【2010年6月13日】 京都シネマ
山崎豊子の「運命の人」(2009年、文藝春秋社刊・全4巻)は昨年の夏、読んだ本である。
山崎豊子の本は「沈まぬ太陽」(全5巻)が圧倒的に良かったし、「大地の子」も良かった。小説は読んでいなかったが、それ以前の「白い巨塔」にしても「華麗なる一族」や「不毛地帯」はテレビドラマや映画でお目にかかり、スケールの大きな作家だなと思っていた。
そんなこともあって「運命の人」は発売とほぼ同時に買い込んでしばらくおいていたが、「沖縄秘密協定」の文書が明るみに出るなどのタイミングもあって読み出すと、「沈まぬ太陽」ほど読みやすいことはなかったが、4週間で一気に読んでしまった。
そして今、「普天間基地移設」の問題である。
てっきり、「運命の人」の映画化かと思ってしまった。しかし本の発売が昨年の4月で、そんなに早く映画ができるなんて、とタイミングの良さにびっくりしていた。
あわてて観に行って、スクリーンに登場する俳優を見て、後からカタログを見て初めてわかった。
北村和夫も吉行和子も若い。沖縄出身の父親をもつ大空真弓の懐かしい顔があるではないか。「今の映画」であるわけがない!
澤地久枝がこんな本を書いているとは知らなかった。澤地久枝もすごい人だ!
映画は、実は1978年にかかれた澤地久枝の『密約』を元に、同年テレビドラマ用に制作されたものだという。テレビでは1回だけ放映されただけで、後は闇に葬り去られ、ようやく10年後の1988年に映画館で再上映されたということである。
そして今回、再度上映されることに。
ちっとも古くない。内容が古くないということは事態が全く進展していないということでもある。
なぜもこう、アメリカに対して屈辱的なのだと思う。前の総理は、今頃、「アメリカ海兵隊や日米安保体制」のどんな『必要性』を再認識(再学習)したというのだろう。
いつまで沖縄の人々の気持ちを踏みにじり、日本人全体をだまし続ければ気が済むのだろう。日本国民を犠牲にしたアメリカへの『思いやり』など必要ない。
ここを避けて通っては、日本の将来はひらかれない。