観光列車から! 日々利用の乗り物まで

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PLH-09 りゅうきゅう:海上保安

2013-09-04 00:06:43 | 艦艇(自衛隊・保安庁・その他)

1977年、日本の排他的経済水域が沿岸から200海里に拡張され、その面積はおよそ405万km²と増大した。これにより海上交通の安全確保が一層求められるようになった海保であったが、200海里もの広範囲の海域をカバーするには既存の巡視船や陸上機の航続力は不足であり、かといって大型の巡視船を建造したとしても「重量の増加→速力の低下→さらに強力なエンジンの搭載→燃料搭載量の増加→さらなる重量の増加」という悪循環に陥ることが懸念されました。また、最高速度が20ノットに満たない大型巡視船では、外洋での救難信号受信後に急行したとしてもかなりの時間がかかることが懸念された。そこで海保では、しれとこ型巡視船の大量建造を決めると共に、巡視船そうやの設計を基に、ヘリコプターを1機搭載し広範囲にわたる海域を迅速に対処でき(ヘリコプターの速度を100ノットだとしても、巡航速度は巡視船の2倍、上空からの視界で捜索能力は10倍になると見積もられていました)、他の巡視船艇を指揮できる巡視船を建造することを決定しました。


船体・機関 :つがる型巡視船は、そうや型巡視船の設計を参考に建造されたため、外見は「そうや」に非常に酷似する。最大の違いは、砕氷能力を有する「そうや」に対して船首に砕氷能力が無い点である。ただし、北方配備を考慮して船体の耐氷構造と防滴塗装は維持されており、高速航行を維持するために水線長を10m延長して幅を1m狭くしました。1979年から2001年までの長きに渡って建造が続いたため、各船ごとに設計に若干の差異がある。従って、右記の要目は目安である。特に、8番船「りゅうきゅう」以降は船体線図が新たに描き起こされており、事実上の新型とする場合もあります。主機関についてもそうや型巡視船のものを踏襲しており、4サイクルV型12気筒ディーゼルエンジンであるSEMT ピルスティク社製12PC2-5V(7,800ps)を両舷2軸に各1基ずつ配していた。また7番船「えちご」以降では同社製12PC2-6V(8,000ps)に強化するとともに、スクリュープロペラもスキュード・タイプに変更されました。これらの主機関は、石川島播磨、日本鋼管、新潟鐵工所によりライセンス生産されました。

装備 :武装は、当初ボフォースL/60 40mm機関砲とエリコンSS 20mm機銃を船体前方に各1門、単装マウントに配して搭載していたが、PLH-04「うらが」(後に「はやと」に改名)以降は、より省力化され強力なエリコン 35mm機関砲の単装マウント(GDM-B)とJM61-M 20mm多銃身機関砲各1門に換装されています。PLH-09「りゅうきゅう」以降は、20mm多銃身機関砲がRFS連動型のJM61-RFSとなりました。船体後部にはヘリコプター格納庫と飛行甲板を有し、ベル 212中型ヘリコプターを1機搭載・運用することができます。ベル 212は、当時S-58の後継として配備が始まっていた中型ヘリで、ウインチを用いてホバリングしながらの患者・遭難者の収容が可能である。そのため、ヘリコプター離着時の動揺防止に減揺タンクに加え、フィンスタビライザーを2組[5]装備したが、「そうや」が氷海での航行を考慮して引込式になっているのに対し、本型では固定式になっている。また、業務拡大に伴い「そうや」には無かった公害測定室を新設しています。


PLH06「ちくぜん」以降はレール式のヘリコプター引込装置と自動操船装置を装備したほか、PLH07「せっつ」以降は操舵室に機関室機器を制御監視する区画を設けたほか、放射線測定器を追加装備。PLH08「えちご」以降は、操船・機関監視・航行管制などを操舵室で一元管理するIBSを装備しました。
各船の兵装
PLH-01~03 PLH-04~08 PLH-09~10
ボフォースL/60 40mm機関砲×1門 エリコンKDC 35mm機関砲×1門
エリコンSS 20mm機銃×1門 JM61-M 20mm多銃身機関砲×1門 JM61-RFS 20mm多銃身機関砲×1門

運用 :1番船「つがる」は1979年に配属された。 現在、第三、第四、第六管区を除く各管区の海上保安本部にほぼ一隻ずつ配備されている。4番船の「ざおう」は配属先の塩釜海上保安部付近に金華山海峡以外に海峡・島嶼が無く、仮に「きんかさん」または「きんか」と命名しても「金隠し」などと揶揄される可能性があったため、巡視船の命名基準で小型巡視船に用いられていた山の名前から「ざおう」と名づけらました。1999年に発生した北朝鮮による能登半島沖不審船事件においては、PLH06「ちくぜん」が出動。ヘリ搭載という利点を生かし、洋上で特殊警備隊(SST)が乗船した。また、20ミリ機関砲による警告射撃も行っている。2001年の九州南西海域工作船事件においてはPLH04「はやと」が派遣され、後方指揮を担った。2009年7月3日、和歌山県白浜町の南西約29キロの紀伊水道で、神戸海上保安部所属の巡視船「せっつ」が前部甲板にある35ミリ機関砲の射撃訓練を行ったところ、衝撃で砲身が吹き飛んで海中に落下した。乗組員約40人にけがはなかった。神戸海上保安部の発表によると、せっつは20ミリ機関砲の訓練を終え、35ミリ機関砲を右舷に向け1発発射した直後、砲身が外れたという。砲身は、ねじって砲にはめ込む仕組みになっており、常時取り付けられている。訓練前の点検でも異状はなかったという。初期の建造船はすでに船齢30年を超えているが、昨今の緊縮財政化では新造船による代替は困難である。そこで順次改修をおこなって耐用年数を15年延長する計画であり、平成22年度補正予算でPLH03「おおすみ」の延命・機能向上工事費が認められている。

概略
PLH「そうや」型(砕氷船)の準同型後続船として建造された、ヘリコプター1機搭載型巡視船です。
OIC(Operation Information Center)を持ち、大規模な警備救難活動の際、指揮船として活躍することが出来ます。同型船とはいうものの1番船と9番船には20年以上のタイムラグがあり、搭載機能や船内レイアウト、ヘリコプター関連設備など逐次改良が加えられているほか、「りゅうきゅう」「だいせん」の2隻は線図も新規に描き直された事実上の新型船です。大きさは海上自衛隊 「はつゆき」型 よりやや小さいくらいです。
平成2年建造のPLH-08「えちご」は、船橋の大幅省力化が図られています。PLH-09「りゅうきゅう」、PLH-10「だいせん」は実質的に再設計された新型船と言えます。

●総トン数:3221t(旧)/満載排水量:4037t
●主要寸法:全長105.4m×幅15.0m×深さ8.0m
●エンジン:ディーゼル2基2軸 出力:15600PS
●速力:約22kt
●船質:鋼
●航続距離:6000浬
●乗員:69名
●主要装備:フィンスタビライザー バウスラスター レーダー 航空用レーダー 他
●主要兵装:40mm単装機銃×1 20mm単装機銃×1
●搭載ヘリコプター 「ベル212」中型ヘリコプター1機
●航行区域:遠洋(国際航海)


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