“「いただきます」って、誰に言いますか?”
世界中の映画祭で大反響を呼び、数々の賞を受賞した「
いのちの食べ方」を観る機会に恵まれ、先月
★suika★さんと観て来ました。
(2005年ドイツ・オーストリア。日本では2007年11月~始まり2008年全国各地で1年間ロングランで上映)
食べ物があふれる現代、でも生産される現場と消費する私達は、あまりにもかけ離れている。
私達のいのちを支える食料・・しかしその生産現場は想像以上に無機質。
そんな食糧生産をの実態を淡々と映し出しながらも、“食=いのち”を改めて訴え、私達が生きていることの意味を問う、食のドキュメンタリーです。
※
以下、ワタクシの本意でない表現も出てきますので、そのあたりお汲み取りいただけると幸いです。
動物も植物も自然から切り離され、人工的な環境の中で育てられる。
ナレーション・音楽は一切無く、飛行機や自動車・工場などの機会音のみで、映像は続きます。
ベルトコンベアーで高速に移動させられるヒヨコたちは、機械的に予防接種され、広大な体育館のような施設で、一生陽の光を見ることは無く若鶏に成長する。
牛の人口受精を行う人に「願い」は感じられず、牛の帝王切開現場にも「誕生の喜び」という感情は見えてこない。
そのままそれは地平線となりそうな、広大なビニールハウスに覆われた畑。
農薬にさらされ育てられたパプリカやトマトの収穫に、「大地の恵み」という絵は無い。
小型飛行機からのひまわり畑への薬品散布。
直後の枯れたひまわりたち。
巨大なマジックハンドで揺さぶり落とされる木の実。
自動車工場のように無駄なく加工される、大きなマグロ。
何秒か前まで生きていた“いのち”が“食肉”として加工されて運ばれて行く。
どれも徹底的な効率化のもとに処理され、出荷されます。
大地と引き離された食糧生産。
そこにいのちを育てる、という概念は見えてきません。
何でもパック詰めされて売られている現代。
どのような工程で私達の手に届くのか、あまりにも知らされていない。
でも私達は、これからも様々な植物や動物を摂取して生きていきます。
この映画を観て、「もうお肉は食べない」「野菜は有機栽培のものだけを買おう」と感じる人もいるかもしれない。
それもアリでしょうが、でもこの現実を忘れてはならないし、しっかり認識して生きていかなければいけないと思います。
見なくても、知らなくてもいいことかもしれません。でも知らないよりは、知っておいた方がいい、絶対に。
「輸入してまで食べ残す、不思議な国、日本」(ずっと昔のACのCMより)
世界各国から様々な“味”を取り寄せ、どこまでも追求するグルメ大国、
それでいて食べ残し世界NO.1でもある日本。
だからこそ、
「食べる」ことを真剣に考えさせられました。
私も、美味しいものが並ぶと嬉しい。でも残さず食べることは当たり前に、もっと大切にありがたく食べよう。
そして、食べなくてもいいものは食べずにいこう。
『いただきます』は神様に言うのではなく
“食べ物”になってくれた“いのち”に対して言うのだ、
と改めて思った映画でした。