パトカーの中でも、最も多く配備されているのがトヨタのクラウンだ。1983年に放送されたCMのキャッチフレーズ「いつかはクラウン」の言葉にもあったように、国産高級セダンとして歴史と伝統を受け継いでいる車種である。そんな高級車でもあるクラウンがパトカーとして使われていることについて「クラウンパトカーなんて贅沢だ!」という不満の声を耳にすることがあるが、実はクラウンパトカーは市販車と比べてそれほど高額ではない。加えて、パトカーがクラウンでなければならないという理由もあるのだ。
パトカーの多くは国の予算である国費、すなわちわれわれの税金によって購入されており、実はクラウンには警察庁仕様に基づいたパトカー専用のグレードがある。パトカーグレードは市販車に警光灯(警ら仕様の場合は警光灯昇降装置、覆面パトカーの場合は反転式警光灯)やサイレン吹鳴装置、速度測定器(ストップメーター)、無線機格納装置などのパトカー専用装備を付けたうえで、電装系などの一部を強化。座席を清掃しやすいビニール生地とするなど、そのほか不要な装備を外してコストダウンを図った仕様となっている。なんと関係者向けに専用カタログも発行されている。平成初期~中期にはトヨタマークII、日産セドリック、クルー、スカイライン、三菱シグマなどの車種にもパトロールカーグレード車があったのだが、生産終了などにより、現在もパトカーグレード車が残っているのはクラウンのみとなっているので、おのずとクラウン一択となってしまうのだ。
12代目 S18#型(2003年 - 2008年)
「ZERO CROWN〜かつてゴールだったクルマが、いまスタートになる〜」という広告でのキャッチコピーから、「ゼロクラウン」と通称される。プラットフォーム、エンジン、サスペンションといった主要コンポーネントが刷新され、プラットフォームは新開発のNプラットホームに、エンジンは長く使われた直列6気筒に代わり、より静音性能、環境性能を高めたV型6気筒のGRエンジンに切り替えられた。変速機は2.5 Lが5速AT、3.0 Lはシーケンシャルシフト付の6速ATが搭載された。このモデルで採用されるNプラットフォームは、マークX、クラウンマジェスタ、レクサス・GS(S19#型)でも採用されている。スポーティーで流麗なスタイリングも大きな特徴となり、長く続いたクラウンの保守的なイメージを一新するものとなった。エンブレムの書体も変更されている。
月間目標販売台数は、「ロイヤル」と「アスリート」を合わせて5000台。
2003年12月22日 - 発売。
2004年8月26日 -2.5 Lに四輪駆動車を追加。
2004年12月24日 -クラウン生誕50周年記念特別仕様車を発売。
2005年10月4日 - マイナーチェンジを行う。エクステリアではロイヤル・アスリートにヘッドランプのスモーク化や、フロントグリル、リヤコンビネーションランプのデザインが変更された。エンジンは、アスリートがレクサス・GSと共通の3.5 Lの2GR-FSE)に換装され、出力も315 PSとなった。3.0 Lはロイヤル系のみの設定となる。2.5 L 後輪駆動車は6速ATに変更[注釈 19]。「2.5アスリートfour」にも本革シート等を標準装備とした豪華装備のGパッケージを追加。純正オーディオのCDデッキにおいてはMP3対応品となり、ナビゲーションはHDD方式となった。同年から、中国で「皇冠」として現地生産を開始。
販売期間 2003年12月 - 2008年2月
設計統括 加藤光久
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン
エンジン 2GR-FSE型 3.5 L V6 DOHC
3GR-FSE型 3.0 L V6 DOHC
4GR-FSE型 2.5 L V6 DOHC
駆動方式 四輪駆動 / 後輪駆動
変速機 6速 / 5速AT
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン
後:マルチリンク
全長 4,840 mm
全幅 1,780 mm
全高 1,470 / 1,485 mm
ホイールベース 2,850 mm
車両重量 1,550 - 1,670 kg
販売終了前月までの新車登録台数の累計 33万1245台
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