間が空き過ぎで申し訳ないです
豊郷小学校旧校舎群、前回はウサギとカメに特化して階段のみでしたが、最後は校内の様子です。
これまでの記事☆
2019年の滋賀京都旅行・1(滋賀・豊郷小学校旧校舎群)
2019年の滋賀京都旅行・2(滋賀・豊郷小学校旧校舎のウサギとカメ)
※最後にも貼ってあります。
毎回触れていますが設計したのは、
キリスト教伝道のために青年英語教師としてはるばるアメリカから来日した、
ウィリアム・メレル・ヴォーリズ。
近江八幡に根を下ろして学校教育・医療・出版など社会事業に尽くし、建築家として日本全国に名建築を残しています。
すぐに思い浮かべる建物は豊郷小学校もですが、東京の山の上ホテル(旧 佐藤新興生活館)・大阪の大丸心斎橋店・京都の東華菜館・兵庫の神戸女学院などなど・・
滋賀県では一般宅も含めたら数えきれないです。
日本で戦前までに1000以上の建築、
戦後も含めると現役時代に2700余りの建築物を手がけた記録が残るそう。
多くの教育機関の建築を手掛けたヴォーリズさんですが、小学校は日本でここだけということです。
そして多くの方が、ヴォーリス建築を「暖かい建築」「住む人・使う人の気持ちに寄り添った建築」というような
表現をします。ヴォーリズ建築の魅力を「内部空間の豊かさ」と評する方もいらっしゃいました。
ぬくもりを感じる木材がふんだんに使われている校内。
中央1階の正面玄関から左右に伸びた廊下の長さは、なんと全長100m。
窓も大きく、廊下や教室はとても明るい。
教室の右の壁に配置された3列3段の窓。
下の2段は廊下を歩く生徒にぶつからないよう、あえて内側へ開くつくりになっているんだとか。
そして、有名音楽アニメ「けいおん!」に登場する学校のモデルとなっており、けいおん!ファンの聖地巡礼コースとなっています。
豊郷小学校を訪れた多くのファンから楽器やグッズなどを寄贈、シーン再現などがされています。
以下、全国町村会サイトにあった滋賀県豊郷町による町おこしレポートを参考に抜粋・転載させていただきました。
※一部文言を変えている箇所もあります
竣工以来、町のシンボルとして町民に愛された豊郷小学校旧校舎。
最初の記事に書きましたが、町を二分する議論や騒動・紆余曲折を経て校舎は別の場所に新築し旧校舎は保存することとなり、
教育委員会、 町立図書館、子育て支援センターなどの入居する複合施設として再出発することになりました。
それに合わせて改修工事が行われ、2009(平成21)年5月30日、旧校舎72回目の竣工記念日にリニューアルオープンの式典が挙行されたそうです。
ところがその場に、あまり見慣れない集団が・・。
DVDと見比べながら校舎の写真を撮る人、大きな荷物を持った明らかに 遠方から来たと思われる人たち。。
実は竣工式の前月4月に放送が始まったアニメ「けいおん!」に、豊郷小学校の旧校舎が登場していたのである。
アニメ「けいおん!」は、女子高の軽音楽部を舞台に高校生の青春を描いたアニメだが、主人公たちの通う高校として描かれた校舎の外観や内装が 旧校舎そっくりだった。
これに気付いたファンが、旧校舎内部の見学が可能になる竣工式典の日に駆けつけたのである。
そして町の担当者の友人が、聖地巡礼に詳しかったことから町おこしは大きく展開する。
さっそくほかの町の町おこしを扱った報道や研究論文を調べあげ、レポートを作成。
商工会や観光協会など関係各所に 「豊郷でもこんなにすごいことが起ころうとしている。ぜひ取り組んだ方がいい」と持ち込んだ。
レポートは町長にも見せに行った。町長も乗り気になった。
役場、商工会、 観光協会等から有志10人程が集い、後に「けいおんでまちおこし実行委員会」と名づけられるグループを結成することとなった。
ある日あるグループが、アニメのオープニング映像の再現をしたいと来た。
キャラクター そっくりの扮装をして旧校舎の内外で同じアングルでビデオ撮影したいのだという。
旧校舎を管理する教育委員会は、初めは「いったい何の話や?」 と驚いた様子だったが、「別に何も壊したりせえへんならまぁ使いいなぁ」と大らかに対応。
その後、完成した再現映像がインターネット上で 公開されると話題を呼び、アニメの舞台としての豊郷小学校旧校舎がさらに注目を浴びることとなり、ついにはアニメファンの「聖地」として 認知されるようになった。
町の担当者は「何にも邪魔にならないということもあり、別にいいかという感覚だった」と。
では、町民のファンに対する反応はどうだったか。
「いい年をした大人がカメラをぶら下げて駅からぞろぞろと歩いている。 何事かと町民は驚いただろう」
しかし、ファンが大勢詰めかけたからといって何も事件は起こらなかったし、
そのうちファンの存在が気にならなくなり始めたという。
それどころか「文句つけるところがないほど、ファンのマナーは実にいい」ということだった。
旧校舎には子育て支援センターも入居しており、支援センターのスタッフや子供を連れてくる保護者も、廊下ですれ違うたびに挨拶を欠かさないファンに、安全だという認識が広まったという。
旧校舎の掃除にやってくるファンもいる。
バケツや雑巾を持って「掃除させてもらっていいですか」とやって来たときには、 教育委員会も驚いたというが、現在では旧校舎内の廊下のワックスがけまでファンがやってくれるそうだ。
喫茶コーナー脇のアニメグッズのコレクションもすべてファンからの寄贈。
キャラクターグッズなど小物から等身大のパネル、
劇中で主人公が使っているものと同じ楽器まで軽く1000点は超えているという。
旧校舎外でのファンと地元商店との交流も徐々に広がりつつある。
旧中山道沿いに古くからあるうどん店。一見ふつうのうどん店だが、違うのは壁の至るところにアニメキャラクターのポスターが 貼られていること。
ご主人がファンの求めに応じてポスターを貼らせたところ、ファンから「聖地」として認知され、「巡礼」の対象となったようだ。
夕方、旧校舎が閉館した後のファンの集いの場にもなっており、
ご主人の誕生会をファンが開くなど、心あたたまるエピソードも生まれている。
こうしたファンの「巡礼」は、少なからざる経済効果も生んでいる。
酬徳記念館にあるこれらもすべてファンによる寄贈。
ごくごく一部です。
町の担当者は、3階の音楽室の黒板なら落書きをしても良いが、他には書かないように、とルール化することにした。
そして、 黒板の落書きを毎日撮影し、「今日はこんな落書きがあった」とインターネットのブログを通じて紹介することも始めた。
実はここに戦略が隠れていた。「自分が書いた落書きがブログに紹介され、ファンにとっては旧校舎を訪れた記念になる。 そして黒板に落書きをすること、他のファンの書いた落書きを見に来ることそのものが、繰り返し旧校舎を訪れる動機になる」と。
ちなみに施設側では黒板の管理はしていない。
「誰かが来てチョークを補充していって、汚いと思ったら誰かが消していく。 まったくの自治」。
黒板下に落ちたチョークの粉も、いつの間にか雑巾がけされているそうだ。
一般的な傾向として、アニメファンに対してとかく偏見の目を向けがちだが、
豊郷町の対応はそのような偏見とはまったく 無縁であり、むしろファンを信頼した。
「コスプレ」による撮影、指定した場所での落書きの容認など。
それはポスターを貼らせたりキャラクターグッズを置かせた町内の店舗にも言える。
こうした行政側の懐の深さとファンへの信頼が、ファンによる自治や地元との交流につながったのだろう。
※全国町村会サイトにあった滋賀県豊郷町による町おこしレポートより
劇中に出てくるティーセットもファンからの寄贈。
オルガンも!?すごい。。。
ドラムも・・?ファン、すご過ぎる!
私は「けいおん!」を観ていないのですが、
実は主人が観ており、熱烈なファンというわけではないのですが、ここへは来てみたかったそうです。
私は滋賀のヴォーリズ建築を見たかったので、珍しくお互いの希望が合致しました笑
小学校としての当時の名残も楽しみながら。。
2019年の倉吉市の円形校舎・旧明倫小学校を思い出します。
最初の記事に書きましたが、壮絶な事態となり紆余曲折あって解体は免れ保存された旧校舎。
外部の人間からしても本当によかったと思います。頭が下がります。
どこの教室からだったかな。
現・豊郷小学校も見えました。
そして結局は当時の町長により、建設された新校舎。
これはこれで良さそうには見えますが、当時の町民の方はどう思われているのか・・
次回は、豊郷小学校付近のレトロ建築巡りです!
気長にお待ちいただければ幸いです
2019年の滋賀京都旅行・1(滋賀・豊郷小学校旧校舎群)
2019年の滋賀京都旅行・2(滋賀・豊郷小学校旧校舎のウサギとカメ)
2019年の滋賀京都旅行・3(滋賀・町おこしの主役☆豊郷小学校旧校舎群)
2019年の滋賀京都旅行・4(豊郷町のレトロ建築)
2019年の滋賀京都旅行・5(彦根☆花しょうぶ通りのレトロ建築)
2019年の滋賀京都旅行・6(袋町遊廓跡を歩く)
2019年の滋賀京都旅行・7(ヴォーリズ記念病院・ツッカーハウス)
2019年の滋賀京都旅行・8(ヴォーリズ記念病院・希望館【五葉館】と礼拝堂)
2019年の滋賀京都旅行・9(ヴォーリズ記念館)
2019年の滋賀京都旅行・10(旧御園村役場から醒井宿へ)
2019年の滋賀京都旅行・11(そして長浜へ・土倉鉱山跡)
2019年の滋賀京都旅行・12(長浜のレトロな街並み)
2019年の滋賀京都旅行・13(京都・南禅寺水路閣と第二期蹴上発電所)
2019年の滋賀京都旅行・14(京都・任天堂旧本社社屋)
2019年の滋賀京都旅行・15(京都・旧五条楽園)