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【2012年10月30日】 京都シネマ
タイトルからイメージする様な甘い映画ではない。ナチ占領下におかれたポーランドの捕虜収容所での出来事と、30年以上たった1970年代のニューヨークで円満な生活を送る《一市民》を結ぶ、《ある記憶》を巡る物語である。
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この映画を見て、すぐ思い当たる映画は、同じナチ占領下のポーランドを舞台にしたアンジェイ・ワイダ監督の『カティンの森』だ。第二次世界大戦が勃発して、ポーランドは東西の両国、ソビエト・ロシアとナチ・ドイツに領土を分割され、国土が無くなってしまったが、その時ポーランド軍の将校や兵士、市民の一部ががソ連の捕虜となってとらえられ強制収容所(ラーゲリ)に収容されたが、そのうち2万といわれる捕虜が虐殺され「カティン」近くの森に埋められた。
ロシア側は、当初これを認めず、後からこの地を占領したナチ・ドイツ軍のせいにしようとした。どちらも然もありなんであるが、ロシアの犯行であることは明らかだった。(長い間真相が解明できなかった一つの要因に、被害者側であるポーランド政府が戦後もソビエト共産党・スターリンの《威光》におののいて異議を唱えられなかったということがあるらしい。ナチ・ドイツとソ連・スターリンの横暴の犠牲というと『ザビーナ・シュピールラインの悲劇』も思い浮かべる。)
そんな状況での、ポーランドでの《過去》の記憶である。
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最近、この手の《事実に基づく》と謳った映画を散見する。戦後60年以上たった今も戦争の傷跡は深く残っている、ということか。
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かわいそうなのは今の夫である。何の落ち度もないのに、過去の記憶を呼び覚まされた妻の行動に、自分の《大事な日》にも関わらず、ただ《おろおろ》するばかりである。
『あの日、あの時、愛の記憶』-オフィシャルサイト
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