青森・秋田旅行、初日のわさお編に続き第二段です
1泊目は青森の鯵ヶ沢に宿泊し、2日目の午前中~午後にかけて白神山地の
「ミニ白神」と「くろくまの滝」までの道を、ガイド付きでトレッキングしてきました。
改めて白神山地について。
白神山地は、秋田県北西部から青森県南西部の県境にまたがった広大な山岳地帯の総称で、
ブナの自然原生林やさまざまな植物群落が見られることでも有名な地域です。
1993年(平成5年)、屋久島と共に世界遺産に登録されました。
国の天然記念物及び国内希少種そして絶滅危惧種のイヌワシ、
国の特別天然記念物のカモシカや、絶滅危惧種で天然記念物のクマゲラ、そして同じく
絶滅危惧種クマタカなどが生息している貴重な地域です。
またそれらを支える小動物・昆虫類・植物・微生物・腐葉土など、豊かな生態系が形成されています。
世界最大級の原生的なブナ林を持つ世界遺産白神山地。
近年の調査では約8000年前にはブナ林が存在していたとされています。
これまで伐採計画や林道建設などもありましたが、それらをくぐりぬけて白神山地は
手つかずの自然を保持し続けてきました。
山がその保水力を保つためには、ブナの森が必要不可欠。
樹齢250年ものブナになると、年間8トンの水を根本に蓄えるといわれています。
ブナがあれば山は保水力を保ち、山崩れを防ぎ、クマゲラやイヌワシなどをはじめ、
多彩な生き物が共棲する森であり続けられます。
根を広く伸ばすブナは、雨の貯金箱。森林はすべての生命維持装置ということです。
(白神ナビ等サイトから一部抜粋)
ミニ白神は、世界遺産登録されている地域ではないものの
白神山地核心部同様の森林景観を保っている地域。
ところどころローインパクトに遊歩道が整備されてあり、子供・お年寄りでも歩けます。
こちらのくろもり館から出発(鯵ヶ沢町黒森)。
ぬかるんでいる場合は、長靴も貸してもらえます(有料)。
というか基本、森の中は水分が多いため、常にある程度ぬかるんでいます。
とはいえ、木のチップが敷き詰められているところも多く、また土の上でも端っこは乾いて
いたりで、スニーカーでも歩けました。(多少汚れますが)
入口付近はまだブナは無く、標高が上がるとブナの純林が現れます。
さて、コチラがブナの木の木肌。樹皮は主に灰白色ですが、、、
このように緑や黒っぽいシミのような模様があるブナも。このまだら模様はブナ本来の
ものではなく、木肌に地衣類と言う苔のような植物が着生したものらしい。
画像真ん中の細くて若いブナ。これで樹齢20年くらいだそうです。
幼木の頃はゆっくり、樹齢25年頃から急激に成長するんだって。
こちらは熊の爪あと。ブナの実を採るために登った時ついたということ。
ブナの実はとても栄養価が高くて美味しいらしく、動物特に熊に人気のようです。
右側画像のような、高いところのくぼみに腰をおろして食べるらしいです^^
ちなみにガイドさんが熊よけの鈴を付けています。
(足跡は見たことあるけど、鉢合わせたことはないっておっしゃってました)
普通のデジカメでは全体を写すことが出来ず、素晴らしさが伝わりません><
この画像のブナは、朽ちて中が空洞になっています。
そのうち倒れるとガイドさんがおっしゃってました。
しかし自然に放置して倒れたブナは、他の樹木や生物の生存に欠かせない存在。
次世代への栄養分になります。
白神山地のブナの原生林は樹齢の若いもの、大木、老木、倒壊し朽ちたものまで、あらゆる
世代が見られ、400年以上のものも確認されているそうです。(寿命は200~300年と推測されている)
もちろんブナだけでなく、カエデ類やミズナラ、ホオノキ、オニグルミ、サワグルミ、カツラなどの
落葉広葉樹が林立しています。
落葉広葉樹は針葉樹林にくらべて落ち葉の分解が速く、土壌がフカフカしています。
腐葉土が豊かなところは、巨大なスポンジと、よく例えられます。
そしてブナの根は横に広がり、杉の根は縦に伸びるそうです。
人間の経済活動として植えられた杉。
杉だけの森は鉄砲水も起こりやすい。
ブナの森は、その保水力で洪水はもちろん渇水も防ぎ、雪崩や山崩れも防止してくれるのだそう。
都会の森にあるような、いわゆる雑草もあまりありません。在来種を駆逐する外来種なんぞ
見当たらす。
でも人間が立ち入っているので、厳密にはあるのかも・・・。
池の前に野鳥観察小屋もありました。見たかったけど、池には来ていないようでした。
ミニ白神からバスで移動、「くろくまの滝」エリアに入りました。
こちらも遊歩道がありますが、高低差があるのでより注意が必要です。
10月半ば、紅葉はまだまだです。部分的には赤くなっていましたが。
う~ん伝わらない。もっと迫力あるんですけどね~
ちなみにこの写真を撮るには、少しゴツゴツした岩場を登ります。
真下まで行っているご夫婦もいましたが、私たちを含むほとんどの方がこのあたりで撮影。
あまり必要以上に踏み入るのも抵抗がありました(森自体に行っておいてナンだけど)
さて長くなりましたが、
白神山地の世界遺産地域は、中央部の核心地域と、周辺の緩衝地域に分かれ
青森県側の核心地域へ入るには届出が必要で、秋田県側の核心地域は入山禁止です。
核心地域は林道・登山道すらないので、高度な技術を持っていなければ踏破できません。
核心地域では遭難者も出ています。
議論が分かれるところですが、
核心地域へは自然保護管理関係の人間(レンジャーや巡視員など)以外は入山禁止で
いいのではないかと勝手ながら思いました。
縄文時代より残る手付かずの自然。樹齢何百年ものブナも必死で立っているのだろうし
そっとしておきたいものです。
入ってみて、そんな風に思ったトレッキングでした。
でも本音は日本最大のキツツキ、クマゲラ見たいです^^;
深呼吸したくなるような原風景というのかな
静かに自分が歩く音が聞こえてくるような
たくさんの命をはぐくむ森は
いつまでも大切にしていかないと・・・
大切に守っている地元の方々に感謝です。
世界遺産に登録されたことで、観光客は増えたけど
開発できなくなったからよかったのかも。