【 2024年10月26日 】
今年の12月2日以降、新たな《健康保険証の交付が廃止される》という事態が迫り、待った無しの状況のもと、総選挙投票日の前日のあわただしい日に京都弁護士会館で開催された講演会。
これだけ反対を押し切って、《どうして今の健康保険証を廃止するのか?》、そして《マイナ保険証の何が問題点なのか!》を明らかにする。
最初に、経済ジャーナリスト(アナリスト)の荻原博子さんが、ユーモアを交えて概括的な講演をした後、4人のパネリストが、それぞれの立場から発言を行った。
総合して整理すると、『マイナ保険証』について、次のような点に注意や問題点があることが示された。
1.「マイナ保険証」に対応していない(対応できない)医療機関も一部ある
・医療機関の負担も大変:カードリーダー等の読み取り機やその他の機材を準備・設置しなければいけない
・これには多大な費用が掛かる
・エラーに対応するための職員も配置が必要
・診療データのコンピュータへの入力にも時間がかかるし、不慣れな医師には大きな負担となる(これは「マイナ保険証」にかかわらず《デジタル化》一般にも言えるが、マイナ保険証には必須の内容)
・これを機会に、【診療所・医院の廃業】を考え、実際にそうしたところも増えている → 医療の荒廃
2.マイナンバーカードや電子証明書[=マイナ保険証]の有効期限が切れると、利用ができない
・マイナンバーの有効期限は5年で、その都度【更新の手続き】が必要
また、紛失の際の発行にも時間がかかり直ぐに利用できない事がある(若年層で、めったに利用しない人が、怪我などで急に受診が必要な時、【有効期限が過ぎていて】間に合あわない場合がある)
従来の保険証なら、1年ごとに申請無しに自動的に送られてくるのでこの心配は何もない
3.システムの不具合が発生した場合、利用できないことがある
・この間、実際に様々なトラブルが発生している
カード情報が読み取れない、手間取り、時間がかかる
顔認証が誤ってされる(他人の顔でも認証されたり、自分の顔が認証されない、ということも起ている)
暗唱番号が認識されない(つまりマイナ保険証が使えず、10割負担が強いられる)
これらのトラブルで診療が受けられず、実際に診療が受けられず亡くなったケースもある
他人のデータと紐づけられ、誤ったデータが示される → 適正な診療が受けられなかったり、個人データが漏れる
4.「マイナ保険証」を利用に当たり、包括的なデータの利用(個別に選べない全てのデータの開示)について同意する必要がある
・3項目の同意画面で《ハイ》を押さないと先にすすめない(つまりマイナ保険証を利用できず、《10割負担》になる)
これは大事な個人情報を《関係ない他人》や《商業利用》に無制限に開示・提供することを意味し、重大なプライバシーの侵害になる
思いついて整理しただけでも、これだけのマイナス面があるが、これに対しデジタル庁や厚労省は聴く耳を持たず、12月2日の《廃止》に向け突っ走っている。
それに対し、現行の「健康保険証」は
・請求することなしに、1年ごとに新しい保険証が自動的に送られてくるし
・窓口に出せば、それだけで誰でも受け付けてくれるし
・日頃、通院している所ならば保険証忘れても見てもらえる!
と、何も問題ないのに、どうして廃止しなければならないのか疑問だけが残る
どうしてかと考えると、企業団体の私利私欲がみえてくると、荻原さんは言う。
この問題に限らず、国の事業には常に【この問題】が付きまとう。
【省庁間の対立】と【企業の儲け】の問題だ。
今回の《保険証の廃止》の決定は【デジタル庁の浦島太郎さんの一声】で決定され「厚労省」には何の了解も取られず、【大臣の鶴の一声】で進められたと、講師はいう。
《面白い報告》もされた。
東京のある行政区では、保険証は廃止されるが、それとそっくりの(見た目の形式も、内容も現行の保険証と全く同じで、タイトルだけが違う)『資格確認証』を全員に(マイナ保険証を持っている人もいない人にも)、更新の時期が来たら自動的に発送することで内部で了解を取って準備を進めているという。川崎市や京都の南部の町村でも同じような取り組みを進めているので、京都市や近畿でもそうすればいい、との提案があった。そういう手があったか!と拍手!
最後に1つ。
2万円キャンペーンに乗って、『マイナカード』を期せずして作り、ついでに「マイナ保険証」登録してしまった人へ。
こんな危険な《マイナ保険証》ならやめた方がいいと思う人は
・マイナ保険証登録済みの場合:10月28日から登録解除の申請受付が開始されます
開始時期は各々の自治体(保険者)に確認の事ということ(下図を参照)
・・・ほかの発言者からも貴重な意見や提案があったが、とりあえず講演会の概要の報告ということで、この辺で終わりにしておきます。