観光列車から! 日々利用の乗り物まで

日記代わりに始めました。
まずは先日の小旅行での観光列車から出張利用の乗り物まで。

JR西日本321系電車

2021-06-18 04:52:05 | 乗り物(鉄道:船:飛行機:バスなどなど)

321系電車は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流通勤形電車である。

東海道本線・山陽本線(JR京都線・JR神戸線)の普通列車(京阪神緩行線)で使用されていた201系・205系の置き換えと、JR福知山線脱線事故で大破し廃車となった207系の補充のために製造され、2005年12月1日より営業運転を開始した。編成記号は D 。
JR西日本では新型通勤形電車として1991年以降に207系が改良を重ねつつ増備されていたが、基本設計から約15年が経過し、その後の社会情勢の変化や技術の進歩に対して充分な対応が困難となり始めていた。そこで陳腐化の目立つ各駅停車用の201系・205系の全面置き換えを行うに当たって全面的な設計の見直しが図られ、本系列が設計された。

 

 


力行・ブレーキの台車単位制御やイーサネットを活用した車内伝送システム、側構体のレーザー溶接など、自社・他社での15年間の技術開発や運用で得られた成果を積極的に取り入れ、随所に新機軸を盛り込んだ。コストダウンや工期短縮にも配慮され、部材別組立・後取り付けのユニット化や構体の全車共通設計化が図られている。

車体はSUS304ステンレス鋼を使用した連続溶接構造とした。幅 2950 mm のワイドボディであり、1両の片側に4つの客用扉を持つ形態となっている。ドアピッチは207系と同じ 4700 mm(ドア中心間)である。断面は近郊形との共通化を念頭に置き、207系とも223系とも異なる新形状が起こされた。207系では構体に骨構造にビード加工(断面が凹凸の細い帯状の補強構造)した外板となっていたが、本形式では2003年の223系5000番台で採用された、戸袋部を2シート工法、窓部を骨組み工法とすることでビードが廃止された。車体の溶接工法は腰部・吹き寄せ部が従来のスポット溶接からレーザー溶接に変更され、屋根肩の雨樋カバーが従来の角ばったものから、丸みを帯びたものに変更されていることもあって、従来より外観平滑性の高い構造となっている。外板厚は 2.0 mm であり、レーザー溶接と相まって223系などを上回る車体強度を有する。207系に比べ床面高さを 30 mm 、屋根高さを 70 mm 下げ、バリアフリー化と低重心化が図られている。一方で床を207系より 5 mm 厚くし、床材も塩化ビニールからゴムチップに変更することで車内騒音・振動を軽減するとともに、火災時の有毒ガス発生を抑えている。
コストダウンや車種変更の容易化を目的に、各車の構造は極力共通化されている。パンタグラフ搭載スペースは全車種に2か所ずつ設けられた[注 1]ほか、台枠も全車共通設計で、どの車種にも車両制御装置・空気圧縮機・蓄電池を搭載できる。このため、従来先頭車床下台車間に設けていた ATS 制御装置を運転室内設置とした。
207系の側窓はドア間が固定、連結面寄りが下降式で、車体片側の妻面下降窓の幅を拡げるため貫通路を車体中心からオフセット配置し、消火器は妻窓下の車外に設け取り出す際は窓を下げる必要があった。本系列では火災時の対応や妻構体の近郊形との共通化を考慮し、2か所の窓を下降窓とし、貫通路は中央に配置し妻窓は廃止され、消火器は室内側から取り出せるように改良されている。


先頭車前面のデザインは207系のイメージを踏襲しつつ、フォグランプの追加や下部の三角形の装飾、前面の紺色(計画時は黒)仕上げで、先端部分は一層近代的で力強い表情となっている。車体下に設置される排障器(スカート)は前面と一体感のある専用デザインのものとなり、強度も207系の強化型(製造途中に設計変更)よりさらに向上している。この部分は普通鋼製となっており、紺色仕上げ面以外の部分は銀色の塗装がなされている。なお、側面先端部分には紺色のグラデーションが入れられている。

 

 


車外の行先案内設備は、221系以来の幕式種別表示器と発光ダイオード (LED) 式行先表示器を併用するものである。207系では省略されていた号車表示機能が設けられており、その分表示機の横寸法が長くなった。前面のLED行先表示器の文字が223系2000番台と同様のゴシック体になった。
207系と同じ調律のミュージックホーンが引き続き採用されている。他形式車と同様にペダルを軽く踏むとミュージックホーンだけが、強く踏むと通常の空気笛が同時に鳴る仕組みである。

製造前の計画では、外装は側面が旧塗装の207系と同一の、窓下に濃淡ブルー帯、前面が先述の通り黒色仕上げとなる予定であったが、実際の落成に際して、帯色は紺色とオレンジ色の配色に、前面は先述の通り紺色仕上げにそれぞれ変更され、戸袋部分には当初の予定にはなかった紺色帯が追加されて223系に近いデザインとなった。マスコミ報道では、外装の変更についてJR福知山線脱線事故の遺族や乗客の心情に配慮したと報道されたが、JR西日本からの公式発表はなされていない。なお、207系や205系は本形式の落成後に営業に使用される全編成が本形式と同デザインに変更されている。

 

 

本系列では先行して設計された支線区用の125系と同様、各電動車の後位寄り台車のみを主電動機を装架する動台車とし、全電動車ないしそれに準じた編成とすることで1列車として運行するのに必要な出力を確保している。この「0.5M システム」の導入により、編成内各車の重量均一化と牽引力の分散による車両間衝動の抑制、冗長性の確保、編成組成の自由度の向上、前述の全車共通設計による設計・製造の合理化が図られた。
こうした機器構成により、動台車率 1/3 以上で起動加速度 2.5 km/h/s 、1/4 以上で 35 ‰ 上り勾配での起動が可能となっている。起動加速度は207系より低いが、歯数比を近郊形と共通として中・高速性能を改善、同等の運転時分で走行できる。最高速度は 120 km/h 、台車・ブレーキなどの改造で 130 km/h への向上に対応する。
なお、メディア報道では、本系列が両先頭車を電動車としたことを捉え、電動車が付随車に比べて重心が低く転覆し難いという理由により、JR福知山線脱線事故の影響で急遽設計変更したかのように報じる向きもあった。もっとも、これらの報道の中で先頭車の前位寄り台車が従台車であることや、「0.5M システム」の特長について触れたものはなかった。
Mc車およびM車に搭載された集電装置によって取り入れられた直流1,500Vは、下り寄りに隣接するM'車およびM'c車にも車間に渡されたWKE20ジャンパ連結器を介して車両制御装置に供給される。補助電源に関してはWKE21ジャンパ連結器を介して編成に引き通されており、異常時の冗長性を確保している。このほか低圧回路用(直流100V)のWKE108ジャンパ連結器、情報配信装置用のMY119ジャンパ連結器を備え、元空気ダメ管 (MRP) 引き通しは連結器直下に設置されている。

車両制御装置は三菱電機・日立製作所・東芝・東洋電機製造[8]の4社による競作である。すべて共通仕様・同一性能で混用されており、外装には各社で相違があるが、いずれもWPC15という同一形式を与えられている。
主回路部は IGBT による2レベル電圧形 PWM インバータ1基で2基の電動機を制御する、いわゆる 1C2M 構成の VVVF インバータを搭載し、速度センスレスベクトル制御および純電気ブレーキに対応する。これに対し補助電源部は同じく IGBT を用いた2レベル電圧形 PWM インバータを CVCF 制御することで三相交流440V 60Hzを出力し、定格容量 75kVA を得る。他車の補助電源部と並列運転を行うことで、1基当たりの容量小型化および故障時の編成全体での冗長性を確保する設計である。また、223系での1C1M制御に比べて半導体素子数の削減を図っている。
電動空気圧縮機 (CP) は223系2000番台などの実績である除湿装置一体型の低騒音形スクリュー式 WMH3098-WRC1600 が搭載されている。

主電動機は自己通風3相かご形誘導電動機の WMT106 で、センサレスベクトル制御の採用により速度センサを省略、このスペースを活用することで磁気回路の増量を図り、1時間定格出力 270 kW/1100 V を実現している。この出力増強は回生ブレーキの負担割合向上を目的としたもので、力行性能を223系と同程度に抑えることで信頼性向上・長寿命化をも図っている。回転数は定格 2955 rpm 、許容 5830 rpm で、130 km/h 運転にも対応可能な高速性能を有する。
駆動装置はJR西日本標準のWNドライブで、惰行時の騒音低減を図る改良が施された。歯数比は223系などと共通の1:6.53となっている。

台車は、軸箱支持方式を207系の円錐積層ゴム式[注 8]や乾式円筒案内式[注 9]を止め、223系(0番台のぞく)と同じ短腕軸梁式[注 10]とした、ボルスタレス台車のWDT63(動台車)・WTR246 もしくは WTR246A(付随台車)が新たに設計された。バリアフリー化への社会的な要請に対応すべく、基本となった223系2000番台用 WDT59・WTR243 系台車と比較して空気ばね上面高さを 15 mm 下げて床面高さを低減させ、空気ばね中心間隔を 20 mm 拡げロール剛性が高められている。空気ばね自体も、前後方向に柔らかく左右方向に硬い設計とし、曲線通過性能と乗り心地の両立が図られている。
基礎ブレーキは、WDT63 が踏面ユニットブレーキ、WTR246 が踏面ユニットブレーキと1軸1枚のディスクブレーキとし、Mc車およびM'c車の WTR246A に関しては駐車ブレーキ機能が追加された。
集電装置はJR西日本標準の下枠交差式パンタグラフである WPS27D である。最初の9編成はMc・M車後位寄りに1基搭載で落成したが、第10編成以降は2基搭載に変更され、最初の9編成も2006年8月までに追加搭載がなされた。地上区間では207系と同様、パンタグラフを車体西側の1基しか使用しないため、通常東側のパンタグラフは降ろしたまま運用されている。

夏季や冬季での車内保温対策として、乗客が任意で扉を扱うことができる半自動ドア機能を搭載している。この機能の稼動を、207系では扉を動かすスイッチの脇に設けられた電照パネルに「ドア」の文字を表示することで告知していたが、321系ではスイッチボタン周縁が光る方式に変更された。
車内の配色は、207系がアイボリーの内壁とベージュの床であったのに対し、本系列では薄いグレーの内壁と濃いグレーの床が採用された。また、妻面は灰色、妻面貫通扉はステンレス素材を生かし、運転台仕切りはグレーで塗り分けられ、アクセントとなっている。手摺りなどの構造も大幅に簡略化され、コストの低減と内装との統一が図られている。妻面には大型の路線図が掲示されている。
座席はすべてロングシートで、ドア間は207系の7人掛から6人掛に減らし、その分一人当たりの幅を 440 mm から 470 mm に拡げた。車端部は4人掛、440 mm が踏襲されている。かねてより、利用者から7人掛けシートの廃止を求める声を反映したものである。また、着座区分のために207系の一部車両で試験的に装備していたバケットシートが本格的に採用されている。ただし、207系では一般的な凹み形状であったが、本系列では座面の左右が他よりも盛り上がるという、簡略化された独特の形状となっている。
また、座面高さを207系より 35 mm 上げ、奥行きを 25 mm 浅くした形状とし、併せてクッションを沈み込みの少ない硬いものとした。これは、高齢者が立ち上がる際の負担軽減や足を通路に伸ばした着席の防止を狙ったものである。座席モケットは従来より濃い青色で、外装が青主体だった計画時のものがそのまま採用されている。2008年10月時点では第3・8・12編成の座席については優先座席と同じタイプに交換されている。
2006年1月1日以後に新造される鉄道車両には改正された火災対策の条文が適用されることとなり、第14編成以降、蛍光灯カバー・天井化粧板の材質変更や貫通扉のドアキャッチャ廃止がなされた。以後の車両の蛍光灯カバーは特殊樹脂でコーティングしたガラス繊維製で、デザインも強い丸みを持ち、つり革の支持棒と一体化するという、独特のものに変更されている。
207系からの最大の変更として、各車両に19インチ・解像度 SXGA の液晶ディスプレイが計12面設置された。実表時領域は 1280x960 で、アスペクト比は4:3である。ディスプレイは2面1セットを前後に配したユニットをドア間天井に座席と直角(枕木と平行)の向きで設置している。通常時は、左側画面に現在位置や駅名・乗り換え路線などが表示されているが、2009年12月17日より、京阪神近郊エリアの主要線区および東海道・山陽新幹線において、30分以上の列車の遅れが発生または見込まれる場合に文字による運行情報が表示されるようになった。また、ダイヤが大幅に乱れ車両運用が変更された場合、「JR西日本」のロゴが表示される。右側画面にCM放送(WESTビジョン)を表示している。音声は出ないため、CMの中には吹き出しや字幕が追加された独自仕様となっているものもある。
2008年時点では東日本旅客鉄道(JR東日本)が山手線に投入したE231系500番台のように、停車駅での階段やエスカレーター位置などの案内はなされていない。また駅名の表示は、漢字→ひらがな→英語の順(例、次は新大阪→つぎはしんおおさか→Next Shin-Ōsaka)で流されている。
脱線事故を契機に、車体の側面強度の向上や、手摺りにクッション材を巻くなど客室の安全対策を取る必要性が指摘されたが、JR西日本は「安全対策の改良点が見つかればその都度導入する」とした。
また、脱線事故の遺族や乗客の心情に配慮して、207系と本系列の座席モケットの青色から緑色への変更が2010年4月より順次行われている。
2011年10月19日から、207系と本系列の吊り手が225系仕様のものに順次交換および増設が行われている。

3両以上の編成では故障等による1インバータ(2モータ)解放時においても健全時と変わらぬ力行性能を確保させることを目的に、片方の台車を付随台車とする 0.5M 方式による全電動車編成を基本としているが、7両編成は解放時の影響が短編成に比べ相対的に小さいため付随車を1両挿入している。電動車は全車に車両制御装置を搭載する。集電装置の有無によって321形と320形の区別を行っている。

 

 

第1編成は2005年7月19日に近畿車輛で落成し、その後第2編成以降も同社で順次製造されたが、同年12月1日までは全編成とも長期的に試運転が行われたり、普段は乗り入れがない福知山電車区や奈良電車区に回送されて乗務員訓練を行ったため、営業運転には使用されなかった。
当初、同年中に7両編成16本、翌2006年に同20本の計7両編成36本252両が製造される予定であったが、実際には2005年に7両編成20本、2006年に同19本の計7両編成39本273両が製造された。これは、脱線事故で廃車になった207系の補充に入っていた103系の早期の撤退および、「ゆとりダイヤ」の実施や207系の帯色変更に伴う運用離脱で必要編成数が増加したためである。
当初は置き換え対象の201系・205系と共通運用されていたが、2007年1月に全編成の落成・営業投入がなされ、同年3月18日をもって普通の207系・321系統一が達成されている。ただし、一旦営業運転を開始した編成が、回生ブレーキ改善工事のため、一部の編成が再び近畿車輛に入場していた。この時置き換えられた201系体質改善未施行車を一時的に呼び戻すことで対応した。
前述のパンタグラフ増設によりJR東西線への乗り入れが可能となり、2008年3月15日よりJR東西線・片町線(学研都市線)への乗り入れが開始された。2010年3月13日からは木津駅 - 同志社前駅間の各駅のホームを7両編成に対応できるよう延伸したことによって、一部の快速の運用にも充当されるようになった。

編成 7両(0.5M方式の6M1T)
営業最高速度 120 km/h
設計最高速度 130 km/h(準備工事)
起動加速度 2.5 km/h/s以上[1]
減速度 3.5 km/h/s(常用最大)
4.2 km/h/s(非常)
編成定員 721(立)+344(席)=1,065名
車両定員 142名(クモハ321・クモハ320)
156名(モハ321・モハ320・サハ321)
最大寸法
(長・幅・高) 19,550 ×2,950 ×3,630 mm(先頭車)
19,500 ×2,950 ×3,630 mm(中間車)
車体材質 ステンレス
編成質量 232.8 t
車両質量 33.3 - 35.6 t(電動車)
27.3 t(付随車)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V
編成出力 270×2×6 =3,240 kW
主電動機 かご形三相誘導電動機(WMT106 270kW)
歯車比 1 : 6.53
駆動装置 WNドライブ
制御装置 2レベルIGBT-VVVFインバータ(静止形インバータ一体型)
WPC15(1C2M)
台車 軸梁式ボルスタレス台車(ヨーダンパ付)
動力台車:WDT63
付随台車:WTR246・WTR246A
制動方式 電気指令式(直通・回生(純電気式)・抑速・耐雪ブレーキ機能付き)
保安装置 ATS-SW・ATS-P、列車防護無線装置
EB・TE装置
製造メーカー 近畿車輛

 

 


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