【2009年10月26日】 TOHOシネマズ二条
小説は全5巻に及ぶ長大なものだが、読み始めたら内容に引き込まれ、食事をする時間も惜しいほど集中して一気に読んだのがついこの間のような気がする。
その後も小説が好きそうな親しい友人数人に勧めたものだが、読んだ人はいずれも感動したと語っていた。
そんな本が映画化され公開されると知ったとき、実はあまり期待していなかった。というのも、原作があまりにもすばらしく感動的だったから、ダイジェスト版みたいにストーリだけが詰め込まれた映画をみてがっかりするのではと思っていた。だいたい20年にもわたる人々の歴史と激動が、5巻ものボリュームで記述されたものを、高々2時間程度の1本の映画に落とし込むとしたら、浅薄なものになってしまうのではという危惧が頭にあった。
しかし、観てみてそれが大きな誤解であることが分かった。上映時間も3時間半近いものであったが、ずっと緊張が途切れなかった。
逆に、映像表現ならではのすばらしい光景に出会えて別の感動があった。
この小説、映画の題材となった事件は、520名もの犠牲者を出した1985年の『日航機墜落事故』である。
4人の生存者がいたことや、坂本九さんやそのほかの有名人が乗り合わせていたことでも話題になっていた。
事故の経緯、詳細は以下のページにまとめられているが、それを読み返すと当時の記憶がまざまざと思い出される。
『日航機墜落事故』の解説記事のページ
墜落までの時間が30分以上あったことで、その間想像もつかない恐怖や絶望をに晒されたと思うのだが、遺書を書きつづった人もいたというから驚きである。
次のサイトには、映画にも出てくる『家族あてにつづったメモ』が読める。
「日航機事故-20年間の記録」のサイト
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もうひとつ、この映画のインパクトは主人公の生き方にある。モデルといわれた小倉貫太郎さんはすでに故人となってしまったが、どの程度真実に近いのか知らないが、映画の中の恩地元(渡辺謙)は良かった。役にはまりきっていた。
『魂が、震える』-そんな表現がぴったりで感動した。
今の世の中、『長いものには巻かれろ』式の生き方の多い中、魂が震え、励まされる。
映画を観た感想は、公式サイトの「掲示板」で代弁してくれているからここでは敢えて書かない。
良い映画だった。
「沈まぬ太陽」-公式サイト