【2011年9月14日(水)】 京都シネマ
スサンネ・ビア監督の映画はいままで3本見ている。『ある愛の風景』、『悲しみが乾くまで』、『アフター・ウェディング』で、いずれも真剣でまじめな作品ばかりである。
今回の映画も、矛盾だらけの現実の世の中とそれと真剣に向き合う人間の生き方を描いたものである。
舞台は、とあるアフリカの難民キャンプとデンマーク国内。不倫で妻と別居中の父親・アントンはアフリカと母国デンマークの自宅を行き来する生活をしている。アフリカの地では、医師として難民の治療に当たっている。
忙しい合間をぬってデンマークの自宅に帰ると、母親と住んでいる2人兄弟の兄であるエリアスが父を迎えてくれる。しかしエリアスは学校でいじめにあっていて、そのことを父親に面と向かって話せない。
その学校に、やはり家族間に問題をかかえたクリスチャンがロンドンから、祖母のいるデンマークに引っ越してくる。クリスチャンは最近、母親を亡くし、そのことで父親との間に確執がある。
いじめにあっているアントンをみてクリスチャンは助太刀をするのだが、その方法が思わぬ方向にエスカレートしていく。 (『メタルヘッド』の似たような場面を思い起こしてしまった。)
アントンは、別の事件で、《暴力を受けたことを暴力で応酬するのは誤りである》ということを自ら示すが、クリスチャンは納得しない。
クリスチャンの行動は更に過激になっていく。そして、思いもよらない事態が。
一方、アフリカでは、難民たちを襲い無慈悲な行動をとる悪党集団のボスが、医師を頼ってアントンのいるキャンプに運び込まれる。
《治療すべきか、追い返すべきか》迷うアントンだが・・・。
《赦すべきか、復讐か》-背後に《パレスティナとイスラエルの果てしない報復合戦》や貧困を極限にまでもたらす《アフリカ各地の内戦と無政府状態》、《教育・いじめ》の問題がある。(意外だったのは、デンマークにも《いじめ》の問題があるのかということだった。)
多少、「日本語のタイトル」を含め『教育映画』的なのが鼻につくが、心に残る映画である。
『未来を生きる君たちへ』-公式サイト