柔道・無差別級はIJFの目玉?

 昨日終了した柔道の世界選手権だが最終日に無差別級を独立して実施
したのを見てIJFは無差別級を世界選手権独自のイベントにしようとしている
のでは?と思ったのだ。

 そもそも無差別級は‘小よく大を制す’という柔道の理念を体現したクラス
で東京五輪で正式種目に認定された時に重量級・中量級・軽量級と体重
別に分けられた代わりに無差別級も採用され、日本は無差別級こそが
キングオブ柔道と認識したためアントン・ヘーシンクから神永昭夫が敗れた
時は日本柔道の敗北と体重別の3階級を制しているにも拘わらず敗北感に
苛まれたわけだ。

 ミュンヘンで復活した時もヘーシンクと同じウイリアム・ルスカに重量級と
無差別級の両方を取られるという屈辱を味わい、ようやく無差別級を制した
のはモントリオールの上村春樹だった。

 ただモントリオールの頃はミュンヘンの軽重量級を制したショーター・チョ
チョシビリが無差別級に参戦するなど重量級ばかりではなく、Sファイナルで
上村がチョチョシビリに勝った試合が事実上のファイナルと言われたのを
覚えている。

 ところが84ロスなどは95㌔超級が無差別級の前日に来たからか、絶対
王者だった山下泰裕が無差別級にエントリーが決まると重量級の強豪は
こぞって 95㌔超級にエントリーしてしまった。
 しかも95㌔級以下の選手達が出る事も目立たなくなり世界的には95㌔
超級のパート2的な認識を受ける事になったのか88ソウル五輪からは無差
別級は外されてしまった。

  だから北京五輪前年の07リオ世界選手権で棟田康幸が無差別級で金を
取っても‘五輪種目ではない無差別級‘という記事が目に付いたのだった。
 実際 五輪前年の世界選手権は無差別級以外は五輪の出場枠が絡む
ので無差別級には どうしても力が入らない傾向があったのだろうと思った
のだ。

 ただIJFは北京五輪後に柔道のプロ化を目指しレスリングとの差別化を
計ろうとしているのが明白で、その一環としてレスリング行為の禁止が打ち
出されたりしたものだ。

 考えてみると格闘系の種目で柔道にあってレスリングやボクシングにない
のが無差別級。
 だからIJFは五輪種目から外されている無差別級を1つの看板として売り
出そうと考えたのではないだろうか?

 従来の世界選手権のシステムでは1日に2階級づつ4日間に分けて行わ
れていたので重量級の選手達にとって中2日での試合になるのだが、今回の
ように無差別級を独立させて最終日にもって来ると休養日が1日増えて いい
コンディションで参戦しやすくなるのではないかと思う。

 100㌔超級を制したテディ・リネールがファイナルで上川大樹に延長の末
僅差の旗判定で敗れて涙を流して悔しがっていた姿を見ると無差別級が
‘第2重量級’という意識ではなく、ある意味 世界のトップ選手からも絶対に
取りたいタイトルと認知されているのだろうかと思い妙に嬉しかった。

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