10月5日、東京初日の観劇記です。
やっと?いよいよ?東京公演が始まって、始まったよーという感じですね~~今回はツアーで初演初日の幕が上がったので
前回の観劇@水戸の凝縮(濃縮?
)された舞台とは違っていつもの演劇の舞台、とは言ってもさすが世田パブ!とても観やすい空間でした。
今回は14列目でかなり後ろでしたがセンターでまともに観たのは初めて。やっと映像を余すところなく堪能できた~~前2回は上手側で前方のお席だったし決して見えにくいわけではなく映像との融合も十分に味わえたのですが、B29が飛んでくるところや沈没する他の漁船の映像は完全には見えないし、舞台の雰囲気が全部伝わってくるには若干不足している感じがして……。今回は吉祥丸が海に浮かんでいるのが分かりすぎるくらい分かりました←3D映画を見ているようで油断していると飲みこまれそうな錯覚を起こすのっ
そして初日は若手キャスト陣の船上の動きに若干の
力不足を感じた船上の動きが今回はとても自然になっていて良かったです。戦闘シーン、、、バックスクリーンの映像がハッキリ見えるので、戦争の緊迫感と漁師・軍人たちの仄々した日常(状況的には非日常だけど)の落差が物凄~~くよく分かるんですよね。無線室で家族の話をしたりふざけ合っているところに緊急電が入って仲間の船の沈没を知る、漁師と軍人のすれ違いから起こる滑稽な日常かぁと思った次の瞬間にリアルに戦闘が始まったり……戦争の悲惨さと、戦争中であっても変わらない人の日常の営みが確実に存在していることを思い知らされて戦争は絶対に間違っていることだと。。。
じいのお気に入りホッコリ場面
一度は没収された夷様とお船様を祀り直すところ、、、あれだけ怒っていた艇長さんがしれっと帽子をとって一礼する姿が何か素直さが出ているというか“ガキっぽくて”可愛かった~♪2幕のレコードの件も面白すぎっ!公演ごとにアドリブっぽいところがあるのですが、内野船長さんの臭いものを見るかのような嫌~な表情が堪らないですね~~戦闘機の音が収録されたレコードではなく普通に(笑)音楽が入ったレコードと知って「ミュージックですか!」って
敵性語を使うなと怒られてたところがこれまた可愛かった~
あと、無事に嵐を乗り切った功績が認められて漁師たちの希望がいろいろ叶えられた時に通信長が「うまくやったな」と冷静な表情で声を掛けるところ、、、どんな意味なんだろうと心に引っかかる部分はあるのですが尊敬が芽生え始めているのをチラッと感じたり……何かキューンとしてしまう場面なのよね。
14歳の見習い、太田はじめくん。ホント気持ちの良いくらいの真っ直ぐさ。見習いだけど軍人の端くれになった誇りを純粋に感じているし、誰よりも早く軍隊に行けて家族に肩身の狭い思いをさせなくて済むと言う。吉祥丸に乗り込む前の境遇をアレコレ想像してしまうのですが、本当ならそうじゃなくてもっと違う方向にその純粋さを向けるべきで、でもその気持ちを利用して駒の1つとした……その罪深さを軍人たちは分かっているからどうにか船から降ろそうとしたんだろうけど
船長さんが「この船の奴らは凸凹で1つくらいしか良いところがないけど、ダメなところを補い合って魚を獲っている」みたいなことを言う場面があって、毎回観ていて何か無性に泣けてきてしまうんだけど
もっと広げて考えると漁師にあって軍人にはないところがあり、軍人にあって漁師にはないところがあると思うんですよね。14歳のはじめくんに対する考え方とか……1幕ラストで船長さんが「こんなに怖い航海はない。みんながバラバラの方向を向いているから」と言う場面があるんだけど、最後は漁師と軍人で補い合ってコンソリを釣り上げたんだなぁって
2幕後半、翌日の決戦に備える夜。船長
艇長、命について言葉の応酬を交わした後の船長さんの姿に釘づけでした。メインは見張り台で交わされる艇長と通信長のやり取りなんだけど、そっちは今回完全スルー(爆!
)操舵室に戻った船長さんから目が離せなくなってしまって……座ってうな垂れて天を仰ぎ一点を見つめている。当然セリフは一切ないんだけど、1つ1つの動きからにじみ出る船長さんの様々な思い。断定できる言葉ではないんだけど、じんわりと、でもハッキリと。少し経ってから漁労長が形見の品を入れるように袋を持ってくるんだけど船長さんだけは結局何も入れなかった。そこに他の登場人物とは違う思いを感じましたね~~皆の大事な命を預かるのが船長、1人も欠けることなく陸に帰すのが船長の役目、そして若いもんを少しでも1人前にしてやる、、、生きることを諦めていなくて策をめぐらせていたのかも???
ラストの戦後シーンで艇長さん、じゃなくて大塚さん(笑)が船長さんを訪ねてくる場面。船長さんは失った戦友たちのことで自分を責めることはないんだから生きろと励ますんですよね~~でもきっと艇長さんはずっと引きずって生きていくと思う。それが船を仕切って乗組員たちの命を預かる者の宿命であり義務でもある。同じ立場にいる二人だからこそ分かち合える思いで、そこには船長さんが命について必死に投げかけていた教えが伝わっていると感じました。今まで流せなかった涙を見せた艇長さんの背中に置かれた船長さんの手が大きくて暖かかった~~こっちまで涙が止まらなくなっちゃった
そんなこんなでホントまぁよく泣きました
この演目でこんなに泣いたのは初めてかも
誰かに大切にされて育まれた命を繋いでいく、生きることは自分を大切にすること、でも大きな潮の流れみたいなのがあって人一人の力ではどうにもならないこともある……一人の人間の思いは漁師も軍人も同じなのではないか、戦争は人間を壊す愚かな行為である、、、しみじみと