【2011年4月16日】 京都シネマ
本作品は、映画化にむけて監督がイタリア、スイス等を巡り、草刈民代の相手役を勤めるルイジ・ボニーノや、そもそもの原作の振付師であるプティーらとの、映画ができるまでのやりとりを記録した「プロローグ」と、5分間の休息をはさんだあとの、バレエ:『ダンシング・チャップリン』の「本編」で構成されている。
『Shall We ダンス!』や『それでもぼくはやっていない』を作った監督は、バレエを題材にして、《今度はどんな作品を見せてくれるのだろうか!》と期待をふくらませ、封切りを待って映画館にはせ参じたが、結果からいうと期待はずれだった。
《監督の、バレリーナであり妻でもある草刈民代へのオマージュともいえる愛のメッセージである。バレリーナの夫として15年。 バレエの世界に魅了されてきた周防正行がフィルムに残したかったもの。》(同公式サイト・【イントロ】の文章)という思いはよくわかるし、スクリーンからその気持ちは充分伝わってくるが、ただそれだけのような気がした。
残念ながら、自分としては、《それは振付家、衣装デザイナー、バレエダンサーそれぞれが美を追求する姿、 そして完成された美しい舞い。映画ファンもバレエファンも見逃すことのできないバレエ映画が誕生した!》(同上)とは到底、思えなかった。翌日、後を追ってみてきた妻に感想を聞いてみたところ、同意見だった。
2年前、誘われるままに草刈民代の最終公演『エスプリ~ローラン・プティの世界』を兵庫県立芸術文化センターまで見に行った。最終公演という興奮も加わって、それはすばらしかった。周防監督でなくても「バレエダンサーとはこんな美しいものか」と思わずにはいられなかった。
一方、チャップリンのどの映画も大好きだ。『街の灯』、『キッド』、『ライム・ライト』、『モダン・タイムス』、『黄金狂時代』、『独裁者』、『殺人狂時代』。どれもこれも4、5回以上は見ている。
それぞれ素材(といっては失礼だが!)はどれも良く、単品で見た方がずっとすっきりしていると思うのだがのだが、今回の組み合わせの意図がよくわからない。
ちょっと、残念だった。
「ダンシング・チャップリン」-公式サイト