「沖縄が中国の『パールハーバー』になる時」
およそ百年前、世界は戦争に明け暮れていた、第一次世界大戦(1
914年~1918年)である。ヨーロッパを主戦場にしたこの戦争
は「ジェノサイドの犠牲者を含た戦闘員900万人以上と非戦闘員7
00万人以上が死亡した」(ウィキペディア「第一次世界戦争」) そ
して、その最中にスペイン風邪のパンデミック((1918年1月~1
920年12月)が発生し、世界の死亡者数は4000万人以上と推
測され(WHO)、さらにわが国ではその3年後(1923年9月1日)
に関東大震災が起こって、死者・行方不明者が10万5千人余りが
犠牲になり(ウィキペディア「関東大震災」)、暗澹たる世相の中で1
929年世界恐慌が起こった。度重なる自然災害と長引く経済危機、
そして政治不信によるテロリズムの横行によって自由主義的な風潮、
「大正デモクラシー」はその余韻すら止めずに激動の「昭和」へと
引き継がれた。欧米列強は自国の経済的利益のために近代化が遅れ
たアジアに進出して植民地政策を行なっていたが、アジアで唯一植
民地政策を展開して近代化を目指す日本に対して、欧米列強は経済
制裁によって中国から撤退させようしたが、経済的に追い込まれた
わが国は「パールハーバー奇襲攻撃」によって宣戦布告した、第二
次世界大戦である。
さて、時代は百年を経て、世界は再びウイルス感染のパンデミック
に見舞われて、その世界経済への影響はかつての世界恐慌に匹敵する
とも言われているが、もしも時代は繰り返すとすれば、最近の地震の
頻発は不気味でしかたがない。さすがに二度の世界大戦を経験したこ
とから厭戦への思いは持続されているが、それでは、かつてわが国が
欧米列強に対して抱いた敵意は繰り返されていないかと言えば、すで
に米中関係において政治、経済、軍事など様々な分野で対立が表面化
している。つまり、今の中国をかつてアジアの覇権を掌握しようとし
た日本に置き換えて見れば、彼らが国の内外に向けて発する煽情的な
メッセージは我々にとっては聞き覚えのある響きではないか。今の中
国を見れば、もちろんその規模は異なるが、十四億人の人民に支えら
れた大国と、かつて神によって護られた覇権主義国家日本に何と似て
いることか。そして、アメリカのトランプ大統領もかつての日本に対
する経済封鎖のように中国への経済制裁を口にしている。このまま米
中対立が過熱すれば、単に米中の問題だけではなしに、アジア各国へ
の影響も避けられなくなるだろう。問題はパンデミックの終息の後で
米中の経済の回復がどの程度かにもよるが、対米輸出が輸出の第一位
を占める中国経済がアメリカによる経済制裁に耐え得るかどうかによ
って、そもそも「世界の工場」としての中国は製造業なしに経済成長
は見込めないのだから、アメリカからの受注なしに再び回復すること
は望めない。14億もの人民を養っていくの簡単なことではないし、
食えなくなれば他国に侵略することだって起こり得る。かつて米ソ冷
戦時代、「旧ソ」は猫(アメリカ)を咬むことはなかったが、「チュウ」
国はそういう訳にはいかないかもしれない。人権意識の希薄な14億
もの人民がたった一人の独裁者の思うがままに動くのだ。もしも、中
国がかつての日本軍のように耐えられなくなってアメリカに対して奇
襲攻撃を仕掛けてくるとすれば、それは間違いなく沖縄の米軍基地で
ある。かつて日本軍がアメリカ海軍の軍港であるパールハーバーを奇
襲攻撃した時のように。つまり、中国軍による武力攻撃の目標は日本
に点在するアメリカ軍基地である。
(おわり)