ルクノス ~ともし火~

日本聖公会 北関東教区 宇都宮聖ヨハネ教会のブログです。

顕現日

2008年02月20日 | ショートメッセージ
イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。
そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。
「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。
わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。
エルサレムの人々も皆、同様であった。
王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、
メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。
彼らは言った。
「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。
『ユダの地、ベツレヘムよ、/お前はユダの指導者たちの中で/
決していちばん小さいものではない。
お前から指導者が現れ、/わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」
そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、
星の現れた時期を確かめた。
そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。
わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。
彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、
ついに幼子のいる場所の上に止まった。
学者たちはその星を見て喜びにあふれた。
家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。
彼らはひれ伏して幼子を拝み、
宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、
別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。
<マタイによる福音書2章1-12>

+

本日は教会の暦では、「顕現日」となります。
顕現日を英語では Epiphany と言いますが、
エピファニーとは本来はギリシャ語で「輝き渡る」という意味です。
すなわち、今日はキリストの栄光が顕現した日だということです。
そしてこれはイザヤ書に預言されていたことの成就でもあります。

さて、本日の福音書は、「東方の3人の博士」として有名な個所です。
東方から来た「占星術の博士」たちがイエス様のご誕生を祝って、
『黄金・乳香・没薬(モツヤク)』を贈り物としてささげた」と記されています。

『三人の博士たち』と言われていますが、
本当は聖書に『三人の博士たち』とは記されていません。
ちなみに愛隣幼稚園の今年の聖劇では人手不足もあって、
たった一人の博士が奮闘してくれました。
しかし、「『黄金・乳香・没薬(モツヤク)』を贈り物としてささげた」ありますので、
おそらく三人だったのだと思います。
伝承ではカスパル、メルキオル、バルサザルという名前まで与えられております。
また、フォン・ダイクの「もうひとりの博士」という物語では、
アルタバンという博士も、聖書に登場する博士と一緒に、
イエス様の誕生をお祝に行くこととなっていました。
しかし、彼は待ち合わせの場所へ行く途中で、人助けをしていたため、
待ち合わせの時間に遅れてしまい、アルタバン一人で行くこととなります。
彼は、イエス様の為に『サファイア・ルビー・真珠』を贈り物として用意していましたが、
『サファイア』は、らくだを買ってしまい、
『ルビー』は、旅の途中で赤ちゃんを殺そうとするヘロデの兵隊に渡したため、
イエス様へのプレゼントは『真珠』だけとなってしまいます。
そして、その真珠をイエス様にささげるために大切にして
エルサレムへ向かって行きました。
そして、故郷を旅立ってから、33年後、
年老いたアルタバンはゴルゴタの丘で十字架に架かられる方こそ
救い主のイエス様と知り、
その真珠と引き換えに命を救えるのではないかという希望を持って
必死にゴルゴダに向かって急ぎました。
すると、一人の少女が奴隷に売られていく所に遭遇したため、
アルタバンは、イエス様にささげるために大切に持っていた
最後の『真珠』までも奴隷商人に渡して、
少女を自由にして救いました。
やがて、アルタバンは息が絶える時、
「わたしの兄弟であるこの最も小さな者の一人にしたのは、
わたしにしてくれたことなのです。」というイエス様の声を耳にした
というお話です。

この物語を読んで思うことは、私たちの思いを超えて、
あるいは理解できないようなことを超えて
神様のみ心に敵わせてくださるという事がきっとあるのだということです。
そして、それはきっと私たちの最後の時に、
天のお父様の御許でやっと納得のいくこと、
腑に落ちることなのではないでしょうか?

司祭 マタイ金山昭夫