![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/12/2dfd5265152267a786412335580f8fc1.jpg)
『プーチンに勝った主婦』(小倉孝保著-集英社新書)
ー 小倉孝保は毎日新聞の記者・論説委員で、この本を出すのに12年の歳月を要したという
【 2024年12月25日~2025年1月28日 記 】
最初、本のタイトルを見た時『~主婦』という言葉が、不似合いではないかと違和感を持った。リトビネンコの妻だったら《闘志》ではないかと? しかし本文を読み始めると、マリーナは夫が暗殺されるまでは、ごく普通の《主婦》だったのだと悟った。《主婦》という言葉が「軽い」と感じたのは、ナワリヌイの妻ユリア・ナワルナヤさんのイメージが強くあり、その姿と対比してしまったが、《普通の妻》が闘いの中で《不屈の人》に変わっていくさまが感動的だった。
以前読んだ本のことや事件の進展を伝える当時のニュースを何度も思い出してしまった。凄いドキュメンタリー・レポートだ。
この本は、昨年の年内に読んでしまって、このブログを直ぐにでもアップしようと思っていたのを、過去に読んだ本をもう一度読んでから、その感想も一緒に書こうと思っていたところ年が明けてしまった。
〇 〇 〇
「リトビネンコ事件」の詳細を知ったのは、今は無くなってしまった「京都みなみ会館」で上映された映画『暗殺・リトビネンコ事件』を2008年に見た時が最初だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/43/6330c941c16c2846bc1b3e1d5be8d661.jpg)
【 リトビネンコ暗殺 】 【 ゴールドファーブとマリーナ・リトビネンコ 】
『リトビネンコ 暗殺』:この本は、上記の映画の土台となったような内容の本で、豊富な写真と解説が詳しく載っている。2007年の出版だから、リトビネンコが暗殺された直後にマリーナと共に、支援者であるゴールドファーブが書いたもので、リトビネンコがチェチェンで体験したことから”プーチンの敵”になるまでの経過が綴られている。特に、FSB(KGBの後身)の暗躍ぶり-いかにチェチェン紛争を正当化しプーチンが権力を集中し、大統領に上り詰めて行くか具体的に示されている。
『チェチェン やめられない戦争』:リトビネンコが暗殺された同じ年の数か月前、ロシアの反体制派の有力な機関紙「ノバヤ・ガゼータ」の記者で、チェチェンでの悲惨な状況を発信し続けていたアンナ・ポリトコフスカヤが自宅前で何者かによって射殺された。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/7b/39f04654fd8ef797f5fbc1ae66580517.jpg)
【 チェチェン やめられない戦争 】 【 アンナ・ポリトフスカヤ 】
プーチンにとっては、リトビネンコと共にアンナ・ポリトフスカヤは、《目の上のたんこぶ》以上のものだったに違いない。
『ロシア 語られない戦争』:そんな折、手にした本が下の本だった。新聞記者という一民間人でありながら、イスラム教に改宗してまでして、チェチェン独立派の行軍に従軍しながら、チェチェン紛争を取材するという”冒険”というか、有り得ない体験を記した内容に圧倒されて、3日間で読み終えてしまった。生前のリトビネンコに取材した唯一の日本人ということでも注目されて、巻末にある「インタビュー記事」は貴重だ。
『はじめに』で書かれている、《アンナ・ポリトコフスカヤの著書『チェチェン やめられない戦争』とリトビネンコ著『ロシア 闇の戦争』とそっくりというか足して2で割ったようなタイトルの本ですが、内容はパクリではありません。》と謙遜しているが、他の本と違って、臨場感というかリアル感に圧倒される。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/76/a4c73c2c514ac3e6059e706dd0ceb557.jpg)
【 ロシア 語られない戦争(常岡浩介 著) 】
『ロシア 闇の戦争』:上の本で紹介されていたので、これも読んでみた。リトビネンコと名を連ねているもうひとりの著者であるユーリ・フェリチンスキーは、早くからアメリカに亡命したロシアの学者である。
この本では、チェチェン戦争を仕かけるためにプーチンとFSBが主導した、チェチェン・テロリストが仕掛けたと見せるための、各地のテロ工作の裏側が暴かれている。
「本の帯」にあるように「リトビネンコはこれを書いたおかげで暗殺された」と言われ、ラトビアで印刷された本はロシアに持ち込まれる前に全て没収されて、ロシアでは発禁処分を受けたものである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/c0/2c4a269922f1e8404e17c78b3a895077.jpg)
【 ロシア 闇の戦争 ーフェリチェンスキー・リトビネンコ著 】
『プーチンに勝った主婦』には、これらの支援者ーザカーエフ、ゴールドファーブ、ブコウスキーなどの人物の横顔がその援助内容を含め、それぞれ1つの章をとって紹介されている。
〇 〇 〇
もう一度全部を読み直し詳しく紹介したいが、いつになるかわからないのでこの辺で止めて投稿することにする。
【 2025年1月29日 追記 】
今からほぼ1年前の2024年2月、ナワリヌイ氏が極寒の地シベリアで死亡したというニュースが飛び込んできた。直ぐに《殺された》と思った。映画『プーチンが最も恐れる男 ナワリヌイ』で果敢な活動も見てきたが、以前にも何度も殺されかけていたのに、果敢にもロシアに戻ったものだと思っていた矢先の出来事だった。
プーチンの過去の辿った道筋を見てみれば、プーチンがかかわっていないとは絶対に考えられない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/78/65832dc647d84f176984f5dd7bb4c425.jpg)
【 コーカサス 国際関係の十字路 】(廣瀬陽子著)集英社新書
現在、ウクライナでの戦争やパレスティナでの虐殺は毎日のニュースで取り上げられているから、知らない人はいないと思うが、【チェチェン紛争とはどんな戦争だったのか。どんな利権や民族問題を抱えているのか】という問題について関心を持っている人は少ないと思うし、それどころ「チェチェン紛争」そのものを知らない人は多いと思う。
「コーカサス、国際関係の十字路」(廣瀬陽子著、集英社新書)は、そうした紛争のもとになっているこの地域の問題の初歩的理解をするのに役立つ。
コーカサス(カフカス)は確かに日本から一番わかりにくい地域かもしれない。パレスティナとイスラエルの中東戦争を巡る話はよく報道されるし、イラン・イラクやアフガンもよく耳にする。アフリカの飢餓のニュースやチベットのニュースも時折入るが、現在進行中のウクライナ問題は【コーカサス紛争】の延長上にあると思われる。NATOの東方拡大問題もあるが、その事だけに気を取られてプーチンのやることに同情することは禁物だ。
【 過去に書いたマイ・ブログ 】
映画『暗殺・リトビネンコ事件』を見て初めて知った時のマイ・ブログへジャンプ
『リトビネンコ暗殺事件を報じた当時の新聞記事』のマイ・ブログヘジャンプ
書籍『ロシア語られない戦争(常岡浩介著)』に関するマイブログへジャンプ
『マルタで女性記者殺害』の報道に関するマイブログへジャンプ
映画『プーチンが最も恐れる男・ナワリヌイ』のマイブログへジャンプ
『ナワリヌイ氏、死亡』の報道に関するマイブログへジャンプ
ー 小倉孝保は毎日新聞の記者・論説委員で、この本を出すのに12年の歳月を要したという
【 2024年12月25日~2025年1月28日 記 】
最初、本のタイトルを見た時『~主婦』という言葉が、不似合いではないかと違和感を持った。リトビネンコの妻だったら《闘志》ではないかと? しかし本文を読み始めると、マリーナは夫が暗殺されるまでは、ごく普通の《主婦》だったのだと悟った。《主婦》という言葉が「軽い」と感じたのは、ナワリヌイの妻ユリア・ナワルナヤさんのイメージが強くあり、その姿と対比してしまったが、《普通の妻》が闘いの中で《不屈の人》に変わっていくさまが感動的だった。
以前読んだ本のことや事件の進展を伝える当時のニュースを何度も思い出してしまった。凄いドキュメンタリー・レポートだ。
この本は、昨年の年内に読んでしまって、このブログを直ぐにでもアップしようと思っていたのを、過去に読んだ本をもう一度読んでから、その感想も一緒に書こうと思っていたところ年が明けてしまった。
〇 〇 〇
「リトビネンコ事件」の詳細を知ったのは、今は無くなってしまった「京都みなみ会館」で上映された映画『暗殺・リトビネンコ事件』を2008年に見た時が最初だった。
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【 リトビネンコ暗殺 】 【 ゴールドファーブとマリーナ・リトビネンコ 】
『リトビネンコ 暗殺』:この本は、上記の映画の土台となったような内容の本で、豊富な写真と解説が詳しく載っている。2007年の出版だから、リトビネンコが暗殺された直後にマリーナと共に、支援者であるゴールドファーブが書いたもので、リトビネンコがチェチェンで体験したことから”プーチンの敵”になるまでの経過が綴られている。特に、FSB(KGBの後身)の暗躍ぶり-いかにチェチェン紛争を正当化しプーチンが権力を集中し、大統領に上り詰めて行くか具体的に示されている。
『チェチェン やめられない戦争』:リトビネンコが暗殺された同じ年の数か月前、ロシアの反体制派の有力な機関紙「ノバヤ・ガゼータ」の記者で、チェチェンでの悲惨な状況を発信し続けていたアンナ・ポリトコフスカヤが自宅前で何者かによって射殺された。
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【 チェチェン やめられない戦争 】 【 アンナ・ポリトフスカヤ 】
プーチンにとっては、リトビネンコと共にアンナ・ポリトフスカヤは、《目の上のたんこぶ》以上のものだったに違いない。
『ロシア 語られない戦争』:そんな折、手にした本が下の本だった。新聞記者という一民間人でありながら、イスラム教に改宗してまでして、チェチェン独立派の行軍に従軍しながら、チェチェン紛争を取材するという”冒険”というか、有り得ない体験を記した内容に圧倒されて、3日間で読み終えてしまった。生前のリトビネンコに取材した唯一の日本人ということでも注目されて、巻末にある「インタビュー記事」は貴重だ。
『はじめに』で書かれている、《アンナ・ポリトコフスカヤの著書『チェチェン やめられない戦争』とリトビネンコ著『ロシア 闇の戦争』とそっくりというか足して2で割ったようなタイトルの本ですが、内容はパクリではありません。》と謙遜しているが、他の本と違って、臨場感というかリアル感に圧倒される。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/76/a4c73c2c514ac3e6059e706dd0ceb557.jpg)
【 ロシア 語られない戦争(常岡浩介 著) 】
『ロシア 闇の戦争』:上の本で紹介されていたので、これも読んでみた。リトビネンコと名を連ねているもうひとりの著者であるユーリ・フェリチンスキーは、早くからアメリカに亡命したロシアの学者である。
この本では、チェチェン戦争を仕かけるためにプーチンとFSBが主導した、チェチェン・テロリストが仕掛けたと見せるための、各地のテロ工作の裏側が暴かれている。
「本の帯」にあるように「リトビネンコはこれを書いたおかげで暗殺された」と言われ、ラトビアで印刷された本はロシアに持ち込まれる前に全て没収されて、ロシアでは発禁処分を受けたものである。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/c0/2c4a269922f1e8404e17c78b3a895077.jpg)
【 ロシア 闇の戦争 ーフェリチェンスキー・リトビネンコ著 】
『プーチンに勝った主婦』には、これらの支援者ーザカーエフ、ゴールドファーブ、ブコウスキーなどの人物の横顔がその援助内容を含め、それぞれ1つの章をとって紹介されている。
〇 〇 〇
もう一度全部を読み直し詳しく紹介したいが、いつになるかわからないのでこの辺で止めて投稿することにする。
【 2025年1月29日 追記 】
今からほぼ1年前の2024年2月、ナワリヌイ氏が極寒の地シベリアで死亡したというニュースが飛び込んできた。直ぐに《殺された》と思った。映画『プーチンが最も恐れる男 ナワリヌイ』で果敢な活動も見てきたが、以前にも何度も殺されかけていたのに、果敢にもロシアに戻ったものだと思っていた矢先の出来事だった。
プーチンの過去の辿った道筋を見てみれば、プーチンがかかわっていないとは絶対に考えられない。
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【 コーカサス 国際関係の十字路 】(廣瀬陽子著)集英社新書
現在、ウクライナでの戦争やパレスティナでの虐殺は毎日のニュースで取り上げられているから、知らない人はいないと思うが、【チェチェン紛争とはどんな戦争だったのか。どんな利権や民族問題を抱えているのか】という問題について関心を持っている人は少ないと思うし、それどころ「チェチェン紛争」そのものを知らない人は多いと思う。
「コーカサス、国際関係の十字路」(廣瀬陽子著、集英社新書)は、そうした紛争のもとになっているこの地域の問題の初歩的理解をするのに役立つ。
コーカサス(カフカス)は確かに日本から一番わかりにくい地域かもしれない。パレスティナとイスラエルの中東戦争を巡る話はよく報道されるし、イラン・イラクやアフガンもよく耳にする。アフリカの飢餓のニュースやチベットのニュースも時折入るが、現在進行中のウクライナ問題は【コーカサス紛争】の延長上にあると思われる。NATOの東方拡大問題もあるが、その事だけに気を取られてプーチンのやることに同情することは禁物だ。
【 過去に書いたマイ・ブログ 】
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