「あほリズム」
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競泳の池江璃花子選手が難病を克服して東京五輪候補の内定が
確定したことと、そしてプロゴルファー松山英樹がアジア人への
ヘイトクライムが頻発するアメリカでのマスターズ優勝の快挙に
多くの日本のスポーツファンたちは久々の感動に心震わせたが、
そもそもスポーツ選手たちは困難に打ち勝って勝利を手にするこ
とによって「国民を元気にすること」が本来であって、かつて敗
戦間もない絶望に打ちひしがれた時代にはプロレスラーの力道山
やボクサーの白井義男、さらには前の東京オリンピック代表の女
子バレーボールチームなど、いずれも彼らは自信喪失した観客を
勇気付けることがあっても、決して「応援よろしくお願いします」
などと観客に応援を請うようなことはしなかった。しかし今日では
限界に阻まれたアスリートたちは手段と目的が転回(ケ―レ)してい
る。それでも一流のアスリートは観客が自信を取り戻せるように優
れた技を披露して「観客を応援する」。