この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「母べえ]-戦争を知らない世代が是非、見て欲しい

2008-01-27 22:40:04 | 最近見た映画
【2008年1月27日】 MOVIX京都

 原作は、黒澤組のスクリプターを長らく勤めていた野上照代である。この原作は読んでいないが『天気待ち』は読んだことがある。その野上さんが、そんな家庭に育ちそのような経験を持っているとは知らなかった。その本には、黒澤監督やスタッフのこと、伊丹万作のことは書いてあっても自分自身の過去のことなどは何も書いていないのだ。

 時代は昭和15年、満州事変の泥沼から足を抜けず、太平洋戦争に引き込まれていく暗雲の立ちこめる世の中である。

                         


 そんなある日突然、独文学者である野上滋が「治安維持法」違反で検挙される。
はじめはすぐに帰ってくることを期待していた「母べえ」こと野上佳代(吉永小百合)も容易ならざることを悟る。



                     

 そんななか、かつての大学時代の教え子である「山ちゃん」こと山崎徹(浅野忠信)が検挙のことを友人らから聞きつけ訪ねてくる。拘束中の{先生}との面会の手続きやら教示する中、それ以来、女だけの野上の家には欠かせぬ存在となる。

 広島から出てきて東京の美術学校に通う義理の妹の野上久子(壇れい)も家にでいりして何かと世話をする。

 奈良からはワケのわからぬ「おじさん」藤岡仙吉(笑福亭鶴瓶)も見舞いに来たついでに居候する。



                   


 街では、「贅沢は敵だ」と女性が化粧をすることさえも非難の対象になる。人のいいおじさんも「隣組」に組み込まれると考え方も変わってくる。食料品を始め物資も不足してくる。・・しかしあるところにはある。



 映画で山田洋次は、肩肘張ることなく声高々に戦争反対を叫ぶという方法でなく、こういった当時の状況を丹念に描くことにより、静かに問いかける。


 原爆が広島と長崎に落とされ、敗戦を迎えたときには、野上家に集まった人々は皆、帰らぬ人になっていた。山ちゃんは東シナ海で魚雷に沈められ、義妹は原爆症で、叔父は奈良の山で、そして「父べえ」はとっく獄死していた。




  公式サイト



 余談ですが、この「母べえ」のカタログ(映画解説パンフ)、今までに例がないくらいボリュームがあって充実しています。7~800円も出して買う割には、薄っぺらで内容のないモノが多かっただけに、これなら買ってもよいと思いました。
                       


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