「時間は存在しない」
自著が世界的なベストセラーになったカルロ・ロヴェッリとい
う物理学者が続けて著した『時間は存在しない』(NHK出版)と
いう本を読んだ。そもそもはハイデガーの研究者として知られる
木田元の著書である文字通り『ハイデガー』の中に「存在とは時
間である」という定義に疑問を抱いたからで、カルロ・ロヴェッ
リもまたハイデガーの時間についてわずかではあるがふれている。
その引用は一部にとどめざるを得ないが、ハイデガーは、人間に
とっての「存在とは何か」という問題への関心から「内的な時間
意識を存在それ自体の地平と同一視するようになったのだが。」
と、ハイデガー哲学にとっては核心とも言えるテンポラリテ―ト
(時間性)についてどちらかと言うと批判的に書かかれていて共感を
覚えた。
(つづく)