同じ14時開演でダブってしまうので、振替制度のある新国立オペラを1月31日(火)14時開演の部に振り替えました

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2876日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は25日、ウクライナでの「特別軍事作戦」に参加する兵士の母親らとモスクワで懇談し、「子どもを失った悲しみは何物にも代えがたい」とし、「私や指導者全員が痛みを分かち合っていることを知ってほしい」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンは兵士の命など何とも思っていない 国と子供とどっちが大事か考えるべき

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京交響楽団の第706回定期演奏会を聴きました プログラムは①シューマン「マンフレッド」序曲、②同「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」、③ベートーヴェン「交響曲第2番 ニ長調 作品36」です   演奏は②のヴァイオリン独奏=アンティエ・ヴァイトハース、指揮=ジョナサン・ノットです

 

     

     

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスはグレブ・ニキティンです 管楽器を見渡すと、フルートには東京シティ・フィル首席の竹山愛さんが客演しています。珍しいですね

1曲目はシューマン「マンフレッド」序曲です     この曲はロベルト・シューマン(1810ー1856)がイギリスの詩人ジョージ・ゴードン・バイロン卿の詩劇「マンフレッド」に触発されて1848年に作曲した作品です

ノットの指揮で演奏に入ります。後輩のブラームスに通じる”ほの暗い情熱”を感じさせる音楽が会場を満たしました

2曲目はシューマン「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」です この曲は名ヴァイオリニスト、ヨアヒムのために1853年に作曲されましたが、演奏困難などの理由で幾たびか初演が延期となり、最終的には1937年11月にクーレンカンプの独奏、カール・ベーム指揮ベルリン・フィルにより初演されました 第1楽章「力強く、速すぎないテンポで」、第2楽章「ゆっくりと」、第3楽章「生き生きと、しかし速くなく」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏のアンティエ・ヴァイトハースはクライスラー国際、バッハ国際、ハノーファー・ヨーゼフ・ヨアヒム国際の3つのコンクールで優勝を果たしています 現在 母校のハンス・アイスラー音楽大学ベルリンで教授として後進の指導に当たっています

グリーンの衣装に身を包まれたヴァイトハースが登場し、ノットの指揮で演奏に入ります 彼女は楽譜を見て演奏しますが、第1楽章を聴く限り相当技巧的で演奏が難しそうです しかし、彼女は確かな技巧の裏付けの元、変幻自在に様々な音色でシューマンの世界を描いていきます 第2楽章はロマン溢れる演奏でした 第3楽章はノット ✕ 東響の確かなバックに支えられ、リズム感よく生き生きと演奏、華やかなフィナーレを飾りました

彼女の使用楽器はストラディバリウスのような歴史的なヴァイオリンではなく、ペーター・グライナー製(2001年)とのことですが、完璧に弾きこなしていました こういうのを日本では「弘法筆を選ばず」と言います

会場いっぱいの拍手にヴァイトハースは、バッハ「パルティータ第2番」よりサラバンドを鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第2番 ニ長調 作品36」です この曲はルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1800年から翌02年にかけて作曲、1803年4月5日にアン・デア・ウィーン劇場で初演されました 第1楽章「アダージョ・モルト ~ アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

ノットの指揮で第1楽章が開始されます 穏やかな序奏部に続き、アレグロに入りますが、相当速いテンポで演奏が進みます 荒絵理子のオーボエ、竹山愛のフルートが素晴らしい ホルンの2人も冴えています。そして、固いマレットで打ち込まれるティンパニが心地よいリズムを刻みます 第2楽章のアダージョは傑作です。とても美しい音楽です この曲の大きな特徴は、第3楽章に「メヌエット」ではなく「スケルツォ」を採用したことです 強弱の変化の激しい音楽が繰り広げられます 第4楽章は緊張感のある音楽で幕開けしますが、その後はテンポアップして躍動感あふれる演奏が極めて速いテンポで展開します 実に爽快な演奏でした

カーテンコールが繰り返され、そこかしこでスマホがノットに向けられていました

 

     

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「東京交響楽団2022ー2023シーズン」ラインナップ発表 / クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』より第7話「ある告白に関する物語」、第8話「ある過去に関する物語」を観る

2022年11月26日 07時04分32秒 | 日記

26日(土)。昨日午前、豊島区役所本庁舎1階特設会場で、新型コロナワクチンの5回目(オミクロン株対応:モデルナ)を接種してきました

東京シティ・フィルから「2023年度定期会員継続案内」が届きました   現在、私は東京オペラシティコンサートホールでの「定期演奏会」(全9回)会員ですが、プログラムの魅力的なラインナップから会員継続(1階・S席)します ただし、現在の席は通路から1つ入った席なので、通路側を希望します さっそく第1希望・第2希望を書いてハガキを投函しておきました また、ティアラこうとう定期演奏会(全4回)も最高のプログラムなので新規申し込みをします こちらは12月26日が会員先行発売日なので、その日を待ちます

また、東京交響楽団の「2022ー2023シーズン」ラインナップが発表されました 東響には①定期演奏会(サントリーホール)、②川崎定期演奏会(ミューザ川崎)、③東京オペラシティシリーズ、④新潟定期演奏会の4シリーズがあり、このほかミューザ川崎との提携による④名曲全集があります

 

     

 

定期演奏会(サントリーホール)の概要は以下の通りです。

①4月15日(土)18時開演:①プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」より、②コネッソン「Helterkelt」、③シマノフスキ「スターバト・マーテル」(ウルバンスキ指揮)

②5月20日(土)18時開演:①リゲティ「ムジカ・リチェルカータ第2番」(ピアノソロ)、②マーラー「交響曲第6番イ短調」(ジョナサン・ノット指揮)

③6月24日(土)18時開演:①モーツアルト「ピアノ協奏曲第21番」、シューベルト「交響曲第8番ハ長調」(マリオッティ指揮、萩原麻未ピアノ)

④7月16日(日)14時開演:①エルガー「ヴァイオリン協奏曲」、②ブラームス「交響曲第2番」(ジョナサン・ノット指揮、神尾真由子ヴァイオリン)

⑤8月19日(土)18時開演:①メンデルスゾーン「交響曲第5番」、②同「交響曲第2番」(鈴木優人指揮)

⑥9月23日(土)18時開演:①ベートーヴェン「交響曲第3番」、②R.シュトラウス「英雄の生涯」(ヴィオッティ指揮)

⑦10月15日(日)14時開演:①ドビュッシー/ノット編「交響的組曲”ペレアスとメリザンド”」、②ヤナーチェク「グラゴル・ミサ」(ジョナサン・ノット指揮)

⑧11月11日(土)18時開演:①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第2番」、②同「交響曲第6番」(ジョナサン・ノット指揮、ゲルハルト・オピッツ:ピアノ)

⑨12月16日(土)18時開演:①シューマン「交響曲第1番」、②ブラームス/シェーンベルク編「ピアノ四重奏曲第1番」(ユベール・スダーン指揮)

⑩3月30日(土)18時開演:①藤倉大「Wavering  World」、②シベリウス「交響曲第7番」、③ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」(原田慶太楼指揮、オルガ・カーン:ピアノ)

個人的にはノット指揮によるマーラー「第6番」、ブラームス「第2番」、ヤナーチェク「グラゴル・ミサ」、スダーン指揮によるシューマン「第1番」に期待します

東京オペラシティシリーズの概要は以下の通りです

①4月23日(日)14時開演:①メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」序曲、②ショパン「ピアノ協奏曲第2番」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番」(ウルバンスキ指揮、ヤン・リシエツキ:ピアノ)

②6月3日(土)14時開演:①武満徹「3つの映画音楽」より、②井上道義「交響詩”鏡の眼”」、③エルガー「チェロ協奏曲」、④同「南国にて」(井上道義指揮、上野通明チェロ)

③9月30日(土)14時開演:①アンナ・クライン「彼女の腕の中で」、②エルガー「海の絵」、③ブラームス「交響曲第4番」(アンガス・ウェブスター指揮)

④10月21日(土)14時開演:①リゲティ「ハンガリアン・ロック」、②べリオ「声(フォーク・ソングⅡ)、③ブルックナー「交響曲第1番」(ジョナサン・ノット指揮)

⑤11月17日(金)19時開演:①リゲティ「アバリシオン」、②ドビュッシー「3つの夜想曲」より「祭り」、③ブーレーズ「メサジェスキス」、④アマン「グラット」、⑤ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」(ジョナサン・ノット指揮、ゲルハルト・オピッツ:ピアノ)

⑥12月7日(木)19時開演:①ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、②ベートーヴェン「交響曲第9番」(秋山和慶指揮)

このシリーズでは、最後の「第九」くらいしか興味がありません

現在、私はサントリーホールでの「定期演奏会」の会員ですが、次シーズンも1階後方のA席で継続するつもりです

ということで、わが家に来てから今日で2875日目を迎え、アルメニアのパシニャン首相が23日、ロシアのプーチン大統領も参加した軍事同盟「集団安全保障条約機構」(CSTO)首脳会議の宣言案などへの署名を拒否したが、隣国との紛争でCSTOが支援しない不満があるからであるとみられている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     現在のプーチン・ロシアの置かれた状態を「四面楚歌」とも「孤立無援」とも言う

 

         

 

昨日、夕食に2週間に1度のローテにより「鶏の唐揚げ」を作りました ワクチンを接種しましたが、「接種後の注意点」に「激しい運動、過度の飲酒等は控えてください」とあったので、「過度」でなければいいんだなと我田引水の解釈をして、サッポロCLASSICを1杯だけ飲みました   そのせいかどうか、昨夜38.7度の熱が出ましたが、今朝は36.9度まで下がりました 熱が出るのはこれまでの経験で分かっていたので、慌てずに済みました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でポーランド生まれの名匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1988年製作映画『デカローグ』(全10話)より 第7話と第8話を観ました

 

     

 

第7話「ある告白に関する物語」(57分・カラー)

マイカは16歳で母親になった 彼女の母親エヴァは世間体を気にして、娘をマイカから取り上げ自身の娘として育てていた ある日マイカは娘を連れ出し逃避行に出る。2人は娘の事実上の父親の住まいに逃げ込む。マイカは娘に「ママと呼んで」と言うが、娘は「マイカ」としか言わないのでマイカは苛立ちを隠せない。母エヴァは2人の行方を捜す 駅舎にいるところを発見されたマイカは、エヴァが抱きかかえる娘を置いて、到着した列車に一人で飛び乗って去っていく

マイカが娘に「ママと呼んで」と言っても「マイカ」としか呼ばないほど、娘はエヴァから「エヴェが母親である」と刷り込まれていた(マインドコントロールされていた)ことになります いくら孫が可愛いとはいえ、自分の娘マイカから取り上げて自分が母親に成り代わるのは行き過ぎだろうと思います 娘の成長とともに16歳だったマイカも成長して大人になっていくからです 最後に娘を置いて一人で列車に飛び乗ったのは、その場に残れば、エヴァの言いなりになって今まで通りの屈辱的な生活が待っていると思ったからでしょう 誰かが幸せになるためには誰かが犠牲になっている、ということでしょうか

 

     

 

第8話「ある過去に関する物語」(57分・カラー)

大学で倫理学の教鞭をとるゾフィアは学長から学術交流でアメリカからやってきたエリザベタを紹介される ゾフィアの授業に参加したエリザベタはある質問を投げかける それは、「ナチス時代のワルシャワで、不正な洗礼に立ち会うことは神に対して偽りを述べることになるため、ユダヤ人少女の命を守るための洗礼の後見人になるのを拒んだカトリック夫婦の倫理とは?」というものだった 実は、ユダヤ人少女とはエリザベタのことで、後見人になるのを拒んだカトリック夫婦とはゾフィアと夫のことだった エリザベタは「誰でも自分の命が大事なのだから恨んでいない」と言う。それに対し、ゾフィアは「あの時われわれ夫婦が後見人になるのを拒否したのは、宗教上の理由からではなく、エリザベタを匿うことになっていた地下活動の仲間が密告者だという情報があったからで、そうだとしたらエリザベタは早晩ゲシュタポの手に落ちるだけでなく、組織の存亡まで危うくなるという理由からだった ただ密告者だという情報は全くの嘘で、そのために善意のある仲間を深く傷つけてしまったことは弁解の余地がない」と語る。エリザベタはその晩ゾフィアの家に泊り、翌朝かつて彼女を匿うはずだった現在仕立て屋を営んでいる男に会いに行った 彼女は感謝の言葉を伝えようとするが、彼は「戦争とその後の話はしたくない」と言って服の注文を訊くばかりだった

この種の話はポーランドでは実際にあちこちであったのではないか、と想像します ナチス政権下の国は「密告社会」だったので、誰も信用できない状況にありました 現在においても北朝鮮がそうです ウクライナに武力で侵略し、国民に自国に都合のよい情報だけを報道しているプーチン・ロシアも似たようなものかもしれません 中国は「密告社会」というよりも、国のいたるところに設置されている監視カメラにより四六時中、国家に監視されている「監視社会」と言えるでしょう こういう社会で暮らしたいとは全く思いませんね

 

     

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が740万ページビューを超えました( 7,402,563 P V 。トータル訪問者数は 2,284,172 I P )。これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆さまのお陰と感謝しております    これからも手術しようが入院しようが1日も休むことなく毎日書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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レナード・スラットキン ✕ レイ・チェン ✕ N響でメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、ヴォーン・ウイリアムズ「交響曲第5番」他を聴く ~ N響11月度Bプロ2日目定期公演

2022年11月25日 07時00分39秒 | 日記

25日(金)。わが家に来てから今日で2874日目を迎え、ロシア大統領府のドミトリー・ぺスコフ報道官は23日、ウクライナ侵攻について「特別軍事作戦の未来と成功は疑う余地がない」と述べた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そうでも言わないと やってらんないからね  本音は早く終わってほしいんじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜とツナのサラダ」「エビ団子スープ」を作りました  肉じゃがは30分近くコトコト煮込んだので、味がよく浸み込みました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでN響11月度Bプロ2日目定期公演を聴きました プログラムは①ヴォーン・ウィリアムズ「富める人とラザロ」の5つのヴァリアント、②メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」、③ヴォーン・ウィリアムズ「交響曲第5番 ニ長調」です    演奏は②のヴァイオリン独奏=レイ・チェン、指揮=レナード・スラットキンです

レナード・スラットキンは1944年ロサンゼルス生まれ。セントルイス響、ワシントン・ナショナル響、デトロイト響、リヨン国立管弦楽団の各音楽監督を歴任、N響には1984年以来数年おきに客演しています

 

     

 

1曲目はヴォーン・ウィリアムズ「富める人とラザロ」の5つのヴァリアントです この曲はラルフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872ー1958)がニューヨークの万国博のために1939年に作曲、同年ニューヨークで初演されました 「富める人とラザロ」は新訳聖書の金持ちと貧者ラザロの寓話を元にしたバラッド(物語歌)です 短い序奏と主題のあと、5つのヴァリアントが続きます

オケは弦楽とハープ2台のみの編成で、弦楽器は14型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものN響の並び 中央後方にはハープ2台がスタンバイします コンマスはプログラム冊子には白井圭とありましたが、伊藤亮太郎に変更になっています たまにこういうことはあります

黒の衣装に臙脂のネクタイでバッチリ決めたスラットキンが指揮台に上り演奏に入ります どこか懐かしい音楽はヴォーン・ウィリアムズの特徴です 郷愁を誘う音楽は日本人の感性に合うように思います これは同じ英国の作曲家ディーリアスの音楽にも共通しています 厚みのある弦楽合奏が素晴らしく、終盤のハープと伊藤コンマスのコラボが美しく響きました

 

     

 

2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809ー1847)が1838年から1844年にかけてフェルディナント・ダーヴィドの助言を得て作曲、1845年3月13日にライプツィヒでダーヴィドの独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ ~ アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

ソリストのレイ・チェンは台湾生まれ、オーストラリア育ちのヴァイオリニストです。2008年のユーディ・メニューイン国際コンクール、2009年のエリザベート王妃国際コンクールで優勝を果たしています

オケは10型に縮小し、管打楽器が加わります スラットキンの指揮で第1楽章が開始され、すぐに独奏ヴァイオリンが入ってきます 第一印象は「押しの強い演奏」です 「自己主張の強い演奏」と言い換えても良いかもしれません。「誰が何と言おうと俺の演奏はこうなんだ」という意志の強さを感じます 第2楽章では、愛器ストラディバリウス「ドルフィン」の美しい音色が会場を満たします この楽器は長い間、日本音楽財団から諏訪内晶子に貸与されていた名器です あまりにも心地良い演奏だったのか、隣席で舟を漕いでいた中年女性は、急に椅子の背もたれにゴチンと頭をぶつけていました どうやら目が覚めたようです 第3楽章に入ると、レイ・チェンの切れ味鋭いヴァイオリンが愉悦感に満ちた音楽を奏でます 彼の演奏姿を見ているとヴァイオリンを弾くのが楽しくてしかたないという風に見えます スラットキン ✕ N響の確かなサポートに支えられ、最後までアグレッシブな演奏を展開しました

満場の拍手に、レイ・チェンは日本語で「アリガトゴザイマス」と言い、オーストラリア民謡(レイ・チェン編)「ワルチング・マチルダ」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はヴォーン・ウィリアムズ「交響曲第5番 ニ長調」です    この曲は1938年から43年にかけて作曲され、1943年(作曲者70歳)にロンドンで初演されました   第1楽章「前奏曲:モデラート」、第2楽章「スケルツォ:プレスト・ミステリオーソ」、第3楽章「ロマンツァ:レント」、第4楽章「パッサカリア:モデラート」の4楽章から成ります

オケは14型に戻り、スラットキンの指揮で第1楽章に入ります 冒頭のホルンの動機がとても印象的です この動機が後で何度か登場します。この曲で一番印象的なのは第3楽章です。冒頭の池田昭子のイングリッシュホルンの演奏をはじめ、吉村結実のオーボエ、神田寛明のフルートの演奏が素晴らしい そして、終盤における伊藤コンマスのヴァイオリン・ソロが美しかった 第4楽章では、第1楽章の冒頭が回想されるところが懐かしく感じました 静かに終わるのがこの曲の良いところかもしれません

満場の拍手の中、カーテンコールが繰り返され、女性楽団員からスラットキンに花束が贈呈されました

 

     

     

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クシシュトフ・キュシロフスキ監督『デカローグ』より 第3話「クリスマス・イヴに関する物語」・第4話「ある父と娘に関する物語」を観る / 球は常に防者にあり ~ 正岡子規のことば

2022年11月24日 07時02分34秒 | 日記

24日(木)。昨日の朝日朝刊第1面のコラム「折々のことば」は、正岡子規の次の言葉を紹介していました

「ベースボールにはただ1個の球(ボール)あるのみ。そして球は常に防者の手にあり」

これに対する鷲田清一氏のコメントは次の通りです

「歌人の野球好きは半端ではなく、本名の升(のぼる)をもじって『野球(ノボール)』としたくらいだ 球は攻められるほうが持つ。敵を除外(アウト)ならしめること、攻者を攻者でなくすことが目的だ 投じられた球を打つ攻者も、敵を撃つのではなく、その間を抜こうとする 戦いなるもの、本来かくあるべしと言っているような 不意打ち、闇討ちもなくはないが。(『正岡子規ベースボール文集』から)」

たしかに、野球では1個のボールしかフィールド内にはないし、そのボールは必ず守備側の選手が持っています 攻撃側はそのボールを打つか、見逃してフォアボールを選ぶかで得点しようとします しかし、ボールを打つのは守備の選手にぶつけるためでなく、選手がいないスペースを狙って抜くためです

「野球は相手チームより1点でも多く得点した方が勝つ」としか考えていない単細胞の私にとって、野球をこのような視点で捉えた文章を読んだのは初めてだったので、新鮮に感じると同時に、正岡子規ってすごい人だと思いました

ということで、わが家に来てから今日で2873日目を迎え、米最高裁は22日、トランプ前大統領が自身の財務記録が下院歳入委員会に渡るのを阻止するために起こしていた訴えを退けた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     痴呆絶頂期のトランプは 2年前から大統領特権がないということを 理解してない

 

         

 

昨日は冬のように寒かったので夕食はおでんにしました 大根と卵は早めに煮込んでおいて、後から他の具材を煮込みました 日本酒は単身赴任中の息子が送ってくれた鶴岡の地酒です

 

     

 

         

 

早稲田松竹でクシシュトフ・キュシロフスキ監督による1988年製作ポーランド映画『デカローグ』(全10話)のうち第3話と第4話を観ました

 

     

 

第3話「クリスマス・イヴに関する物語」(58分・カラー)

家族とイヴを祝っていたタクシー運転手のヤヌーシュの前に、かつての恋人エヴァが現れる 彼女は現在の恋人が行方不明なので一緒に捜してほしいと頼む ヤヌーシュは妻に車を盗まれたから探しに行くと嘘をつき、エヴァと共に聖夜のワルシャワを彷徨う

実はエヴァは独り者で、クリスマス・イヴを一人で過ごすことが寂しくて、かつての恋人ヤヌーシュを巻き込んでイブの夜を過ごしたかったのです ヤヌーシュが運転してドライブ中、突然エヴァがハンドルを切ってクリスマス・ツリーに衝突させ倒してしまいます トラブルを起こしてまで思い出を作ろうとする・・・気持ちは分からないでもないですが、こういう面倒な女性は嫌われます

 

     

 

第4話「ある父と娘に関する物語」(58分・カラー)

学生のアンカは父ミハウと暮らしている。ミハウが出張のたびに持ち歩くのはアンカへ宛てた手紙だった しかしある日、アンカは自宅で「死後開封」と記された手紙を発見する そこには自分を産んですぐに亡くなった母の筆跡があった

アンカはミハウが実の父親ではないのではないかと疑っています その手紙に「愛する娘へ」という母親の筆跡の文字があったことから、アンカはこの手紙に真実が書かれていると確信します しかし、彼女はそれを開封することなしに、勝手な想像で「ミハウは本当の父親ではない。でもミハウならちゃんと育ててくれると確信する」と母親の筆跡を真似て作文し、それをミハウに見せます そしてアンカは動揺するミハウに「実の父親ではないことを隠していたんでしょう」と問い詰めます ミハウはアンカの本当の父親は別にいることに薄々感づいていたと白状しますが、実の子どものように育ててきたと語ります そこでアンカは、手紙は開封していないこと、自分の想像で手紙の内容を書いたことを告白します そして2人で手紙を燃やします 本当はどんなことが書かれていたのか、2人には分からないままです

このストーリーのテーマは「生みの親か、育ての親か」という問題です 生みの親だろうが、育ての親だろうが、子どもが幸せに育つのならどちらでも良いのではないかと思います しかし、現実にはそうではない酷い親がテレビのバラエティ番組に話題を提供しているのが残念です

 

     

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「目が覚めた コピーじゃだめだ」 ~ 指揮者・井上道義の言葉 / クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』より第5話「ある殺人に関する物語」、第6話「ある愛に関する物語」を観る

2022年11月23日 07時05分55秒 | 日記

23日(水・祝)。朝日新聞連載の「語る  人生の贈りもの 井上道義」は昨日6回目を迎えました 見出しは「目が覚めた  コピーじゃだめだ」です 第5回目の連載で井上は24歳の時イタリアのミラノ・スカラ座主催、グィド・カンテルリ指揮者コンクールに優勝し、その後イタリアに渡り、すべてが完璧主義者の名匠セルジュ・チェルビダッケに出会い、指揮を師事することになった経緯を語っています 第6回ではそのチェリビダッケの厳しさについて語っています 超略すると次の通りです

「20代後半で本格的に世界各地で指揮の仕事をすることになったが、いったい『何が正しい音楽なのか』が分からなくなった 27歳の時、ハンブルクで現地のオケを振っていたら、偶然チェリビダッケも自分のオケを連れて来ていた。コンサート終了後、楽屋を訪ねたら『まだ半人前のくせに、人前で指揮をするなんてノボセルナな!』と怒鳴られた もっと優しく言ってもらいたかったが、その時目が覚めた 芸術を志す者は、誰かのコピーになっちゃいけないと 完璧主義のチェリビダッケの影響を、自分はあまりにも強く受け過ぎていたのだ 14歳の時に指揮者になると決めて、その通りに指揮者になって、これが初めての挫折だった

井上道義のあの”誰かの真似でない”唯一無二のスタイルは、チェルビダッケのひと言から生まれたものだったのですね 人には挫折が必要だという教訓と受け止めました

ということで、わが家に来てから今日で2872日目を迎え、1等前後賞合わせて10臆円が当たる年末ジャンボくじが22日 発売され、東京・銀座の宝くじ売り場「西銀座チャンスセンター」には朝から長い列ができた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     他力本願の宝くじはお金をドブに捨てるようなものだ というのがご主人さまの口癖

 

         

 

もうすぐ息子の誕生日が来るので、いつもの今半からすき焼き用牛肉を鶴岡に送ってあげました ということで、こちらも夕食はすき焼きにしました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でポーランド生まれの名匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督による1988年製作映画『デカローグ』(全10話)のうち第5話と第6話を観ました

 

     

 

第5話「ある殺人に関する物語」(60分・カラー)

青年ヤツェックはタクシー運転手を殺害した 若き弁護士ピョートルは尽力するが力及ばず、極刑の判決が下される 刑執行の日、ヤツェックはピョートルを呼び出し、自身の家族のことを語り出す。そして最後の時が訪れ、刑が執行される

タクシー運転手は乗車拒否の常習犯で、気に入った客しか乗せません ヤツェックは告げた行先が遠かったせいか乗ることができます そしてヤツェックはその運転手をロープで挟殺します 彼は運転手に恨みがあったわけではなく、現代社会で流行の「相手は誰でも良かった」ようです 最後の日、ヤツェックが弁護士ピョートルに話したのは、友人が幼い妹を酔って運転したトラクターで轢き殺したということと、自分の遺体は妹と同じ墓に埋葬してくれるよう母親に伝えてほしいということでした マツェックはそれほど妹を愛していたと言えます。その妹が殺された腹いせに、誰でもいいから殺したかったのかもしれません

 

     

 

第6話「ある愛に関する物語」(61分・カラー)

郵便局で働く19歳のトメクは毎夜、向かいのアパートの部屋に住む美しい女性マグダを望遠鏡で見つめている 彼は郵便局員という職権を利用してあの手この手を使い何とか彼女への接近を試みる トメクは遂にマグダに「愛している」と想いを伝え、デートすることになるが、子ども扱いされる 彼は絶望して剃刀で手首を切り入院してしまう すると、こんどはマグダの方がトメクのことが気になり、郵便局に行って彼が職場復帰したかどうかを確かめたりする そして、マグダは郵便局の窓口に戻ったトメクを訪れるが、トメクは「もう覗かないよ」と言う

トメクのマグダに対する愛はプラトニックなものだったのに対し、マグダの愛の基準は肉体的なものだったことから、意識のすれ違いが起こっていたと言えます

それにしても、アパートに独り住む若い女性が、1日中カーテンを開けっぱなしで生活していて、向かいのアパートから覗かれている、というシチュエーションはリアリティに欠けると思いますが、「おいちゃん、それを言っちゃあおしまいよ」ということなのでしょう トメクとマグダの愛の行方はどうなるのだろうか

 

     

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N響からカレンダー&CD届く ~ 定期会員特典 / クシシュトフ・キェシロフスキ監督『デカローグ』より第1話「ある運命に関する物語」・第2話「ある選択に関する物語」を観る

2022年11月22日 07時04分27秒 | 日記

22日(火)。わが家に来てから今日で2871日目を迎え、岸田首相は21日、政治資金の問題で事実上更迭した寺田稔総務相の後任に松本剛明元外相を起用したが、この1か月足らずで閣僚の辞任は山際大志郎前経済財政・再生相、葉梨康弘前法相に続き3人目となった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     首相は「任命責任を重く受け止めている」と言うが 3人目では言葉に重みがない

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」と「厚揚げの味噌汁」を作りました 疲れた時は豚肉が良いそうです

 

     

 

         

 

N響から年間会員特典CDと来年のカレンダーが届きました CDは首席指揮者ファビオ・ルイージがN響を振ったリヒャルト・シュトラウス「英雄の生涯」(2020年1月22日の定期公演ライブ録音)を収録しています カレンダーはルイージとN響が2021年5月の定期公演を作り上げていく様子が収められています

 

     

     

 

         

 

現在、早稲田松竹ではポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督が1988年に製作した『デカローグ』全10作品を連日上映中です 『デカローグ』の「デカ」とは数字の「十」を、「ローグ」は「言葉」を意味し、旧約聖書の「十戒」を意味しており、全10話の連作集となっています ただ、10話はそれぞれ独立した作品になっています。もともとはテレビシリーズとして製作されたため、1話が約60分と短い作品になっています その質の高さが評判を呼び、1989年ヴェネチア国際映画祭で上映され、その後、世界中で公開され高い評価を受けました    日本では渋谷のイメージフォーラムで上映されましたが、その時見損なってしまったので、いつかどこかの映画館で上映されたら是非観たいと思っていたのです

 

     

 

昨日は第1話「ある運命に関する物語」と第2話「ある選択に関する物語」を観ました

第1話「ある運命に関する物語」(モノクロ・カラー:56分)

大学教授のクシシュトフは息子のパヴェウと暮らしている ある朝、パヴェウから「死って何?」と問われ、魂や神を信じないクシシュトフは戸惑う 2人は2日前からの気温を基に近所の池に張った氷の厚さを計算し、安全にスケートできるかどうかを割り出す しかし、氷は割れ、パヴェウは溺れ死んでしまう

この映画を観ていて懐かしいな、と思ったのは初代のパソコンが活躍していたことです クシシュトフとパヴェウがパソコンに計算式を入れると答えが出てくるというもので、デカい箱が妙に懐かしかったです

なぜ、彼らが計算して安全だと結論を出した池の氷が割れたのか? 事故の前のシーンで、池の畔で焚火をする男性が何度か映し出されます この焚火の温度が氷を解かす原因になったのではないか? クシシュトフは焚火のことを計算に入れていなかったのではないか? ラストシーンで、パソコンのスイッチが自然に入り、「I  am  ready 」(入力してください)という文字が表示されます クシシュトフは呆然と画面を見つめます。ここに「なぜパヴェウは死んだのか?」と入力すれば答えが出て来るとでもいうのか という表情に見えました

 

     

 

第2話「ある選択に関する物語」(カラー:59分)

孤独な生活を送る老医師の前にドロタと名乗る女性が訪ねて来る 彼女は危篤状態で入院している夫の容態を問いただす 彼女は夫を愛しながらも、別の男の子どもを身ごもっており、夫が助かるのであれば子どもをおろすと言う 老医師は彼女に夫に容態は非常に悪いと伝えるが、子どもをおろしてはいけないと言う その後、夫は奇跡的に命を吹き返す

彼女はヴァイオリニストで、「別の男」というのは夫の友人でピアニストであることが分かります そのピアニストが弾いているロマン的なエモーショナルな曲が流れるシーンがありますが、リストのようでもあり、映画の音楽担当者の創作のようでもある不思議な曲でした

結局ドロタの夫も、彼女の生まれてくる子どもも死なないわけですが、ドロタと2人の男と、やがて生まれてくる子どもはいったいどうなるのか、気になるところです

 

     

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ギリーズ・マッキノン監督ティモシー・スポール主演「君を想い、バスに乗る」、カット・コイロ監督ジェニファー・ロペス主演「マリー・ミー」を観る ~ ギンレイホール最後の上映作品

2022年11月21日 07時00分41秒 | 日記

21日(月)。わが家に来てから今日で2870日目を迎え、米ツイッターを買収した米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は19日、「永久凍結」されていたトランプ前大統領のツイッターアカウントを復活させると表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     大幅な人員削減をしたツイッターは 親トランプ派の偽情報を さばききれるのか?

 

         

 

神楽坂のギンレイホールで「君を想い、バスに乗る」と「マリー・ミー」の2本立てを観ました ギンレイホールは今月27日(日)で閉館するので、この2本が最後の上映作品となります

午前10時40分上映開始なので、50分前の9時50分に現地に行ったらすでに地下鉄の階段まで列が出来ていました あと1週間で閉館を迎える日曜日ということで観客が殺到したようです。館内は下の写真を撮影後にほぼ満席になりました

 

     

 

「君を想い、バスに乗る」はギリーズ・マッキノン監督による2021年製作イギリス映画(86分)です

愛する妻メアリー(フィリス・ローガン)を亡くしたばかりのトム・ハーパー(ティモシー・スポール)は、かつてメアリーと出会った場所を訪れるため、ローカルバスのフリーパスを利用してイギリス縦断の旅に出ることを決意する 50年暮らした家のあるスコットランド最北端の村ジョン・オ・グローツを離れ、イギリス最南端の岬ランズ・エンドを目指して、様々な人と出会い、トラブルに巻き込まれながらも、トムは妻と交わしたある約束を胸にバスの旅を続ける

 

     

 

【以下、ネタバレ注意】

トムを演じたティモシー・スポールは実年齢より30歳近く年老いた役を特殊メイクなしで演じたそうです 彼は1957年生まれなので映画完成時64歳、90歳以上の老人を演じたことになりますが、とても演技には思えないリアリティがありました どこかで見たことのある俳優さんだと思ったら「ハリー・ポッター」シリーズに出演していたとのことです 私は彼の顔を見ていてイッセー尾形を思い出してしまいました

トムが1350キロ離れたランズ・エンドまでバスの旅を続ける目的は、そこに眠る赤ん坊のころに亡くなった愛児の墓参りをすることと、癌で亡くなった妻メアリーの骨を海に散骨するためでした 実はトムも癌に侵されていて、旅の途中で血を吐くこともありましたが、途中で出会った人々の親切により、旅を続けることが出来たのです

なぜバスの旅かというと、老人用の無料パスが利用できるからですが、旅の途中でそれはスコットランドだけで通用するパスで、イングランドでは通用しないことをバスの運転手から知らされ、降ろされてしまいます しかし、バスの中でのトムのある勇敢な行動がSNSで拡散され、次第に英雄的な”有名人”になっていたので、乗り継いでいくバスの運転手が料金を取らなくなり、目的地までたどり着くことができます 良い行動も 悪い行動も どこかで誰かが見ていて撮影した画像をSNSにアップして拡散する時代です そういう意味では、この映画は「どこで誰が見ているか分からない。悪いことはできない」というメッセージも送っていると言えるかもしれません

この映画の原題は「The  Last Bus」です 「人生は、乗り合いバスのように、いろいろな人と出会いながら過ぎていく。癌を患っているトムにとってこのバスの旅は、人生最後の旅である」という意味を含ませています

 

         

 

「マリー・ミー」はカット・コイロ監督による2022年製作アメリカ映画(112分)です

世界的歌手キャット(ジェニファー・ロペス)と彼女の恋人である音楽界の新星バスティアン(マルーマ)は、ファンの前で華々しく結婚式を挙げようとしていた しかし、式の直前、バスティアンの浮気が発覚する 失意の中ステージに登壇した彼女は、客席にいた見ず知らずの数学教師チャーリー(オーウェン・ウィルソン)を指名し、突然プロポーズするという驚きの行動に出る キャットを取り巻くスタッフやマスコミ、ファンが大混乱に陥る中、互いを知るところから結婚生活を始める2人だったが・・・

 

     

 

この映画は、ボビー・クロスビーのグラフィックノベルを原作に、ポップスターと平凡な数学教師の恋の行方を描いたラブコメディーです 主役のキャットを演じたジェニファー・ロペスは本作の製作にも関わっていますが、2度の離婚歴などは彼女の私生活を反映しています ジェニファー・ロペスのことは この映画を観るまで全く知りませんでしたが、歌は滅茶苦茶上手いと思います

チャーリーを演じたオーウェン・ウィルソンは「追憶」のロバート・レッドフォードに良く似ているな、と思いました

チャーリーの同僚教師パーカーを演じたサラ・シルバーマンがぶっ飛んでて面白かったです

話の中身は逆シンデレラストーリーですが、男性側に娘がいるという設定がミソかも これが独身男性だったら面白くも何ともなかったかもしれません

ということで、これをもって私のギンレイホール通いは終了します 同ホールは現在の建物がある神楽坂地区を念頭に移転先を交渉中としていますが、「シネパスポート」は有効期間の残存期間に応じて返金するとのこと 移転先は出来るだけ今のホールから近いところにしてほしいと思います

 

     

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