見えないその手を掴むもの ・8
河崎さんは静かに語りだす・・・。
河崎「淳也が突然、いなくなってから、
家はバラバラになってしまいました・・・
夫は、淳也の死を私の責任として、毎日のように
罵声を浴びせていましたが、昨年、そのことにも
疲れたのか、離婚することになりました・・・・。」
瑠璃「そんなのおかしいよ
淳也くんのことは、香澄ちゃんのせいじゃ
無いじゃない」
透明「瑠璃 」
瑠璃「・・・・・。」
透明「聞いても良いかわかりませんが、
淳也くんは、何故」
河崎「・・・それが、今でもわからなくて・・・。
突然でした
朝、淳也を起こしに部屋に行ったら、
眠るように亡くなっていました・・・ぐすっ・・・。
私は、何が起こっているのかわからず、
何度も何度も、淳也の名前を呼んで・・・
何度も何度も、淳也の名前を呼んで・・・
でも・・・返事をしてはくれませんでした・・・ぐすっ。」
透明「・・・・そうだったのですね・・・すみません、
お辛いこと聞いてしまって・・・」
河崎「いいえ・・・ぐすっ・・・お医者さんは、
心臓発作による突然死という見解でしたが、
今まで、健康診断でも心臓に何かあると言われた
こともなかったので、信じられませんでした・・・」
まさか・・・死神・・・でも、今ではそれも調べられないか
河崎「・・・夫は、私が淳也の異変に気づかなかったからだと、
私も、そうだと思っています・・・
もしかしたら、普段から胸が痛い時があったかもしれない・・・。
苦しい時があったかもしれない・・・気づいてあげられなかった
あんなに近くにいたのに・・・ぐすっ・・・目の前で笑っていたのに
・・・ぐすっ・・・手の届くところにいたのに・・・ううっ・・・」
河崎さんは、自分を責めるように泣き崩れる・・・。
そんな河崎さんの背中をさすりながら、隣に寄り添う瑠璃が
苦しそうだった・・・。
しばらくして・・・
河崎「ご、ごめんなさい
取り乱してしまって・・・。」
透明「いいえ辛いことを想い出させてしまって、すみませんでした」
河崎「駄目ですね・・・いつまでたっても・・・。
こんなんじゃ、淳也に笑われちゃう・・・でも、夫と離婚してから
毎日のように、淳也が側にいるように感じるんです」
透明「・・・それは、どんなときですか」
河崎「変な話なのですが、物音がしたり、電気が勝手についたり、
夜中に金縛りにあうときは、足音が近づいてきて、
私の布団の中に入ってくる感覚があるんです・・・。
夜中に金縛りにあうときは、足音が近づいてきて、
私の布団の中に入ってくる感覚があるんです・・・。
でも・・・もしかしたら、淳也じゃないかも・・・
そう思ったら、少し怖くなってしまって、瑠璃さんに
相談したんです・・・」
透明「なるほど・・・。」
河崎「先生先程、複数いると言っていましたが、
その中に・・・淳也は」
透明「そうですね調べてみましょう
でも、その前に、少しお願いしたいことがあるのですが
良いでしょうか」
河崎「はい何でも言ってください」
透明「それでは、小皿を数枚かしていただけますか」
河崎「小皿ですかわ、わかりました・・・。」
先ずは、環境を元に戻さないと ・・・。
続く ・・・。
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