【2013年4月27日】 京都シネマ
地中海に浮かぶ小島・リノーサ島での、アフリカからの難民とそれに遭遇した漁師一家の物語である。
映画を見る限り、イタリアの住民もフランス同様、日本とは違って『難民』に対し寛容である。何が何でも、ともかく警察や取り締まり当局に引き渡すというのでなく、匿う事をするのである。日本人の感覚からすると《匿った方》も《匿われた方》も、その後どうなってしまうのか《心配》であるが、ともかくそうする。
そういう場面をスクリーンで何度も観てきたから、一部の例外ではなく実際にも《よく行なわれいる》現実なのだろうか。
それはともかく、イタリアの-特に南の方は-何といっても明るく陽気なのである。上の映像は、難民でなく、島に来た観光客の写真であるが、余暇を安く楽しく陽気に過ごすことを知っている。イタリアは高級リゾート地ばかりではないのである。
島では漁業が衰退し、観光に転じたり、新たな仕事を求めて本土に渡る者も多い。母親は、船を処分して幾ばくかの援助金をもらい島を出ることを考えているが、父を海でなくした息子のフィリッポは祖父をしたい、今日も共に海に出る。
そんなときに海で難民に遭遇した。通報するものの妊娠している親子を自分の家に匿う。自分らの船は、難民を助けたという容疑で没収されてしまう。
フィリッポは何とか親子を助けたいと思い、決断する。
アフリカからの難民役・サラを演じていた下の女性は、彼女自身実際2009年の夏にランペドゥーサ島に渡ってきた難民だったという。80人の難民を乗せたボートは3週間の漂流の後、生き残ったのはたったの3人だったという。監督に抜擢されたと言うが、道理で瞳の輝きが違う。
祖父役の俳優も存在感がありよかった。「ゴッド・ファーザー」のパート3に出演していたと言うが記憶がなかった。
日本とイタリアとの《心の近さ》を感じるいい映画だった。
『海と大陸』-公式サイト