2曲目、祥子さんがピアノを弾きながら「何がしたいの?」を歌いだしたとき。
背中がゾクッとした。戦慄を覚えた。
続く「Passion」の連続する不協和音に息苦しさを感じた。
立ち見のはずが友人の計らいで4列目という絶好の席で見れた。
ニューアルバムのへヴィーな曲が奏でられる。
恐ろしいくらいオトとコエが突き刺さる。
仕事で疲れ果てたココロとカラダにこのウタはきつすぎる。
逃げ出したい。でも動けない。
祥子さんはたった独りでピアノ、ギターで歌う。
「忘却」にステージが揺れ出す。まともに見てられない。
中盤のポップな「BabY、Its you」でやっと一息つけた。
後半、祥子さんは「Love/Identified」をアカペラで歌った。
オトを一切交えないハダカのコエ・・・
「あたしを見て、あたしにさわって、もっと心臓のちかくに、ねぇ」
祥子さんの叫び声に効果音の泣き声が重なる。
セックスのときのコエのような・・・コドモの泣き声のような・・
思わぬ記憶が蘇った。
ボクはコドモの頃、泣き虫だった。いつも泣いていた。いや泣かされてた。
兄弟ケンカに負けて、親や先生に怒られて、クラスメートに笑われて・・
すぐ泣いた。こんな声を出して。
このヒトは・・・いつも・・・消えてた想い出を引きずり出してくれる。
「Blonde」。マリリン・モンローの孤独をうたった歌。
「一人にしないで、一人にする愛さないで」。ピアノが響く。
「道」。「ワタシはこの病院で生まれた。そしてここでおねえちゃんは死んだ」
セキララ、隠さない、カッコつけない、そんなウタたち。
イタイけど・・・そのイタミが心地いい。このイタミの中にいると安心できる。
アンコール、
「東京で生まれた女」。
京都に引っ越して生まれ故郷東京のよさが判ったと祥子さんは話した。
「ふるさとは何処かと聞かれれば東京と答える」
「ふるさとは遠くにありて忘れてしまいそう」
祥子さんは京都に行って「故郷」を手に入れた。
ボクは東京に来て「故郷」を失い、新しい「Home」を手に入れた。
もうあっちじゃない。こっちだ。
何度も考えた、もうわかりきったこと。でも、このウタはその決意を揺さぶる。
そして、そのまま「あたらしい愛の詩」
年齢、自由、孤独、シアワセについてうたいわらいかたる祥子さん。
みんな一緒になってうたいわらいてびょうしをならした。
最後の最後「Goin Home」祥子さんはわらいながらギターをかきならす。
これもいっしょにうたった。
「もうどこへもいかない、いつもわらっていよう」と何度も歌った。
今回のツアー、小冊子が売っていた。ウチに帰って酒呑んで読んだ。
その中で祥子さんは自分の内面を語っていた。
自分への怒り、嫌悪、自分への賞賛、愛情、恥、赦し
昔・・・昔っていってもホンの5、6年前自分が自分に感じてたこと
とまったく同じことが書いてた。
・・・・まいったな・・・やっぱりこのヒト危険だ。危ない。
忘れてしまったことを、忘れたくて忘れたこと・・・
封印したこと・・・・今更むしかえしてくれる。
かなわないな・・・ホントに(笑。
素晴らしいライブだった。東京でこんなに一体化したライブははじめてだ。
いつか・・・・いつか「京都」でこのヒトのウタきいてみたい。
鈴木祥子ソロライブ「SOLO」07.7.11渋谷O-East
1.愛の名前、2.何がしたいの?3.Passion、4.Hold Me,Thrill Me
5.だまって笑ってそばにいる女、6.舟、7.Blackbird(カバー)、
8.私ののぞみ、9.Frederick、10.忘却、11.Baby Its you、
12.ひとりぼっちのコーラス、13.甘い夜
14.Love/Identified、15.Blonde、16.道
(アンコール)
17.風待ちJET(坂本真綾さんへの提供曲)、18.東京で生まれた女
19.あたらしい愛の詩~ピアノ漫談
(アンコール2)
20.失恋のうた(新曲)、21.Goin Home