
EH500形式は、日本国有鉄道(国鉄)時代に製造され東海道本線で使用されたEH10形以来となる2車体連結・主電動機軸8軸使用のH級機です。
従来、首都圏- 函館・五稜郭間は 直流機 - 交流機(重連または単機)- 青函用交流機(重連)と機関車の付け替えがあり、到達時間にロスが生じていた。これを解消してJR貨物の保有機関車数を削減する目的とともに、東北地方のED75形電気機関車や、津軽海峡線のED79形電気機関車老朽取替え用として開発・製造されています。
H形機となったのは、東北本線藤田- 白石間および十三本木峠の急勾配・青函トンネルの連続勾配を走行するため、高い粘着性を軸重を増大させずに確保する必要があったためと、第二種鉄道事業者として線路保有会社に支払う線路使用料を軽減するためです。
EH500形式は首都圏- 北海道連絡の高速貨物列車を主体に運用されているが、運用区間の長さゆえ走行距離毎の点検頻度が増え、稼働率低下の主因となる。現状では、走行距離を抑え、最小限の車両数で運用するため、本形式の運用を黒磯以北の交流間とし、黒磯以南の直流区間は東海道・山陽本線系統の直流電気機関車が継走する運行形態が多いようです。また、一時期は故障が多発して稼動車が不足し、一度運用を外れたED75形を整備の上で復帰させて稼動車を充足した時期もあったとのこと。
主送風機 (MMBM) ・発電ブレーキの抵抗送風機から発生する風切り音はかなり大きく、このため走行音だけで本形式は容易に判別できます。この事象は、以後製造されたEH200形などに低騒音形の送風機を採用する契機となりました。
最近では各車にヘッドマークステー(取付け台)を設置していたが、2009年10月以降から撤去されています。
本形式は三電源対応(直流・交流 50 Hz/ 60 Hz )として製造され、広汎な運用が可能である。これまで東北 - 北海道連絡系統にのみ使用されてきた本形式を、関門トンネルを含む本州 - 九州連絡運用に投入する計画が立てられ、2004年4月に25号機が、6月に27号機が運用試験に供されました。これは、同区間における 1,300 t貨物列車の運行開始と、EF81形電気機関車(300・400番台)の置換えを念頭に実施されたもので、試験結果を踏まえ2007年より門司機関区に本形式が配置され、関門トンネル区間での本格運用を開始しています。
製造実績は2006年度が10両、2007年度は9両です。2008年度は3両、2009年度は4両、2010年度は6両を予定する(なお、2010年度の6両は山陽・鹿児島線への投入とされています。同年度に国庫補助による1,300t貨物列車の運行可能区間が現在の北九州貨物ターミナル駅から福岡貨物ターミナル駅へ延伸されることへの対応と見られます。EH500形式によってED75形・ED79形の淘汰は6両を予定してます。EH500形式によってED75形・ED79形の淘汰が進んでいるが、1両でED75形重連と同等の性能を有する本形式は、従来よりED75形単機で運用される牽引定数の小さい貨物列車を置き換えるには出力過大であること、EH500形式が在籍するJR貨物仙台総合鉄道部の検修庫は狭小であり、整備点検環境の向上を必要とすることなどは今後の検討課題です。
愛称はEF210形の「ECO-POWER 桃太郎」と対をなす形で「ECO-POWER 金太郎」、もしくは(EH10形の「マンモス」に対応して)「平成のマンモス(機関車)」と呼ばれています。
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