Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

捉えきれない色彩(ハナヒゲウツボ)

2017-01-17 19:12:33 | ウツボ科

前半はまだ昨日までの寒さを引きずっていた感じでしたが、時間ととともにその寒さもやわらいでいった本日のやんばるです。

後半は日差しタップリ、風も穏やかで、ポッカポカな感じになりました。

明日明後日と、さらに暖かくなるそうです。

風は北東。曇のち晴れ。

■■

ハナヒゲウツボはその形に大きな特徴を持っています。

それはすなわち、片側に二つある鼻孔のうちの前鼻孔が管状に伸び、その先端部が花びら状(あるいはラッパ状)に開いているところ。

和名の〈ハナヒゲ〉はここに由来しているわけです。

けれどその形だけにとどまらず、本種は色にも大きな特徴を持っています。

〈ウツボ科ウツボ亜科ハナヒゲウツボ属ハナヒゲウツボ Rhinomuraena quaesita 16年11月14日 沖縄島安和〉

それは成長と共に体色が変化すること。

幼魚や未成熟魚では体色は黒く、成魚になると鮮やかな青色になり、さらに成長すると黄色を纏います。

本種は隣接的雌雄同体、つまりは性転換魚で、雄性先熟の性転換を行うことが知られています。

色変化をこれにあてはめると、未成熟ステージは黒色、成魚雄ステージは青色、成魚雌ステージが黄色…

なのだそうです…。

〈同種別個体 16年10月18日 沖縄島安和〉

なのだそうです…

と書いたのは、少し違和感を感じたりするからです。

例えば上の幼魚の個体なら、体も十分に小さかったですし、前鼻孔の形もしっかりと開ききっていないので、幼魚だと感じることができるのですが、個体によっては大きさや〈ハナヒゲ〉がもう成魚そのものなのに真っ黒…というのに出会うこともあるわけです。

あるいは雌が必ず黄色ならば、あまりにも雌の個体数が少ないように思えて、繁殖に支障が出るのではないかとも思えますし…。

また砂底の同じ穴から、青を纏った二個体が並んで顔を出している光景を見かけることがあります。

その光景は、ペアにしか見えなかったりするのですけど…。

さらには、そのうちの片方が穴に引っ込んだと思ったら、すぐそばの別の穴から顔を出すことも。

穴が二つあってそれが繋がっているのなら、その砂中の巣には新鮮な海水を通すことができるわけですから、中に産卵して孵化までの間卵保護ができるということですよね。

まあ、これは妄想ですけど…。

あるアクアリストが水槽で青や黄色のハナヒゲウツボ飼育していたら、両方とも黒く変化したという事例もあるとか。

本種の色彩の変化には、まだ捉えきれていない性質があるように思えたり…。

〈同種別個体 16年12月6日 沖縄島安和グスク〉

さて本種の学名種小名は『気取った』の意だとか。

気取るとは、もったいぶったり、とりすましたりすること。

もったいぶってるようにも、とりすましてるようにも見えませんが……。

またはそのものになった気で、それらしい振る舞いをすること。~を気取る。

う~ん、こっちもどうかなぁ。

学名種小名には『特別の』の意味も。

本種には形や色以外にも特徴があります。

それは、腎臓と生殖巣が肛門より後方にあること。

これは他の脊椎動物には見られない本種だけの特徴なのだそう。

そういう意味では、特別な特徴なのかも…。

 

コメント
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