今年の6月頃に読んだ本です
感想を書きかけていてまとまらず、更新が先延ばしになっていました。
ちょっと前に、著者の木村秋則さんがテレビに出演されていたのを見て
改めて感銘を受けたので、書きかけを再開(途中手直ししただけ^^;)
長文ですが、これでも書ききれません・・
※文中の表現は著書からお借りしているものもあります。
「リンゴが教えてくれたこと」 木村秋則さん
絶対不可能とされていたリンゴの無肥料・無農薬栽培を成功させ、一躍世に知られることとなった農業家・木村秋則さんの壮絶かつ苦難に満ちた「奇跡のリンゴ」に辿り着くまでの記録。
会社員の方も、子供を育てている方も、リンゴ栽培に興味が無くても、農業に縁が無くても、参考になる視点がいっぱいあります。
社会人として身に付けておくべき考え方や、今、何かの壁にぶつかって(その壁は小さくても大きくても)立ち止まろうとしている人にも、何かしらのヒントもしくは答えを与えてくれる本だと思います。
元々、木村さんは自然の中で生きる仙人のようなお人ではなく、「分解と組み立て」が得意な機械好きな人で、集団就職として上京し川崎で経理マンとして働いていたこともあります。
なので自然栽培を始めた当初は、もしダメなら経理で食っていこうという気持ちも残っていたそうです。
しかし、何をやってもうまくいかない3年目くらいに「こんなものを持っているからダメなんだ!」と経理の道具の一切合切を畑に持ち出し、焼いたそうです。
税理士にもなれたかもしれないのに・・退路をふさぐ、その潔さに脱帽・・
1978年頃、一念発起してリンゴの無農薬・無肥料栽培を始めたその理由は、
農薬による家族の健康被害から。
農薬散布により、顔や首筋、腕などに農薬がかかります。
超アルカリ性のやけどになり、白くポツポツが出、皮がべろりと全部取れてしまい、その痕が真っ赤になります。
奥さんは特に症状がひどく、散布すると1週間畑に出られなくなり、さらに1ヶ月出られなくなりました。
当時では常識はずれのリンゴの無農薬・無肥料栽培。
著書によると、リンゴは農薬で作ると言われるほど病害虫が多く、生産者の技術以上に肥料や農薬会社の研究開発が、現在のリンゴ産業を支えてきたと言っても過言ではないそうです。
なので始めたはいいがその被害は甚大で、何年も無収穫・無収入が続きました。
庭の雑草でご飯を食べ、子供達のノートも買ってやれず、
義父の貯金も底をつき、水田やトラクターも売り払い
義父や実家の母は(木村さんは婿養子)協力してくれたものの、
親戚からは罵られ、農薬を使う農家からは辛辣な嫌がらせを受け・・
それでも出稼ぎでなんとか食いつないでいました(そのエピソードも興味深いです)
もうどうにもならなくなった時、自分がいなくなれば家族は幸せに暮らせると、死んでお詫びをしようと、故郷の山に入りました。
ロープを掛けようとした木がリンゴの木に見えた(実際はドングリだった)
ところがこの木は自分の木と違って虫の被害もなく、見事な枝っぷり。
どうして山の木は、農薬が無くてもすくすく育つのか。
ふと下を見るとフカフカの、クッションのようないい香りのする土。
それはバクテリアが生きている証拠。
自然の循環に気付く。
畑の土と全然違う。
畑の土を自然の状態に戻せば、きっとリンゴも生き返る。
草は刈らなくていいのだ
草ぼうぼうの土は、土が渇かない。
それまでは木のことしか考えていませんでした。
雑草を刈り、葉の状態ばかりが気になって、根っこの部分は全くおろそかにしていました。
雑草は敵だと思い込んでいた。それがとんでもないことだと気づきはじめた。
山の自然は何の肥料もやっていません。落ち葉とか枯れ枝が朽ち、それを微生物が分解して土作りをやっているわけです。
それをリンゴ畑にも応用しようと、まず土の下草を刈るのをやめました。
その草が伸びた頃、初めてリンゴの木の葉っぱが落ちませんでした。
下草がリンゴの葉を病気から守ってくれたのです。
ミミズも増えたので土も軟らかく変わってきました。
翌年も下草を刈りませんでした。この年は通常の木の三分の一ほどは葉っぱが残り、1年後に1本だけですが七つの白い花を咲かせ、2個のリンゴを実らせ・・
そして翌年の1988年、ついに無肥料・無農薬に移行した畑が満開を見せてくれたのです。
木村さんは言います。
「米を実らせるのは稲であり、リンゴを実らせるのはリンゴの木です。人間はそのお手伝いをしているだけ」
「当時、私は自分がリンゴを作っていると思い上がってました。
主人公はリンゴであり、私はリンゴが育ちやすい環境のお手伝いをしているだけ。
人間は自然の支配者ではなく、自然の中に人間がいるよと考えるべきです」
当たり前のことなんだけど、人間はこの当たり前のことになかなか気付かず、感謝することも忘れがちですね。。。
木村さんは、リンゴの木に話しかけるらしいのですが、効果があるようです。
「同じ品種でも声をかけたものは枯れませんでした」でも、「声をかけなかった82本の木は枯れました。私は感謝の気持ちがまったく欠けていました。」
木でさえ、声をかけてもらうか否かで、結果に違いが出る。
人もそうかもしれない・・^^;
木村さんのリンゴはお菓子のように甘くて美味しいらしいです
美味しいだけでなく、腐りにくいとのこと。切っても切り口が変色しないんだって。
木村さんのリンゴ畑は、他のリンゴ畑に比べて微生物が1.5~2倍。
まさに生きている畑なんですね。
自然栽培というのは、自然の力をお借りする、まったく放ったらかしではなく、作物がが育ちやすいよう環境を整えることが大事、だそうです。
人間界でいう、育児や人材育成にも通じるところがありそうです。。。
ただ、木村さんがおっしゃるには、リンゴはやはり難しいと。
「それはリンゴの品種改良があまりに行われてきたため、原種から程遠いものになっているからです。
リンゴに比べると、同じ無肥料・無農薬でもお米と野菜は意外にスムーズにできました。
リンゴがならない期間があまりにも長かったので、その間キュウリやナス、大根、キャベツなどの野菜、お米を勉強できました。
野菜やお米は今から20年以上も前に相当の成果を得て、その後様々なノウハウを盛り込み今日に至っています」
リンゴが収穫できない間も、お米や野菜の自然栽培を確立していたんです。
今ではリンゴ栽培のかたわら、全国・海外で農業指導を続けていらっしゃいます。
友人が講演を聴いて号泣したと言っていました。
私もある程度木村さんのことを知っていたので、本の最初の「木村、畑みたか、花が咲いたぞ!」ってシーンで泣いちゃったよ。
真っ白な満開のリンゴ畑を見て、「ああ、白い・・」それだけ言ってあとは涙で見えなかったそうです。
あと、木村さんの壮絶な人生と、探究心・観察力、成し遂げた偉業もスゴイけど、義父母・奥さん・子供達の献身的な?理解もすごいと思う。
信じるって、大事なこと。
大げさでなく、飾らずにすとーーんと気持ちに入っていく1冊です
是非、お手に取ってみてください
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人と同じようにリンゴを作るのではなく、オリジナルのリンゴを考え作り上げたのはスゴイことだと思います。
当たり前のことなのに、なんて衝撃的な言葉なんでしょうか。自然を征服するのか、共存するのか、今は征服型が占めていますが、今一度、個人個人が根本を見直すべきと言われた気がします。
私も、「雑草はある程度生やしておいて構わない」というスタンスで実家の家庭菜園をやっていたのですが、父には「だらしがない」とずっと怒られていました。知り合いの農業高校の先生が遊びに来たときに「この畑は雑草があるから、数年は使い物にならない」と言われたそうです。でも、畑をコントロールして食べるものだけ育てるなんて、私は嫌だと思います。
結局韓国来るまで父には私はただだらしがないだけ、と本気でののしられましたが、今回の記事を読んで、少し、元気をもらいました。
ありがとうございました。
今度見つけたら、是非読んでみて欲しいと思います^^
誰も到達できなかった無農薬栽培のリンゴ、
満開を見るまでの激動の9年間、いやもう
ワタシなんかでは言い尽くせない・・^^;
どんな果物でも日本人の手にかかれば
甘くおいしくなると
外国人の友人は自慢してました
でも それは自然本来のものではなく
作られたもの。。。も多いはず
有機の野菜のおいしさは
大人になってから
しみじみ感じます
その裏に生産者の努力とココロが
実となって私の元へきてるんだと
読んでリンゴが大好きな息子に
話してあげたいな
<スナプウェアーは 割りと大きな
HCでも手に入ると思うよ^-^
ネットのほうが安いかな
>今一度、個人個人が根本を見直すべきと言われた気がします。
まさに!その通りだと思います。
そして自然を征服したら人間も生きてはいけない・・
多くの人が家庭菜園でも化学合成の薬を使っていますよね。
私の友人も、父親の具合が悪くなって仕方なく田んぼを管理しているのですが、
除草剤使わないなんて大変過ぎる、考えられないと言っていました。
でも農業高校の先生が・・自然栽培に理解が無いのは残念ですねぇ。。
xonxontsetsegさんの「畑をコントロールして食べ物だけを育てるなんて・・」というお気持ち、すごく大切です!
皆さんに、この本の「はじめに」と第1章だけでも読んで欲しいです。。。
うんうん、日本は果物もお肉も何でも美味しいよね。
それは過去のケミカル栽培も入ってるんだけど
勤勉でこだわりを捨てない日本人の心意気かも。
でもケミカルは蓄積されて、次世代に受け継がれてしまうから
みんな自然栽培のもの食べて、そろそろ体内を浄化しないとね^^;
えっ!スナップウェア、ホムセンでも売ってるの!
よし早速見に行ってみてネットと比べてみるわ~
ありがとう^^
亡くなった福岡正信氏の自然農法関連の著書も大変興味深いです。
勝手に「福岡翁」「仙人殿」と呼んで勝手に慕っておりましたので
亡くなった時はホントに悲しかった。
…とかなんとか言いつつ、実は著書をきちんと読んだ事がないわたし。
愚図る息子をなだめながら超速で立ち読み
したのが唯一です。
来年こそ著書を買いそろえて行きたいと思ってます。
福岡正信氏、不耕起栽培や自然農法の元祖だから
もちろん知ってはいるけど残念ながら既読ではないのよ~^^;
読みたいな~と思いつつ、先にコチラを読んじゃった☆
木村さんの文中にもお名前が出て来るけど、ひどく感銘を受けて
何十回も読んだんだって。
ただ、お米とリンゴは全然違うから、技術的なことは
木村さん自身が切り開いていかないといけなかったみたいだけど。。
お二人の違うところは、福岡氏は本当に自然のままで何もしない、
木村氏は「その作物が自然のまま成長するように少しだけお手伝いする」
って感じかな。福岡氏の本、見付け次第読みますね~~♪
殆ど本を読まない私ですが、色々と読みたい本が出てきました。この本もとっても気になります。
コメント書かれている方の、雑草の生えた畑も。
実はうちは、単にだらしがないだけの、雑草の生えた畑なのですが、それでもやっぱり、強く育っていくものは育ちます。
水遣りも、殆どしないほうが良いと言う方もおられますね~。
まだまだ、自分が何を選択するかは決まっていませんが、興味深いです。
昨日、蜂蜜大根作りました~^^
長男が気管支炎で。私も喉が若干痛くって。
とっても美味しくて、喉に効きますね^^*
大好評で一回でなくなってしまったので、
今朝また仕込みました♪
家族を巻き込んでしまって
自殺をしようと考えるほどの想い、
とても心に染みました。
農薬を使わず農業を営んでいる方の苦労を
知っているつもりではいたけれど
それは理屈で考えて感じていたことであって
本当は何もわかっていなかったなぁ。。。
学校でもこういうことをもっと教わりたかったなー。
全然話変わりますが・・・
メリークリスマス
素敵な夜を