僕と猫のブルーズ

好きな音楽、猫話(笑)、他日々感じた徒然を綴ってます。
コメント欄はモラルを守った上で御自由に書込みどうぞ。

壁がないウタ~寺尾紗穂&冬にわかれてWリリース記念ライブ@座・高円寺2

2018年04月14日 | 寺尾紗穂
寺尾紗穂の昨年出たアルバム「たよりないもののために」は愛聴盤。
その前に出た「青い夜のさよなら」「楕円の夢」が社会的テーマ(貧困、原発、障碍)を
扱ってるのに対し今作はラブソングが中心の内容。
ただ、歌われているのはあくまで「壊れた世界の中でのラブソング」。
直接的な言及は無いが311、不安な世界情勢を背景にしたラブソング集の様な気がする。
度々「夢」が歌われるが、此処で語られる夢は明るく煌めいてない。
儚く小さく・・だからこそ、美しい。

寺尾さんのライブは過去りんりんふぇすやイベントは行ってるがソロフルライブは未見。
金曜日は高円寺でソロライブがあったので行ってきた。
定時で会社を退けてライブ開始まで高円寺を散策。
アートな佇まいの本屋があったりオープンなムードのお店。
エスニックな装いの人々。ボクが住む荒川とは違う独特の濃い匂いがある。

会場は座・高円寺。300人程度収容のこじんまりとしたホール。上手の席に落着く。


予定よりかなり遅れて(笑)開演。先ずは寺尾さんのピアノ弾き語り。
「孤独な惑星」「新秋名果」。声は通っており、ピアノの音が素晴らしい。
近所で見た鳥の番いをモチーフにした「一羽は二羽に」。
石牟礼道子さんの詩に曲をつけたりと新曲も演奏。
その後はエマーソン北村さんとの共演。
「富士山」「九年」「たよりないもののために」とボクが好きな曲を立続けに歌う。
どの曲も声、ピアノが美しい。圧倒的な美しさ。聴いてて背筋が寒くなる。
形が整然とした「キレイ」では無く色んな物を呑み込み放たれる「美しさ」。
それにしても・・あの声は何だ?あの音は何だ?
あまりの美しさに喉が渇き、ワケも無く涙が出てくる。感動とは違う感情。


4月なので「富士山」は演ってくれるかな~と思ってたので嬉しかった。
「こんな残酷な4月は知らない。人さらいの四月が連れて行く」の歌詞がズンと響く。
そして「九年」。
寺尾さんは瀬戸内海のとある島の想い出を綴ったらしいが・・
ボクはこの歌に東北で見た光景を重ねてる。この歌を聴くと荒浜の海岸を想い出す。
「僕は何に怒ればいい?」「ああ私たちはこの間に どれだけ人を愛せたただろう」
この2つの言葉が響いた。
タイトルの「九年」は何を意味してるんだろう?九年前、何があった?九年後、何がある?
311が起きたのは、2011年・・その九年後、2020年。東京オリンピックがある年。
その時ボクは何を想うんだろう?それ迄にボクはどれだけの事ができるんだろう?

此処からは「冬にわかれて」のコーナー。ベース伊賀さん、ドラムあだちさんが参加。
因みに「冬にわかれて」のバンド名は、とある詩から取ったそうで
「冬に人と別れる」の意味では無くて「冬に別れを告げる」の意味だそう(^_^:

先ずは「幼い二人」「雲は夏」のアルバム曲を。
伊賀さんのベースがうねり、あだちさんのドラムが響く。ドラムの音が・・デカい!(T▽T)
曲のテンポもアルバムよりも速い。
ボクはアルバムのゆったりしたテンポが好きだったので、
最初は・・・大きい音・速いテンポに最初違和感を持った。
アルバムの世界観が壊れるんじゃないかって。でも聴いてるうちに気にならなくなった。
ライブとCDは違って当然。自分の中のイメージに固執するより目の前にある音を楽しもう。

その後は、バンドオリジナル未録音曲を演奏。しかも伊賀さんやあだちさんの曲まで。
寺尾さんの曲もソロとは異なりロック・ブルージー・ジャジー。
最初はぶつかり合ったバンドの音も次第に融合し、最後の方は音同志がじゃれ合う感じに。
知らない曲ばかりだけど楽しい。特に「何にもいらない」が印象に残った。
客席は手拍子もスタンディングも無かったが、曲が終わるたびに満場の拍手。
本編は「耳をすませて」で終了。
延々と続く寺尾さんのピアノとあだちさんのドラムが心地いい。

アンコールは全員で「楕円の夢」。
「明るい道と暗い道の間の小道を行く」「そんなあいまいがすべて」。
クルクル回る照明塔の光に包まれながら聴くこの歌・・・素晴らしく心地よかった。
寺尾さんの歌、ピアノ、バンドのオトに包まれていると、自分のココロが翔ぶ。
頭上にスコンと抜けた青い空がひたすら拡がっている様な・・・そんな景色(ゆめ)が見えた。
演奏が全て終わったとき、笑顔になってる自分に気づいた。
今日、この場に居ること、この空間がひたすら心地よかった。


終演後、寺尾さんは物販に立つ。
何か買ってサインでも貰おうかとも思ったがアーティストを前にすると、
緊張してシっちゃかメッチャかになるワシ。止めておいた(^_^:


帰りの電車の中で今日のライブを反芻。良かったな。
そして・・寺尾紗穂という人は、つくづく「壁を作らない人」だな、と思った。
イヤ、ソロライブ初めての初心者ファンが偉そうに分析なんて出来ないが(笑)。
過去の、りんりんふぇす、ソケリッサ、リクオ・早川義夫との共演。
子供やおっさんダンサー(好き♪)をステージに挙げて踊らせる。
「異なる者」を笑顔で受け入れる・・いや受け入れるとか適応するじゃないな。
そんな堅苦しい感じじゃない。ふわふわ笑って一緒に楽しむ。
他人とそこに居て起こる想定外の事もハプニングも面白がる。
共生?共存?それが自然に出来てる感じがする。だから見てて唯心地いい。
小難しいメッセージよりも笑顔・柔らかいオト・・そっちの方が豊かに伝えてくれる。
今日のライブにそんな事を・・・感じた。

それにしても・・・「冬にわかれて」のリズム隊2人は強烈だった。
またこの3人でのライブを見たい。そして寺尾さんのソロライブも見たい。
今回聴けなかった「私の怪物」「紅い海」「さよならの歌」聴きたい歌がイッパイある。
今年のりんりんふぇすも当然行きます♪

日曜日は東急Bunkamuraギャラリーで猪熊弦一郎「猫たち」展を見る。

描かれた猫さん達が何とも愛らしい。
荒々しい線、省略した線で描かれた猫さんたちは最早原形を留めていない。
でも、このコたちも美しい。キレイでは無くて「美しい」。
ボクと嫁@パンダは幾つかの絵を見て「これヨモちゃんだよね!」と笑った(^_^;
特にこの絵のコはウチのコにそっくり。
音楽・アートに包まれて美しいモノに触れて・・愉しい週末でした。

(オレはこんなとぼけた猫じゃないニャ)←いや、かなり・・・(笑)
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りんりんふぇす2017

2017年10月16日 | 寺尾紗穂
シンガ―寺尾紗穂と雑誌ビッグイシューが路上生活者支援のために行なっている「りんりんふぇす」。
今年も行ってきました。3回目の参加。場所はお馴染南青山梅窓院。天気は生憎の雨。

チケット代金に雑誌ビッグイシューの購入代金が含まれており、
その分が販売員さんの収入となる仕組み。素晴らしいV(^^)
折角なので他にもグッズを買う。猫さんの手拭いが可愛いので購入♪


ライブ前に配布された冊子に記載の寺尾さんのエッセイを読む。
今回の座談会のテーマ「ひとりの老いを、みんなで生きる」に添った内容。
とある老人との交流、そこで寺尾さんが感じた事が優しく率直に語られる。
少し外れた人、扱いづらい人を遮断する社会への抗議・・・胸に刺さる。

いよいよライブ開始。ライブはこれまで同様、祭壇?で行われる。
先ずは寺尾さんとエマーソン北村さんのセッション。
ニューアルバム「たよりないもののために」からの曲が無かったのは残念だったが
「私の好きな人」、何より「はねたハネタ」が聴けたのは収穫だった!
まさか、御寺で開かれたライブで「交通事故」がテーマの曲が聴けるとは!(T▽T)
ラストは「楕円の夢」。寺尾さんのピアノ、そして声の透明感がとてつもない。
美しさもここまで突き詰めると暴力だ。
対して星できらめくような明るい音色を散りばめるエマーソンさんのKey。
歌、オト、空間・・ただソレダケ。それがあるだけ。でもトンデモなくハッピーだった。


他のアーティストはソケリッサ以外は初めて見る。
折坂悠太の民謡の様なボーカルは強烈だったし、
加納真実の能面を使った(笑)「仮面舞踏会」のパフォーマンスには大爆笑した(T▽T)


ここで座談会。今回のテーマは「ひとりの老いを、みんなで生きる」。
先ずは、司会の吉水岳彦さんが過去参加してくれたアーティストで
亡くなった加川良さんやムッシュかまやつに黙祷を捧げた。

人類学者福井栄二郎さんが紹介したヴァヌアツでの老いの迎え方の話は興味深く聞いた。
彼の島では「老いに否定的な見方は無く老人は尊敬され血縁関係なく大切にされている」
病気になった老人は知人と離れるのがイヤで入院したがらない等々。
稲葉剛さんやカフェ「潮の路」の活動、ビッグイシューのホームレス老人へのケア。
福祉は一定の基準でサポートを提供するが基準から零れた、はみ出た人達をどうケアするか。
そういう人たちをサポートする制度は不足している。
親切は嬉しいがあまりに親しく入ってこられると引いてしまう。程よい距離感が大切。
皆さん真剣に考え話す。
寺尾さんが言った「おたんじょうびを祝ってくれる人が一人でも居るのが大切」の
コトバが印象に残った。また或ることで寺尾さんが流した涙。

現在(いま)、この国にある老人を尊敬せず寧ろ軽侮し邪魔者扱いする風潮。
イヤ、他人事(ひとごと)じゃない。オレ自身も一部の目上の人に対し敬意を持てない。
でも嘗てはお年寄りを敬い大切にする文化が確かにあった筈だ。
それが何処からこんな風に変わってしまったんだろうか。
お年寄りはオレ達が歩く道路を造り建物を建てたりしてきたのだ。
誉められない老人は確かに居るが、矢張り敬意を持って接するべきだろう。
今回の皆さんの話には色々考えさせられた。
老い、目上の人への向かい方・・・色々考えて見直さねば。

後半もセッションは続く。
道具を使ったソケリッサのダンス、子供がステージに上がって自由に踊った様が善い。
寺尾さんとのセッション。Newアルバムから「孤独な惑星」が聴けてよかった。
OKIはアイヌ伝統の楽器トンボロを奏で異世界へ誘う。
寺尾さんとの「北へ南へ」。2人の声の調和、混ざり具合が素晴らしい。
キセルは兄弟ユニット。フォークっぽいがテルミンを使ってアシッド風味もある。
柔らかくも何処か翳りがあるメロディ・歌詞が素晴らしかった。

オーラスは全員でムッシュかまやつ「どうにかなるさ」のセッション。毎年恒例の終わり方。
寺尾さんは「10回目の区切りにムッシュとこの曲をまた歌いたかった」としんみり語る。
最近この曲、ダウンロードして好きになったので嬉しかった。
寺尾さんのピアノに乗ってシンガーみんな歌う。
ソケリッサは踊り、お客さんも子供もステージに上がって踊る。ボクは上がらなかったが(^^:
みんな笑顔。ステージが光り輝き花が咲いたよう。
なんか・・陽だまりの中にいるような温かさを感じた。
此処には排除もヒエラルキーも競争も無い。ただただ自由で温かい。
一歩外に出れば消えてしまう儚さ、温かさ。でも、それでもイイ。
此処には確かにそれ、がある。それでいい。それがいい。


シアワセな気分で帰宅。
その夜はヨモちゃんと一緒に寝た。ヨモちゃん、いつもは嫁@パンダと一緒に寝るのに。
いや、元々ヨモちゃんがオレのベッドで寝てる脇にオレは入っただけなんだけど(゚゜)\バキ☆
ヨモちゃん、こんなに柔らかく温かいんだぁ。
そのうちヨモちゃんは遁走。残念。でも、また一緒に寝ような♪
りんりんふぇす、ヨモちゃんとの添い寝♪楽しい休日でした☆

(もう真っ平ゴメンだニャ)
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りんりんふぇす2016

2016年10月03日 | 寺尾紗穂
日曜日は南青山「梅窓院」に「りんりんふぇす2016」を観に行く。
シンガ―寺尾紗穂と雑誌ビッグイシュ―が路上生活者支援のために行なっている音楽フェス。
昨年初参加。でも夜に某ロケンローラー(笑)のライブがあったため途中ヌケ。
今年は全部、見たかった。
例年人気のこのイベント。今年はなんと売り切れ。多くの人が並び食事コーナーも盛況。
 

演奏は仏壇を背(!)に行われる。司会進行は同じ浄土真宗のお坊さん。

ライブ前、配られたプログラムの寺尾さんのエッセイを読む。表現することへの想い、
昨今の風潮への危機感、フツーに生きられないヒトへの温かい視点が綴られている。
これを読んだだけで、此処に来た甲斐があった、そう思えた。

○前半。寺尾紗穂、マヒトゥ・ザ・ピーポー、ソケリッサ
①寺尾紗穂
 最近出した民謡の子守唄のカバーアルバムから2曲。その後は新曲2曲。
 新曲も矢張り生きることへの優しい視点が込められている。音源化希望。
 最後は「楕円の夢」をソケリッサと。あ、もうやるんだ。オ―ラスにやると思ってた。
 この日、ソケリッサダンサーは5人来るはずが1人欠席だそう。その理由は○××(笑)
 それを笑い飛ばす寺尾さんも客席もサイコーにステキだと思った。
 寺尾さんの歌とピアノに乗ってソケリッサは踊る。決して美しくも無く上手くも無い。
 でも、その踊りが「青い空の下、曖昧な道をあえて進んで行く」この歌にピッタリだった。
 途中、何度もソケリッサの上に青い空が見えた。確かに見えた。

②マヒトゥ・ザ・ピーポー
 長髪のシンガ―。アコギを鳴らしながらフォークタッチの歌を歌う。
 柔らかい声とギターのオトが心地いい。あまりにキモチ良くて少しウトウト。
 最後は寺尾さんとのセッション。声の混じり具合が実にキモチいい。また眠くなった。
 (゚゜)\バキ☆(゚゜)\バキ☆

③ソケリッサ
 眠気覚ましに外で顔を洗っている間にソケリッサのパフォーマンスがスタート。
 そういえばソケリッサを単体で見るのは初めて。いつも寺尾さんとセットで見てたし。
 アンビエントな音楽をバックに3人のダンサーが創作ダンスを踊る。
 途中で寺尾さんがピアノとスキャットを付ける。
 深い海の底に閉じ込められていたが、1人1人羽ばたいていく感じ。
 シリアスなようでユーモラス。美しくないけど・・見惚れてしまう。
 バレエやヒップホップダンス、ジャズダンスとも違うオリジナルの踊り。
 ある意味、人間の根源的な体の動きを表現してるような気がした。
  
○中盤:座談会 テーマ:生きること、表現すること
 「生きることと表現」をテーマにトーク。寺尾さん、貧困問題に取組んでいる稲葉剛さん、
 作家の星野智幸さん、ソケリッサメンバー、そして司会は僧侶の吉永岳彦さん。
 色んな立場の色んな人の視点で多様な意見が出る。
  ・表現は自分を救け、癒す。全ての人に表現の楽しさを知って貰いたい。
  ・路上生活者に小説を書いて貰ったらトンでもなく自由でオモシロかった。
   ホームレスを止めて社会に戻り会社勤めをすることだけが良い事じゃない。
  ・人の目を気にすると表現が出来なくなる。その恐怖を乗り越えてこそ楽しめる。
  ・ホームレスに踊って貰いたかった。道でお尻を出して寝ている人を見て、こういう
   人に踊って貰ったらオモシロいモノが出来ると思った。
  ・ソケリッサのダンスは高度な技は使っていない。日常生活の延長にある動き。
   そのデフォルメした動きはやっていて楽しい。
  ・踊っていて反応があるのが嬉しい。路上でビッグイシュ―を販売していて
   人の目に曝されるのには慣れている。他人の目は怖くない。
   むしろ喜んでもらえると、こういう人たちを裏切れないな、と思う。
  ・理想の踊りなんか追求しない。これをやって先がどうなるとか考えない。
   現在(いま)を楽しむ、それだけ。
  ・表現は全ての人の物。上手いとか技術はどうでもイイ。でも他の人と同じでなければ
   ならないという風潮がある。フツーの人こそ「表現する怖さ」を乗り越えられていない。
   今日のライブの最後、皆で歌って踊るのでお客さんも是非参加してください!

 非常に有意義な時間だった。例えばホームレスの人がダンスする、その事に眉を顰めて
 非難する人が居るかも知れない。でもソケリッサのダンスにオレは感銘を受けた。
 お金を稼ぐとか製品を売るとかしてなくても、それって誰かの役に立ってる事じゃん。
 それって凄いことじゃないか? そして、若し「役に立たない」としてもそれが何だ?
 ニンゲンとかイキモノを「役に立つ・立たない」で判断するなよ。
 この座談会は今回このふぇすに参加して得た最大の収穫だった。
  

○後半。原田郁子、知久寿焼、二階堂和美、全員セッション
 ①原田郁子
  後半は郁子嬢からスタート。ピアノ弾き語り。フィッシュマンズや大友さんイベントで
  何度か見たけどソロを見るのは初めて。満面の笑顔。この場に居るのが凄く嬉しそう。
  「ピアノ」「青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている」を弾き語る。
  素晴らしく美しいピアノと声。最後は中島みゆき「時代」のカバー!意外、でも良かった。
 ②知久寿焼
  元たまのシンガ―。飄々とした立ち姿は数十年前TVで見た時と変わっていない。
  アコギやマンドリンを弾きながらサイケなフォークを繰り出す。
  「らんちぅ」が聴けたのが良かった。
 ③二階堂和美
  ラスト。この日一番注目してたシンガ―。大友良英さん周辺で名前はよく聴く人。
  歌はソウルフラワーのトリビュートアルバムで聴いたきり。
  郁子嬢同様、しっとりピアノ弾き語りするかな?と思ったらトンデも無かった。
  風船で創った飾り帽子を被って歌い踊る。歌うのは昭和歌謡曲の様なジャズの様な
  ブルースの様な・・なんかワケがワカラン世界だ。
  歌声はサッチモから美空ひばり、アイドル風と七色変化。喋ると瀬戸内寂聴(笑)
  そして珍妙な踊りをする。此処は昭和の歌謡酒場か?六本木の倶楽部か?
  自由すぎる。お客さんを巻き込んでカオス状態。その混沌が愉快痛快。
  途中から郁子嬢とのセッション。郁子嬢、楽しいのか、弾きながら爆笑してる(T▽T)
  二階堂さん、客席を煽りコ―ル&レスポンス。郁子嬢「楽しい~!」と絶叫。
  いや、ホント楽しいわ。凄いヒトがいるもんだ。また見たいぞ。
 ④ラストセッション
  ラストは全員でムッシューかまやつ「なんとかなるさ」のcover。
  このフェスのラストを締めくくるに相応しい歌。シンガ―、ソケリッサ全員登場。
  稲葉さんも星野さんも吉永さんもステージに上がってる。
  寺尾さんの呼びかけに答えてかなりの数のお客さんが登壇する。女性、親子連れが多い。
  歌開始、でも寺尾さん以外は・・・全員踊って、誰も歌ってない(T▽T)
  お客さんも恥かしがることなく笑顔で踊ってる。自由でカオスな空間。
  オレは・・あそこに立つことは出来ないな。そんな度胸は無い。
  でも、この場に居るだけで充分楽しい。このカオスに身を浸していれば自由になれる。
 


素晴らしい瞬間(とき)を過ごせた。翌日見たカネと同じ位、自由でカオスだった。
カネが地下室でのカオスなら、こっちは陽だまりのカオス。でもどっちもサイコーに愉しい。

オレ自身は好き勝手、自由に生きている。生きていて抑圧とか縛りはそんなに感じない。
ただ、社会全体を覆う不自由な空気を感じる。
例えばデモをする若者にイイ歳をした大人たちが罵詈雑言を浴びせる。
貧困者をバカにしたり、抵抗できない相手を追い詰めたり病人に酷い言葉を投げつけたり。
なんで、みんな優しくなれないんだろう?こんなにお互い責めあってばかりなんだろう?

この日「りんりんふぇす」で見た物、感じたこと。
それはお金を優先したり弱者を叩いたり、ニンゲンを役に立つ・立たないで簡単にぶった切る。
そんな世界とは、別(オルタナティブ)の道を指し示してくれたような気がする。
いや、このふぇす自体がヘイト的な社会への「アンチテーゼ、問題提起」と感じた。

一般の人ももっと表現するとイイか。オレが此処でやってるのも一種の表現かも。
いや、そんな大層なモンじゃないな。日常感じたことを唯吐き出してるだけ。それだけ。
でも、日々見たもの、感じたものを綴っていれば確実に自分の中に何かが残る。
その「何か」があれば暴走したり狂ったりしないような「歯止め」が出来る気がする。

ヨモちゃんは自由でイイね。でも、自由ってなんだ?
ワカンナイね。でも無くさないように・・しようね☆

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山谷ほしのいえイベント「遠い道を歩き続ける」寺尾紗穂ミニライブ

2015年12月03日 | 寺尾紗穂

10月の「りんりんフェス」で寺尾紗穂のライブを初めて見た。
ただ当日別のLIVEと重なり途中退出。もう1度見たいなと思ってたら今週地元のイベント
でミニライブがあると言うので勇んで参加。


○「ほしのいえ講演&ミニライブ 遠い道を歩き続ける」

前半は労働問題に取組む鴨桃代さんの講演。
鴨さんは全国ユニオンの委員長で全国各地の労働問題の解決に取り組んでいる。
過重労働、不当な契約切り、メンタル問題の様々な事例を紹介。
働き過ぎで鬱になり生まれた子供のことさえ認識できない父親の話には言葉が出ない。
某有名娯楽産業のダンサーやパフォーマーに対する不当な契約切りの話はショックだった。
美しい「夢の国」で働く人が「夢を持てない」現実。
他にもバイト学生の都合を考えずムリなシフトを入れる会社。
高速バスの運転手に正当な報酬を払わないバス会社。

遥か昔から続く搾取の構造。いつになったら変わるのか。
鴨さんは「今回のイベント名は『遠い道を歩き続ける』です。ホント遠いです。
まだ終わらない。そして良くならない。益々悪くなってる。でも、だからこそ続ける」
と力強く語って講演は終了。

労働問題は情報としては知っている。でも、直接取り組んでいる方の話を聞けたのは
有意義だった。自分自身がどう係るか、は何とも言えないが、こういう支援活動が
あるというのは認識しよう。

その後は寺尾さんのライブ。
(セットリスト)
1.時よ止まれ(弾語り)
2.死んだ男の残したものは(武満徹・谷川俊太郎COVER)
3.いくつもの(Wソケリッサ伊藤さん)「りんりんフェス バックレ」を詰問(笑)
4.思い出どおり(W ソケリッサ 横内さん)
5.私の好きな人(w ソケリッサ 小磯さん)
6.楕円の夢(W ソケリッサ全員)
7.アジアの汗(W ソケリッサ全員)

美しく優しいピアノの弾語り。でも歌われる世界は過酷。
今回は路上生活経験者のダンスチーム「ソケリッサ」も参加。
あるダンサーが語った「会社で上司に暴力を振られロンドンに逃げたら凄く自由に生きれた。
でも日本に戻ると同じ様に自由には生きれず苦労した」話が印象に残った。
自分が自分のまま、自由に生きれない、生きることを許さない風潮って何なんだろう?
昨今もそんな風潮が蔓延している。自分の気に入らないモノを「偏ってる」と叩く風潮。
それはとても偏狭で息苦しく見える。それで皆シアワセなんだろうか?楽しいんだろうか?

寺尾さんの歌に合わせてソケリッサのメンバーは踊る。
美しくもなく精巧でもないダンス。寺尾さんの前に平気で立ちふさがり、ドタドタ音を立てる。
でも、フツーのオッサンたちが楽しそうに踊るその様は素晴らしく自由で羨ましかった。
見ながらいつの間にか、涙が出てきた。オレ、こんなに自由に生きてるかな?

クライマックス「楕円の夢」が歌われる。歌う前に寺尾さんは語った。
円は1つの中心しかなく決まった形しかない。でも楕円は2つ中心があって
自由に形を変えられる。視点を変えれば自由になれる。
若者もいざとなれば「逃げる」のもいいんだ。寺尾さんはそう語って歌う。
「どちらもほんとのこと そんな曖昧を生きてきた」
「明るい道と暗い道 狭間の小道を進むんだ」
寺尾さんの歌にのって踊るソケリッサ。何かステージが明るい陽だまりの様に見えた。
最後は「アジアの汗」。寺尾さんが嘗て会った山谷のおじいさんの想い出話。
ソケリッサはお客さんも巻き込んで踊る。素晴らしい眺めだった。


講演会、ライブどちらも感銘を受けた。「遠い道を歩き続ける」か・・・。
オレがやってる東北支援もそうかも知れない。終わりは見えない。
でも・・・やめるわけにはいかない。やるしかない。

「楕円の夢」・・・よかったな。「あいまいに生きていく」「あいまいを受容れる」
それは右か左か決めるよりもステキに思える。
オレもそんな風に生きていきたい。ね、ヨモちゃん♪

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「りんりんふぇす」@南青山梅窓院

2015年10月05日 | 寺尾紗穂

土曜日は原宿に嫁と奈良美智の展覧会を観に行く。
ビルの一室をギャラリーとして利用。例の鋭い視線の少女の顔を描いた大きな絵皿を展示。
作品名も作品解説も素材の説明も一切なし。グッズ販売もなし。
何とも素っ気ない。でも、それは同時に「潔い」とも言える。
アートは理解するモンじゃない。感じるモンだ。爽快な気分で会場を後にした。
http://www.blumandpoe.com/exhibitions/yoshitomo-nara-6?lang=ja

昨日の午後、「りんりんふぇす」に行ってきた。
シンガ―寺尾紗穂とビッグイシュ―が路上生活者支援のために行なっているイベント。
このイベントのチケットを買う=雑誌ビッグイシュ―を買う=路上生活者の収入になるというシステム。
寺尾さんは「原発労働者」を読んで以来、ライブを見たかった人。
会場は南青山にあるお寺「梅窓院」。開場前だが中に入ると春巻やおにぎりが振る舞われる。
チケットのイラストがとてもカワイイ♪


ステージは普段法事に使っているホール。ステージ上に仏様を祭る祭壇がある。
お客さんも老若男女様々な層がいる。普段のロックライブとは明らかに違う客層。
先ずは寺尾さんが登場して挨拶とライブ。毎年お客さんが増えていることへの御礼。
想像通り「柔らかな語り口」をするヒトだ。ピアノに向かってライブ開始。

1曲目は「いくつもの」。最新アルバム「楕円の夢」に収録のバラード。
喪失、悲しみを短いけど丁寧に温かく描いた歌。大好きな曲がいきなり来た。ツンと来た。
その後は今年のツアーを通じて生まれた新曲を立て続けに演奏。
いずれも人のつながりを温かく捉えた歌ばかり。でも、グサリと刺さる様な歌詞もある。
ピアノの音、寺尾さんの透明な・・シルクの様な声。聴き入ってしまった。
再び「楕円の夢」から「愛よ届け」。これも好きな曲だ!
「愛よ届け」の「け~」からの声の伸びが素晴らしい。(^_^;
ここで、ソケリッサ(路上生活者のダンスチーム)との共演。
ただメンバー5人なのに2人が来ない!(T▽T)。寺尾さんも客席も笑う。

何かその笑いが心地よかった。本当ならライブをいきなり欠席なんてとんでもない話だろう。
でも、それを笑って済ませることが出来る寛容さ、風通しの良さが心地よかった。
曲は「アジアの汗」。寺尾さんが学生の頃逢った「土方のおじいさん」をモチーフにした歌。
ボクが初めて聴いた寺尾さんの歌。ユーモラスで温かくて、でもどっか切ない。
寺尾さんの歌とピアノに合わせてソケリッサが踊り出す。何とも珍妙なダンス。
おじさん3人がユーモラスに踊っている様は可笑しい・・・同時に優しい。

ソケリッサのダンス、寺尾さんの歌、ピアノ。なんだろう?この自由さは?温かさは?
普段、感じない感覚。騒々しく苛立っている都会の片隅にいきなり陽だまりが登場した様な感じ。
思いがけずも[そこ]はとても心地よかった。寺尾さんのライブはここで終了。

その後は「とんちピクルス」と「柴田聡子」のライブ。
ウクレレを使ったユーモア&エロいっぱいのとんちピクルスのライブには爆笑。
柴田さんと共演した「濡れマンボ」、あれお寺でやっちゃいかんでしょ?
ウクレレ教室に通う女子の心模様を描いた「ウクレレ教室」も爆笑した。
柴田さんは声が小さい。何ともイタイ女子を歌い綴る。これも笑った。
第1部はここで終了。ボクは吉祥寺で別LIVEに行くのでここで退出。

ネットを見ると、この後も素晴らしかったらしい。
寺尾さんとソリケッサが「楕円の夢」(名曲!)で共演したりテニスコ―ツとソリケッサの
共演も良かったらしい。うーん、見たかったなぁ。


路上生活者の支援イベントだけど、別に堅苦しいムードは無く、
そこにいる人がオンガクや踊りやお喋りをただただ楽しんでいた。
ライブという「特別の場」では無く「日常の延長にある歌」がそこに存在していた。
おそらく昔のオレなら、そういうのは興味が無かっただろう。
でも、昨日はそこが心地よかった。
そこには自由さと表現の豊かさがあった。小賢しい理屈や説明は無く、ただただ解放されてた。
「りんりんふぇす」次回も必ず見よう。今度は途中ヌケで無く全部見よう。
そして、寺尾さんのソロライブもそのうちチャンと見ようと思う。


ヨモちゃんは家の中でキモチよさそう。キミも自由でイイねぇ。

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寺尾紗穂「原発労働者」

2015年09月02日 | 寺尾紗穂
シンガー&エッセイスト寺尾紗穂が著した本「原発労働者」。
寺尾紗穂は七尾旅人のユリイカ特集で知り、幾つか作品を聴いた。
柔らかなラブソングが主流だが、社会的テーマを扱った曲が幾つかある。
原発について歌った「私は知らない」という曲もある。作品を集める中でこの本に出会った。

寺尾さんは学生時代から路上労働者の支援活動を行い支援音楽イベントも開催している。
2010年、樋口健二の「闇に消された原発被爆者」を読み、衝撃を受ける。
2011年3月福島原発事故が起き、原発に対して議論が起こる中、現場の労働者の話が出てこない。
労働者の視点ぬきで原発を語るのは片手落ちではないか。
そう考えた寺尾さんは樋口さんの仕事を引継ぐことを決心する。
様々な伝手を頼りに原発労働者に実際に会ってインタビューし、この本にまとめた。

労働者が語る原発の労働環境にはコトバがつまる。
以下、証言の内容で印象に残ったもの。(現在は「改善」されている物もあり)
※証言者の証言の真偽を論じる気は有りません。ボクは彼らの証言を信じます。

「環境について要望を出したり文句を言ったら仕事を干された」
「現場で怪我をしても電力会社に報告しない。無かったことにする」
「線量を浴びて体調が悪くなっても医者に知識が無いので原発の影響か明確に判断できない」
「会社を辞めた後、体調を崩して労災認定を求めたら嘘の証言がされて却下された」
「防御マスクは暑くて役に立たない。だから外す。現場では線量の事なんて気にしない」
「トイレに行きたいとき防御服を脱ぐのに時間が掛かり作業場で排泄することがあった」
「以前は技術者を育て安全管理もチャンとやっていた。でも効率化の名のもとに
 納期が短くなり十分な作業準備が出来なくなり時間を掛けて技術者育成が出来なくなった」
「保険料も危険手当も貰えない。ピンハネされている」
「危険な仕事をやる外人労働者が居る」

危険な環境で働いているのに十分なサポートが無い。
上記の問題は電力会社の管理だけでなく下請の問題もある。
下請けが電力会社に気を遣って必要な対応をしない。(事故報告の隠蔽。数値の改竄)
結局は他の労働問題と同じ。「多重構造、中抜き、労働者いじめ」。
この国に以前から巣くっている問題がここでも顔を出す。

一方で原発は仕事が無いヒト、貧困に困る人の受け皿にもなっている。
派遣切り・リーマンショックで仕事を失った人が最後に辿りつく仕事。給料は結構良いし。
証言者の何人かは「仕事が無いと困る。最低限度で原発は動かした方が良い」と言う。
オレは基本「脱原発」だが彼らの意見を単純に「ダメ」とは言えなかった。
原発が果たしているセーフティネットとしての機能・・・・。
それに代わるセーフティネットは現在(いま)あるんだろうか。

寺尾さんは過去原発について「問題はあるだろうが、まぁ必要だろう」程度の意識
だった。しかし今回、原発労働者の問題に触れ、その意識を改める。
「私は何も知らずに生きてきた。それは人が人を踏んづけて生きてるのと同じだ」と。

この本を読んで、同じことをオレ自身も感じた。
福島原発事故の後、色々知って感じたこと。
オレは東京で使っている電気が福島で作られていたことを知らなかった。
そんなことも知らずにノウノウと電気を消費していた。
まして、原発で働いている人のことなんて考えなかった。
オレも原発で働く人を踏みつけて生きてきたのだ。

いや、それは「原発」だけじゃないだろう。
昨今「早く・安く」のサービスが当たり前になっている。
24時間営業のコンビニ・レストラン、低価格の色んなお店。
従業員の人は十分休めているのか?十分な給料を貰っているのか?
サービス優先、競争優先、効率化の名のもとに十分な保障を蔑ろにしてないか。
オレたちユーザが便利さを求めた挙句、結果「働く人を踏みつける社会」
になっていないだろうか?

寺尾さんはこの本のあとがきで「原発労働者を遠くに感じている限り『ひとごと』。
で終わってしまう。『ひとごと』を『わがこと』として考えてみる」と綴っている。

この本を読んだからって原発労働者が自分の身近な問題になったか?は疑問だ。
自分に何かが出来るとは思えない。あまりにもデカい・・デカい問題だ。
でも・・この本を読んで、寺尾さんの「私は知らない」を改めて聴いて思った。
寺尾さんに会ってみたい。このヒトの歌を直接聴きたい。
だから10月にある「りんりんふぇす」に参加しようと思う。
http://singwithyourneighbors2015.jimdo.com/

寺尾さんが路上労働者支援のために開催してるイベント。
彼らも色んな意味で社会に踏みつけにされてきた(失礼<(_ _)>)。
先ずはここに行って考えたい。
原発労働者の問題も、きっと・・きっとこの先に繋がっている筈だ。
何をしたらイイかなんかワカンナイ。わかるわけがない。
でも、考えるのをやめたらそこで終わりだ。
だから、かんがえよう。まずはそっからだ。こっからだ。

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