「あほリズム」
(845)
コロナ禍の下でのオリンピック開催の是非を巡って意見が対立し
、緊急事態宣言が発令されたにも関わらず迫る期日を前にしてなし
崩し的に開催されると、開催派は主にマスコミをはじめとする中止
派の人々の報道のあり方が「掌返えしだ」と批判するが、しかしそ
れは民主主義の何たるかをまったく理解していない教条主義者たち
の言い分である。そもそも非常事態宣言下での開催の是非を巡る議
論と開催後の競技者の活躍を一緒くたにして語るのは無知以外の何
ものでもない。いずれにせよ、つまりなし崩しにせよ、開催された
のであれば賛否を蒸し返して非難するのは段階を踏んで進めていく
民主主義的手続きを後戻りさせる論理にほかならない。それはまさ
に反対する者は非国民だと詰るかつての翼賛思想を思い起こさせる
。もしも主張が通らなかった者は反対した事案に口を挟むなと言う
なら、つまり決定後に「掌を返すな!」と言うなら、戦争に反対し
た者は戦争になっても戦争に参加しなくてもいいことになる。