先日予告編を見て、(壮絶だがこの映画は夫の感性を刺激するはず)と感じ
午後から夫と映画を見に行きました。それはアメリカの女性で「記者最優秀賞」
を取った、戦地で亡くなった実在した人物の映画でした。
何度も戦争の真っただ中に出かけ、その危険な状態で取材をして送り続ける
一人の女性として、流産、離婚などを乗り越えながら、その情熱を全てを戦地での
取材にむける、その執念はとても並みの女性ではなく、私はそれらのシーンのほとんど
は目をつぶっていました。チラチラ夫を観察していましたが、じっと画面を見ている夫は
その内容をしっかり理解していることが、つぶさに感じ取れとても嬉しかったです。
認知症には感性を刺激することが必要ですが、一般的には「もう何をしても分か
らないから」と考え、その日が平穏に過ぎればと思いがちですが、でも決してそうで
はありません。ふつうの生活ではなく「非日常的な刺激」が必要なのです。
楽しいこと、感動すること、気づくこと、現代の社会情勢を感じさせること、つまり
「今を生きている現実をしっかり理解できる」ことも、大切な心の刺激です。
この映画は感じやすい思春期に戦争を体験し、その恐ろしさや、苦しさを十分体験
しているので、今現在の平和に対する感謝の気持ちを、改めて夫に体感して欲しかった
からです。私はそんな意味で認知症ではない、以前の夫として毎日対応しています。
たとえすぐに忘れても、その時点ではしっかり認識できる、そんな意味では大変効果
があったと思いました。
映画館を出たら外は暗くなっていました。帰りに乗った世田谷線は時折特別に
走る「招き猫電車」でした。山下駅で降り梅が丘まで徒歩約10分、今見た映画や
現在の平和で穏やかで、幸せな生活などについて、話しながら歩きました。
今年は自然災害が多く、広範囲の方々が未だに大変なご苦労なさっていますが
だんだん大きくなる自然の脅威を思うと、その日が無事で過ごせただけでも私は
感謝できるのです。お蔭様で老夫婦は元気で1年間過ごせました。
皆様方も希望に満ちた幸せな新年をどうぞお迎えくださいませ。
新年は4日から投稿いたします。 小池能里子