「大勢だけど一人だった」 マルコによる福音書 5章1~20節
イエスさまは、ゲラサという町にやって来ました。そこは、ローマ帝国のデカポリスと呼ばれていた地方でした。ローマ帝国は、デカポリス地方に「レギオン」と呼ばれる六千人からなる歩兵部隊を置いていました。イエスさまは、そこで「レギオン」と名乗る悪霊にとりつかれていた男性と出会いました。この男性は、病気を患っていました。それは、社会生活を送れないほどの重病であったことが伝えられています。イエスさまは、彼から「レギオン」を追い出しました。すると、彼は、病気が治って、正気を取り戻しました。
聖書には、ローマ帝国のレギオン軍団のことは記されていませんが、歴史上、その地方に駐留していたことは事実でした。病気を癒やされた男性は、ローマ帝国のレギオン軍団が駐留するために被害を受けたり、戦争に巻き込まれてしまったのかもしれません。そして、心身共に受けた大きなストレスが原因になって、まるで悪霊に取り憑かれたかのような病気になってしまったのかもしれません。私たちは、「信仰は心の問題」と考えたりします。それは、心だけの問題にできるような状況があるからではないでしょうか。けれども、聖書の時代、人々は社会の影響を強く受けていましたので、「信仰は心の問題」のみならず、「社会の問題」でもあったということを、この聖書の物語を通して教えられているように思わされます。