観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

福島原発事故から考える

2011-08-24 22:59:36 | 政策関連メモ
福島原発事故で再確認されなければならないことのひとつにシステムの根幹の重要性が挙げられると思う。普段意識しなくとも、やはり電気供給の安定性で生活は守られているし、事故の原因は原子炉の直接的な損壊ではなく、全電源喪失による冷却装置の停止だった。

当然、原発に限らず、システムの安全性・安定性は再検討されていいと思うし、今後、機会があれば取り上げていきたいテーマ(津波対策など)でもあるが、今回は今までのところ今回の事故の文脈であまり取り上げられてない(だろう)ことについて、簡単に記事にしてみたい。

それはサイバーテロと電力の関係性についてだ。「世界サイバー戦争」(リチャード・クラーク著/徳間書店)という本(未読了)の第5章「サイバー防衛戦略の構築ーセキュリティの3本柱とは何か」の196pからズバリ「電力供給網を守る」という一節がある。日本でも、例えば、電力分野におけるサイバーテロ演習〔(財)電力中央研究所 2005年3月30日〕という文書がネット上にあり、以前より時折指摘されてきてはいるが、=だから大丈夫などとこの期に及んで考えられる人は、かなり暢気なのだと思う。原発は残念ながら事故を起こしたし、ソニーがハッキング攻撃を受けたのも記憶に新しい。

今回の事故を受けて、エネルギー政策の見直しがある今だからこそ、もっと考えられていい問題だと思う。電気の安定供給が経済に直結していることは、あまりにも明らかで、サイバーテロは電力の安定を脅かしかねないことが事前に指摘されているのだから。

地震対策はしましたが、サイバーテロで電気が止まってしまいました、さぁどうする・・・みたいな事故が未然に防がれることを期待したい。北朝鮮はいきなり韓国の船を沈める(古くは日本国民を攫った)し、中国が日本の領土を虎視眈々と狙っているのは明らかだ。両国ともサイバーテロへの国家的関与があると言われており、ここまで危険性が想定できるにも関わらず、政府がシッカリ対策していないとすれば、かなり馬鹿だと思う。福島原発も10メートル以上の津波に襲われる可能性が3年前に指摘され、原子力安全保安院に報告されたのが東日本大震災の4日前の3月7日だったという報道(NHKオンライン「10m以上の津波想定 直前に報告」8月24日 19時7分)があったばかりだが、今となっては、仮に地震が数年後に起こったとしても、対策がキチンととられていたと信じるのは難しいのではないだろうか。それはともかく、社会にとって極めて重要な電力がサイバーテロという不測の事態から守られるようチェック体制を整えることが肝要であり、電源が分散され守られることが重要であったことと同様に、民間の電力会社がコストを過剰に削ってないか、チェックすべき官がもたれあって対策が不十分にならないかも見直してほしい。計画停電でもあれだけの騒ぎになったのだから、サイバーテロでやられたら、どれだけの被害が出るか想像もつかない。スマートグリッドもいいが、当然サイバーテロも想定に入れた上で、導入を検討されなければならないだろう。

福島原発事故を乗り越えて

2011-08-24 22:13:54 | 日記
「福島原発事故を乗り越えて」松井賢一著(エネルギーフォーラム新書)が非常に面白い。

勿論、全ての見解が著者と同じではないが、あまりものの見方に違和感を感じるところが無く、専門家らしいレベルの高さがあり、気付かなかったことに気付かされるところもあって、一読しても(消化しきれない部分を)もう一度読みたいと思わせる良書だと思う。

著者はOECD長期エネルギーアセスメント研究員、IEA(国際エネルギー機関)統計コンサルタント、IAEE(国際エネルギー経済学会)会長、APEC・EWG・エネルギーデータ分析専門家グループ議長を務め、エネルギーに関する国際的な本物の専門家と言えると思うが、専門に拠りすぎず、総合的な観点から、一般人が読んでも面白い内容となっているのではないか。

エネルギーフォーラムは自分は知らなかったが、前身は電力新報で、戦後、エネルギー問題に関する総合誌として展開してきたものらしい。1980年、エネルギーフォーラム賞を創設している。新書は2冊目で最近創刊したもの。

以降、記事で中身に触れることとなると思う。