再び「時間は存在しない」のつづき
物理学者カルロ・ロヴェッリは「宇宙全体で定義できる“ 同じ瞬
間 ”なんて存在しない」と言う。だとすれば、〈存在〉が現われる
前に時間だけが刻々と流れる世界というのは、それは科学者ニュー
トンが主張した絶対時間のことだが、あり得ないことになり、時間
は存在のあとから派生したことになる。では、時間はなぜ存在のあ
とから派生したのかといえば、存在が変化するからである。そして
、存在の変化はいったい誰が認識するのかと言えば、客観な視点か
ら世界の変化を観察することができるのは人間以外に存在しない。
つまり、「時間」とは存在の変化を記号化した人間によって作られ
、人間だけが認識する概念である。そして「存在とは時間である」
(ハイデガー)とすれば、時間とは変化を表す変数であるから、「存
在とは変化である」ということになり、存在の変化とは「生成」の
ことにほかならないので、「存在とは生成である」ということにな
る。つまり、ハイデガーが「存在とは時間である」と言うのは「存
在とは生成である」と言っていることと同じなのだ。
(つづく)