アンダンテ ~私の歩幅で~

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あの「ブラームスのワルツ」

2006年02月18日 | ピアノ全般
ブラームス 《16のワルツ》 第15番冒頭
Walzer Opus 39 Klavier zu zwei Haenden (ヘンレ版)】


一般に「ブラームスのワルツ」と言われているのが、この曲で、
「16のワルツ」16曲中、15番目の曲です。

素朴で、やさしく、美しい旋律のワルツだと思います。
「語りかけるような」「語り合うような」
そんな雰囲気を私は感じます。

なぜ、この曲だけが「ブラームスのワルツ」として
知られるようになったのでしょうか?
私もずっと知りたいと思っていますが、
理由らしきものは、まだ見つかっていません。

この曲集を捧げられた音楽評論家のハンスリックは、
「真面目で無口なブラームス。
 純粋にシューマンの弟子で、北ドイツ風でプロテスタントで、
 シューマンのように非世俗的な男がワルツを書いた。」
と述べました。
ブラームスがワルツを書いたことに対する驚きの言葉です。

ウィーンに移り住んだブラームスが、
ウィーンの雰囲気をとても気に入り、
また当時全盛のヨハンシュトラウスⅡ世の音楽にも、
大変な関心を示していたそうです。
ですから、そのような中でワルツが作曲されたのは、
ごくごく自然なことなのでしょう。

ブラームスがサインを求められた際、
「美しき青木ドナウ」の数小節を書き、
その横に「ブラームスの作品ではなくて残念」
と書き添えたというエピソードも残っています。

このワルツ集は、もともとピアノ連弾用に作曲され、
ほぼ並行して、ブラームス自身の手で
ピアノ独奏用にも編曲されました。
また、もっと演奏技術的にやさしいものも
書かれているようです。

作品39-15は、連弾版ではイ長調ですが、
独奏版では変イ長調に移調されています。

このメロディーをイ長調で弾くとなると、
黒鍵と白鍵がほぼ逆転して、
かなり弾きにくいと思われます。
この曲は、手の形そのままで弾けるような構造が
とても多いと感じました。

連弾版から独奏版に編曲した際、
13~16番のみ、
どれも半音下げて移調してあります。
移調した方が演奏は容易になりますが、
それだけが理由ではないようにも思えます。

このワルツ集のことを、
「シューベルト風な形の無邪気な小さいワルツ」
と、ブラームス自身は述べているとのこと。

このワルツ集の1曲1曲は短い作品ですが、どの曲にも
ブラームスのエッセンスがしっかり入っていると思います。

私が初めて演奏したブラームスの作品が
この曲、つまり作品39-15だったことを、
とても嬉しく思っています。

また、この15番をきっかけにして、
作品39全体に目を向けることができたことは、
私にとって、とても幸せなことだと思っています。