ワニなつノート

ある短い動画


去年の夏ごろ、ある短い「動画」を観ました。
三十年ほど前、その「動画」と同じテーマで授業したことを思い出しました。

いえ、授業を思い出したのではなく、一人の生徒の感想文を思い出しました。
「…この学校にもいるけれど…、彼のように生まれるとしたら、私は生まれてこない方がいい…」

そのことを会報に書いたら、あるお母さんが手紙をくれました。
「わたしの子どもにも同じ障害があります…」
その手紙を使わせてもらい授業を続けましたが、当時の私はあまりに未熟でした。
あの時、この「動画」があれば…、彼女に観せてあげられたのに…。

二十代の私が言葉にできなかったおもいを、あのときに戻って届けてあげたいと思いました。

いま計算してみたら、あのときの生徒たちはいま43歳か44歳くらいになっています。

以下は、その「動画」の、わたしの個人的な感想です。


         ◇


《その子》が生まれ来ることを不安に思い悩む母親に
先に生まれた《その子》たちが話しかけているのは…

大丈夫、わたしたちはあなたと出会い、ひとと出会い
こんなにも生き生きと人生を楽しんでいる

あなたの知っている不安のいくつかは間違いではなく
《その子》は重い病気で苦しむ場合もあるし
苦手なこと、すぐにはうまくできないこともたくさんある

でもそれはあなた自身の人生と同じ、だれの人生とも同じ
人生にはいろんな困難がある、ということ
それでも、あなたがいれば《その子》は大丈夫です

こうして、わたしに母や父や兄妹や友だちがいてくれてくれるように
《その子》も一人じゃないから大丈夫です

だって《その子》には、もうあなたがいる
そして、わたしたちがいる

生まれ来る《その子》も、あなたも
わたしたちのだれも、一人じゃない
だから大丈夫です

だから心配しないで
《その子》と出会って拓かれるあなたの人生と
あなたと出会って拓かれる《その子》の人生と
ふたりの人生を、楽しんでください

あなたが《その子》のためにできること
それは《その子》との出会いをあきらめることではなく
《その子》との出会いを悲しむことでもなく
《その子》が出会う人を
《その子》が出会う人生を
《その子》が出会う希望を信じて出会うこと

《その子》を守りたい思いに悩む日も
人との出会いから守るのではないと気づいてほしい

守ること、それは、理解のない人から守る、のではなく
出会いと未来と希望を
守りの狭い人生に閉じ込めてしまう力から
守ってあげてほしい

人の出会いから守られ過ぎることで
出会う機会(チャンス)を失わないように
そうして、一人になること、孤独になることから
守ってあげてほしい

わたしたちは《その子》のちからと出会いを信じてる
わたしたちは《その子》と出会う日を待っている

ようこそ。


         ◇
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