六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催されている
「大英博物館 古代エジプト展」へ行って来ました。
古代エジプト文明は今から約5000年~2000年前、アフリカ北東部のナイル川流域で栄えた文明。
私は高校時代に古代エジプト文明にハマり、有名な方では酒井傳六(さかいでんろく)さんや、
当時まだ助教授にもなっていらっしゃらない吉村作治さん(今は名誉教授)の著書などを
買いまくり、読みまくりました。図鑑を模写して絵を書いてみたりも^^;
バイトしてエジプト貯金までしていましたが、事情があってそれは別のことに費やされ
その後も何度か貯めましたが、得るお金には悉く羽が生え、
未だにエジプトへは行ってません。
うかうかしてたら周りに、行ったことある~って人がたくさん・・・
さて今回の展示は、
大英博物館が誇る古代エジプトの貴重なコレクションの公開で、特に「死者の書」という
古代エジプト人の、死後の世界観がよくわかる書物を中心とした内容となっています。
中でも、現存する死者の書では最長の、全長37mのグリーンフィールドパピルスと呼ばれる
死者の書。
大英博物館以外で展示するのは初めてだそうです。
古代エジプト人は、死ぬと魂が肉体から離れ、様々な儀式や試練や審判を乗り越え、
永遠の命を得た後、魂が体に戻ってこれるように、肉体をミイラにしました。
そして「イアルの野」と呼ばれる来世の楽園で、生前と変わらない生活が保障されたのです。
「死者の書」は、死後にどんな儀式や試練があるか記されてあり、
その旅で出合う危険から身を守り、再生・復活するための呪文集。
展示では「永遠の命を得るための、死後の旅のガイドブック」というような表現をしていました。
ちなみに生前、悪いことをしていると再生できません。
旅の過程で「否定告白」といって、42項目にわたる内容があり、罪を犯していないことを
宣誓させられます。
再生・復活のための呪文はそもそも、
王族のピラミッドの内壁に書かれましたが(ピラミッドテキスト)、
やがて王族以外の棺やミイラの包帯にも書かれました。
「死者の書」として一般の人に広まり、パピルスの巻物になったのは3600年ほど前だそう。
そして興味深かったのは、たぶん時代によっていろいろなバージョンがあること。
最初は文章だけで、だんだんイラスト入りのものが出てきたり、極彩色のものもあったり。
描かれた人物が8等身だったり5等身?くらいだったり。
字が少々くせ字っぽかったり。
でもどれもすごく丁寧で、ありえないくらい細い線で綿密画のよう。
4000~3000年くらい前の人があれを書いたのかと思うと感慨深いです。
展示内容は、死者の書だけではありません。
棺やミイラ(中味は包帯で巻いてあって見られません)、石碑やカノポス容器(内臓を保存する容器)
の模型、副葬品など多岐にわたります。
個人的に好きな副葬品は「シャブティ」という、木や陶器で作られた人形(ウシャブティとも)。
死後の旅で試練や審判を乗り越えた者が永遠の命を得て、来世の楽園「イアルの野」へ
入れるわけですが、そこで生前と同じ生活を送るにあたり、
畑を耕したり牛を追うなどの労働はその「シャブティ」が代わりに担ってくれるんだって。
来世の召使いのようなもの。
シャブティたくさん入れてもらわないと来世で大変ですね^^;
どうしても来世で復活したい、しかしそれには様々な儀式や危険を乗り越えねばならぬ、
そして生前悪いことをしたら再生できない。
願いがあって、達成するには試練があって、常識があって・・・。
生きることに真摯だったんですね。
死後の旅のガイドブックまで作って(しかも美術品のような)来世でも生きたいという願い。
古代エジプト人の、生きることは価値があるという思いがすごく伝わってくる展示でした。
開催は9月17日まで(10:00~22:00)
☆公式サイト☆
http://egypt2012.jp/
http://www.roppongihills.com/events/2012/07/macg_egypt2012.html