岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

平和を訴える歌:九条歌人の会作品集より

2018年09月29日 01時48分35秒 | 私が選んだ近現代の短歌
『憲法を詠む』:「憲法九条を守る歌人の会」篇



・独裁者はほぼ十年で潰えると歴史は言えどその日は待てぬ (久々湊盈子)


・「起立多数」繰り返されて防衛費五兆円余の国となりたり(日野きく)


・やんばるの森さえまたも奪われる基地七十年沖縄いまも(酒本けい子)


・アジア史に人間の罪(とが)誌(しる)しつつわれが裡(うち)なる兵士老いたり
                                    (島田修二)


・たたかひを知らぬ者等が憂ひなく戦略といひ戦術といふ(梓志乃)



 一首目。独裁者が永らえた例は歴史上ない。だが「最も危険な政権」と呼ばれる現政権。政権の崩壊を待っている時ではない。


 二首目。強行採決の連続。防衛費が五兆円を超えた。かつてない事である。事実の中に怒りが感じられる。


 三首目。「やんばるの森」には沖縄の辺野古基地が建設されつつある。「沖縄の中に基地がある、というより基地の中に沖縄がある」。という状況は今も変わらない。


 四種目。作者は海軍に従軍し、従軍記者ともなった。戦争責任を感じるとともに、自らが老いていくのを心に深く感じている。


 五首目。「戦争を知らない世代」がいとも容易く、憲法を論じ、安全保障を論じる。戦争はゲームではないのに。



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