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C56形蒸気機関車(C56 92)

2019-05-01 05:56:37 | 乗り物(列車・車両)

C56 92:鹿児島県出水市肥薩おれんじ鉄道出水駅西口。同市内の総合運動公園から2008年3月に移設。

C56形蒸気機関車(C56がたじょうききかんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)の前身である鉄道省が製造した小型軽量テンダー式蒸気機関車である。愛称はシゴロク、シーコロ、または高原のポニーである。

本線より著しく低規格な簡易線には、大型機関車は入線できない。このためまず短距離線区向けには1932年(昭和7年)にタンク式のC12形が開発された。軽量で前後進の容易な小型機である。

しかし比較的長距離の線区では、C12形では石炭と水の搭載量が少ないので、運用に適さない。このためC12形から水槽と炭庫をはずし、テンダー式に設計しなおされたのがC56形で、両形式は共通部分の多い系列設計となっている。これは制式蒸気機関車系列化の先達であるドイツにおいて支線区向けに設計された、64形タンク機と24形テンダ機の設計手法を参考にしたと思われる。両形式は形態もC12形、C56形にそれぞれ類似している。

当時は簡易線には、転車台が設置されている箇所が少なかった。C12形はタンク機関車のため逆機は容易であるが、C56形はテンダー機関車のため後方が見にくくならないよう、テンダーの炭庫側面を大きく欠き取って後方視界を確保したスタイルが特徴的である。しかし、実際にはC12形と異なり従輪がなく、逆機時の走行特性が著しく低下した。これが原因で脱線が多発したため、低速での入換を除けば逆機はあまり行われなかったといわれている。

製造
鉄道省向けとしては、1935年(昭和10年)から1939年(昭和14年)までの間に160両が製造されている。製造メーカーは川崎車輛、汽車製造会社、日立製作所、日本車輌製造、三菱重工業の各社である。このほかに、樺太庁鉄道向けに4両、民間向けに1両が製造されている。

C56形が使用されていた各地の簡易線では、後継のディーゼル機関車がなかなか実用化されなかったのが幸いし、比較的晩年まで貨物列車牽引用に残っていた。しかし、簡易線区用に開発されたDD16形ディーゼル機関車が貨物牽引用に投入・置き換えが始まった。

特筆事項の一つとして、SLブームの1972年10月、鹿児島本線でのお召し列車牽引(91+92号機)がある。92号機は半年後の1973年4月に、日南線でC11 200との重連で再びお召し列車を牽引した。

1973年(昭和48年)夏に、小海線でC56形が2ヶ月間復活した(臨時列車「SLのべやま号」、中込駅 - 小淵沢駅間)。小型軽快で高原地帯を走る姿が小馬(ポニー)を連想させ、「高原のポニー」と呼ばれた。これ以降「ポニー」がC56形の愛称になった。

1974年(昭和49年)、三江北線の貨物列車牽引を最後にC56形は定期運用を退いた

 

国内残存のC56形
戦後に国内に残った68両の本形式は大規模な配置換えが行われ、北陸地方、甲信越地方、中国地方、九州地方で使用された。使用線区は、小海線・飯山線・大糸線・越後線・七尾線・三江北線・木次線・妻線・宮之城線・山野線。ほかにも北海道や横浜などでも、ごく少数が入換用に使用されていた。

運用路線に閑散線区が多かったことや限られた牽引力から、優等列車牽引にはほとんど用いられなかったが、木次線では1953年(昭和28年)から1959年(昭和34年)まで陰陽連絡の快速列車「ちどり」運用を線内全線通しで担った。

北海道では90両が供出される以前は本形式が多数配置され、各路線で主力機として運用されていたが、供出後の配置換えで数両のみ残り、その後はC11形に取って代わられた。晩年は入換用として過ごし、本州のC56形より一足早く1960年代には姿を消した。


運用者 鉄道省→日本国有鉄道
製造所 日立製作所、三菱重工業
川崎車輛、汽車製造
日本車輌製造
製造年 1935年 - 1939年
製造数 160両
引退 1974年
愛称 シゴロク、シーコロ、ポニー
主要諸元
軸配置 1C
軌間 1,067 mm
全長 14,325 mm
全高 3,900 mm
動輪上重量 31.76 t
総重量 65.53 t
動輪径 1,400 mm
軸重 10.61 t(第3動輪)
シリンダ数 単式2気筒
シリンダ
(直径×行程) 400 mm × 610 mm
弁装置 ワルシャート式
ボイラー圧力 14.0 kg/cm2
大煙管
(直径×長さ×数) 127 mm×3,200 mm×16本
小煙管
(直径×長さ×数) 45 mm×3,200 mm×68本
火格子面積 1.30 m2
過熱伝熱面積 19.8 m2
全蒸発伝熱面積 74.2 m2
煙管蒸発伝熱面積 54.4 m2
火室蒸発伝熱面積 7.4 m2
燃料 石炭
燃料搭載量 5.00 t
水タンク容量 10.0 m3
制動装置 自動空気ブレーキ
最高運転速度 75 km/h
最大出力 592 PS
定格出力 505 PS
シリンダ引張力 8,290 kg
粘着引張力 7,940 kg

 

 


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