【 2023年2月4日 6日 記 】
2月4日に1年ぶりに開催された同会の年次総会に出席してきた。
○ ○ ○
前回、総会が開催されたのが2021年の12月19日だったから1年以上たっているが、やはりこの1年もコロナに振り回されて(それとウクライナ戦争の問題もあって)大勢が集まる集会やデモンストレーションはしにくい状況だったが、他団体もふくめ勉強会は何回か開かれた。
そのうちの1つで、昨年の11月26日に京都弁護士化主催で開かれた「北陸新幹線延伸計画」の問題点を探るシンポジウムに、今回の総会に先立ち参加してきたが、その時の講演内容は以下の様なものであった。今回の内容と合わせれば、「北陸新幹線の京都を縦断する延伸計画」というものがいかにデタラメでいい加減なものかがよくわかる。
それぞれの講師が上の内容で報告をしたが、当初有力だった【米原ルート】を止めて、【小浜-京都ルート】を採用するとして、問題点別に整理すると以下のようになる。
何処をとっても、悪害だらけで良いことなど1つもないとんでもない計画である。こんなバカみたいな企画がどうして出てくるのかが不思議でたまらないのだが、言い出しっぺの《プロジェクトチーム》やらのメンバーや取り巻きをみるとその構図が分かる。不利益と自然破壊、住民に害悪を垂れ流す中で、利益を受け取る集団が1つだけある。工事を受注する建設大手の大企業とそれにすり寄る一団だ。
〇 〇 〇
こうした残土処理や地下水の枯渇問題、災害の発生などの公害問題等、周辺住民に及ぶ不利益や害悪の一方、それを利用しようとする人にどんな便益が得られるのだろうか。小浜から京都を通り大阪まで、140kmの区間の8割がトンネルだという新幹線に乗ってみて、どのような《楽しい旅》が期待できるというのだろうか。トンネルの多い区間は車窓の景色が楽しめないばかりか、逆にイライラする。
皆さんも経験があるかもしてないが、高速道路を運転していても、長いトンネルに入ると圧迫感と緊張感で、早く抜けられないかと神経を使い疲れる。それに、トンネル内で火災や地震が起きたらどういうことになるのか考えただけでも恐ろしい。
地震大国の日本で、地震が起きてトンネルが途中で断裂するこだって十分考えられる。
だいたい、今の湖西線経由の特急「サンダーバード」と比べて20分しか短縮されないのに、そのような危険を冒してまでして得られる利便性や効用があるのだろう?
それと、仮に北陸新幹線が京都・大阪まで延伸されれば、今ある湖西線の電車はどうなるのか? 湖西線の電車は減便され、「サンダーバード」も敦賀止まりになるのか、あるいは廃止になるかもしれない。(実際、北陸新幹線が富山から金沢まで延長されたとき、富山行きの「サンダーバード」は金沢駅止まりになって、北陸新幹線の乗り換えざるを得なくなり、不便になったと聞く。)
最後に経済負担と経済効果の問題がある。
結論から言えば、赤字路線となり、経済効果は全くないから、多大な税金の無駄遣いになる事だけが明らかになっている。
【 2023年2月14日 追記 】
実際、今度の延伸計画でどの程度の工事費用が見込まれているのだろうか。2016年当時、敦賀と京都を結ぶ延伸ルートは、①敦賀ー米原ー京都ルート【米原ルート】、②敦賀-小浜ー京都【小浜・京都縦断ルート】、③敦賀-舞鶴ー京都【舞鶴ルート】の3つのルートがあったが、走行距離も長く、費用対効果*註の値も0.6程度の【舞鶴ルート】は早々と消えて、費用対効果*註が2.2近くの【米原ルート】が最も有力だった。それが与党プロジェクトチームで根拠も示さず【京都縦断ルート】が急遽決められたのだ。
*註:費用対効果(事業効率・費用便益比)・・・大雑把にいえば、《事業にかかる費用》に対する《経済効用の値》で表され、
1.0を超えれば黒字と見なされ、逆に1.0より小さければ赤字となり、それ以下なら国交書はその事業を認可しないことになっているという。
一応、下の式で表される。
費用便益比(B/C)= 総便益(B)/総費用(C)
総便益(B)= 利用者便益 + 供給者便益 + 環境等改善便益 + 残存価値
総費用(C)= 建設費投資額 + 車両費 + 維持改良費
という事らしい。
【京都縦断ルート】の今の時点での費用対効果(費用便益比は)1.1で、何とか採算が取れることになっているが、実は甘すぎる見積もりだという。というのも金沢から敦賀までの延伸工事では、工事費が何度も膨れ上がっていて、1Kmあたりの単価が148億円になっている。それに対し京都縦断コースでは、トンネルが80%を占めるのに、150億円というのはあまりにも非現実的だ。現在の建設予定額が2.1兆円だが、工期の遅れやこの間の資材・物資・燃料費の高騰などで4兆円は軽く超えるどころか、さらに数倍になるという予想もある。
一方、交流人口が増えて経済波及効果が拡大すると言っているが、人口は2004年をピークに今後は減少する一方で、近い将来1億人を割り、さらに30年後には9千万人を割るという統計がある中で、どうしてそんな楽観的というか現実見ない予想を立てられるか理解に苦しむ。費用対効果が0.5を割り込むことも十分あり得る話で、その尻ぬぐいは国民の税金で賄われることになり、到底受け入れられることはできないない話だ。
この間の正当な論議や住民運動の成果で、23年度春の着工が不可能になり工事開始を断念せざるを得なくなり、追い詰められたプロジェクトチームは、「美山に駅を新設する」とか、「京都駅を梅小路にする」とか訳の分からないこと(懐柔策・目くらまし)を言っている。
京都市は地下鉄・市バスが赤字だと言って運賃の値上げを宣言しているが、国も京都府も京都市もこんなバカげた事業を容認するつもりなのだろうか。
京都府の西脇知事は『【南海大地震】などの大災害に備えて、「リニア新幹線」や「東海道新幹線」の代替機能を考えると「北陸新幹線の延伸」は必要』みたいなことを言っているが、そちらより先に北陸新幹線の縦貫トンネル部分が先に被災すると思われるのだが、どうだろうか。
役人の無責任で根拠のないな議論や断定が多い中、今回の講演会の発言の中で、美山の田歌からはせ参じた住民代表が『今日は、美山では雪が積もって人影もまばらでしたが、そんな所に駅を作ってどうするつもりでしょう』とおもむろに語り始めた言葉が強烈だった。
『簡単に1兆円というけど、1人の人が毎日百万円を使い続けても、それを使い切るのに3000年近くかかるんです。』
官僚の発する言葉の軽さと、実際のお金の重さをリアルに表現した一言が強く響いて、えらく印象に残った。
そのお金を住民への福祉サービスに使ったらどれだけのことができるか、と。
『京都の真下の長大なトンエルを掘って北陸新幹線(小浜・京都ルート)を通すって、本気!』-のマイブログへジャンプ
2月4日に1年ぶりに開催された同会の年次総会に出席してきた。
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前回、総会が開催されたのが2021年の12月19日だったから1年以上たっているが、やはりこの1年もコロナに振り回されて(それとウクライナ戦争の問題もあって)大勢が集まる集会やデモンストレーションはしにくい状況だったが、他団体もふくめ勉強会は何回か開かれた。
そのうちの1つで、昨年の11月26日に京都弁護士化主催で開かれた「北陸新幹線延伸計画」の問題点を探るシンポジウムに、今回の総会に先立ち参加してきたが、その時の講演内容は以下の様なものであった。今回の内容と合わせれば、「北陸新幹線の京都を縦断する延伸計画」というものがいかにデタラメでいい加減なものかがよくわかる。
それぞれの講師が上の内容で報告をしたが、当初有力だった【米原ルート】を止めて、【小浜-京都ルート】を採用するとして、問題点別に整理すると以下のようになる。
何処をとっても、悪害だらけで良いことなど1つもないとんでもない計画である。こんなバカみたいな企画がどうして出てくるのかが不思議でたまらないのだが、言い出しっぺの《プロジェクトチーム》やらのメンバーや取り巻きをみるとその構図が分かる。不利益と自然破壊、住民に害悪を垂れ流す中で、利益を受け取る集団が1つだけある。工事を受注する建設大手の大企業とそれにすり寄る一団だ。
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こうした残土処理や地下水の枯渇問題、災害の発生などの公害問題等、周辺住民に及ぶ不利益や害悪の一方、それを利用しようとする人にどんな便益が得られるのだろうか。小浜から京都を通り大阪まで、140kmの区間の8割がトンネルだという新幹線に乗ってみて、どのような《楽しい旅》が期待できるというのだろうか。トンネルの多い区間は車窓の景色が楽しめないばかりか、逆にイライラする。
皆さんも経験があるかもしてないが、高速道路を運転していても、長いトンネルに入ると圧迫感と緊張感で、早く抜けられないかと神経を使い疲れる。それに、トンネル内で火災や地震が起きたらどういうことになるのか考えただけでも恐ろしい。
地震大国の日本で、地震が起きてトンネルが途中で断裂するこだって十分考えられる。
だいたい、今の湖西線経由の特急「サンダーバード」と比べて20分しか短縮されないのに、そのような危険を冒してまでして得られる利便性や効用があるのだろう?
それと、仮に北陸新幹線が京都・大阪まで延伸されれば、今ある湖西線の電車はどうなるのか? 湖西線の電車は減便され、「サンダーバード」も敦賀止まりになるのか、あるいは廃止になるかもしれない。(実際、北陸新幹線が富山から金沢まで延長されたとき、富山行きの「サンダーバード」は金沢駅止まりになって、北陸新幹線の乗り換えざるを得なくなり、不便になったと聞く。)
最後に経済負担と経済効果の問題がある。
結論から言えば、赤字路線となり、経済効果は全くないから、多大な税金の無駄遣いになる事だけが明らかになっている。
【 2023年2月14日 追記 】
実際、今度の延伸計画でどの程度の工事費用が見込まれているのだろうか。2016年当時、敦賀と京都を結ぶ延伸ルートは、①敦賀ー米原ー京都ルート【米原ルート】、②敦賀-小浜ー京都【小浜・京都縦断ルート】、③敦賀-舞鶴ー京都【舞鶴ルート】の3つのルートがあったが、走行距離も長く、費用対効果*註の値も0.6程度の【舞鶴ルート】は早々と消えて、費用対効果*註が2.2近くの【米原ルート】が最も有力だった。それが与党プロジェクトチームで根拠も示さず【京都縦断ルート】が急遽決められたのだ。
*註:費用対効果(事業効率・費用便益比)・・・大雑把にいえば、《事業にかかる費用》に対する《経済効用の値》で表され、
1.0を超えれば黒字と見なされ、逆に1.0より小さければ赤字となり、それ以下なら国交書はその事業を認可しないことになっているという。
一応、下の式で表される。
費用便益比(B/C)= 総便益(B)/総費用(C)
総便益(B)= 利用者便益 + 供給者便益 + 環境等改善便益 + 残存価値
総費用(C)= 建設費投資額 + 車両費 + 維持改良費
という事らしい。
【京都縦断ルート】の今の時点での費用対効果(費用便益比は)1.1で、何とか採算が取れることになっているが、実は甘すぎる見積もりだという。というのも金沢から敦賀までの延伸工事では、工事費が何度も膨れ上がっていて、1Kmあたりの単価が148億円になっている。それに対し京都縦断コースでは、トンネルが80%を占めるのに、150億円というのはあまりにも非現実的だ。現在の建設予定額が2.1兆円だが、工期の遅れやこの間の資材・物資・燃料費の高騰などで4兆円は軽く超えるどころか、さらに数倍になるという予想もある。
一方、交流人口が増えて経済波及効果が拡大すると言っているが、人口は2004年をピークに今後は減少する一方で、近い将来1億人を割り、さらに30年後には9千万人を割るという統計がある中で、どうしてそんな楽観的というか現実見ない予想を立てられるか理解に苦しむ。費用対効果が0.5を割り込むことも十分あり得る話で、その尻ぬぐいは国民の税金で賄われることになり、到底受け入れられることはできないない話だ。
この間の正当な論議や住民運動の成果で、23年度春の着工が不可能になり工事開始を断念せざるを得なくなり、追い詰められたプロジェクトチームは、「美山に駅を新設する」とか、「京都駅を梅小路にする」とか訳の分からないこと(懐柔策・目くらまし)を言っている。
京都市は地下鉄・市バスが赤字だと言って運賃の値上げを宣言しているが、国も京都府も京都市もこんなバカげた事業を容認するつもりなのだろうか。
京都府の西脇知事は『【南海大地震】などの大災害に備えて、「リニア新幹線」や「東海道新幹線」の代替機能を考えると「北陸新幹線の延伸」は必要』みたいなことを言っているが、そちらより先に北陸新幹線の縦貫トンネル部分が先に被災すると思われるのだが、どうだろうか。
役人の無責任で根拠のないな議論や断定が多い中、今回の講演会の発言の中で、美山の田歌からはせ参じた住民代表が『今日は、美山では雪が積もって人影もまばらでしたが、そんな所に駅を作ってどうするつもりでしょう』とおもむろに語り始めた言葉が強烈だった。
『簡単に1兆円というけど、1人の人が毎日百万円を使い続けても、それを使い切るのに3000年近くかかるんです。』
官僚の発する言葉の軽さと、実際のお金の重さをリアルに表現した一言が強く響いて、えらく印象に残った。
そのお金を住民への福祉サービスに使ったらどれだけのことができるか、と。
『京都の真下の長大なトンエルを掘って北陸新幹線(小浜・京都ルート)を通すって、本気!』-のマイブログへジャンプ