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【2009年10月17日】 京都シネマ
「スタンドアップ」は、ドメスティック・バイオレンス(DM)でシングルマザーになった主人公がセク・ハラ(そんな言葉だけで済まされるような生易しいものではない)が横行する男社会の過酷な労働環境で、生き抜く女性を描いた映画だが、その映画のシャーリーズ・セロンとはまたひと味違う。
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キム・ベイシンガーはちょっと自分の好みと違う女優だが、「L.A.コンフィデンシャル」は強烈に印象に残っている映画だ。ロス警察内部の腐敗・不正を暴いたものだが、家庭でこれまたDMの体験を持つ刑事が、男の暴力を見ると許せず、過激なまでの反応を示すのだが、最後にその刑事が愛し結ばれた高級娼婦役をキム・ベイシンガーが演じていた。あの役は、ぴったりはまって良かった。
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原題は”The Burning Plain”、直訳すると「燃える平原」である。ニューメキシコ州あたりの荒涼とした大地でトレーラーらしき物が燃え上がっているところから映画は始まる。
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何があったか、どうして燃えているのか、この時点では何も分からない。
農薬散布の軽飛行機が墜落して父親が亡くなる。娘は行き場が無くなる。
情事のあと、全裸のままうつろな表情で窓から外を眺める女。外を通りかかる親子連れがあらわな姿から目をそらす。
バラバラな話が進んでいく。
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その海辺のレストランの女性マネージャ・シルヴィアに正体不明のメキシコ人がつきまとう。
はじめは、何が何だか分からなかったが、最後の方になって3つの話が結びつき謎が解かれる。
○ ○ ○
シビアーな作品を選んで出ているように感じるシャーリーズ・セロンは不思議な魅力を持った人だ。「スタンドアップ」のジョージーと今回のシルヴィアを結ぶ物は何か。そういえば「告発のとき」の女刑事・ジョナサンもすごかった。
今回カタログの、実際にあった彼女の過去に関する記事(自己の南アでの戦争体験と実の両親を巡る事件)を読んで、納得できたような気がする。
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映画の中の話でも、シルビアがどうして自傷的な行為を繰り返すのかひもとかれていたが、それに対してこの映画に少し不満なのは、ベイシンガー演じるジーナが、良き夫や子供に囲まれた家庭にいながら、どうして不倫に走るのかが描かれていないと云うことである。
「ヴィヨンの妻」を観て、なるほどいいなと納得したのは、「あんなしょうも無い男とどうして結婚したのか」という疑問に対して、「万引きの現場」から救ったというエピソードのシーンを用意してあると云うことである。
それがないとただ辛いだけの映画になってしまうし、そもそも現実味が無くなってしまう。
不倫であれ純愛であれ、物事には成り行きなり事情というものがあるものである、それが正しいか誤っているかは、別として。
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「あの日、欲望の大地で」-公式サイト
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「スタンドアップ」-公式サイト