今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

「はなし、話、咄、噺」

2009-03-19 | ひとりごと
昨日、購読新聞で私が欠かさず読んでいる記事「天声人語」に「はなし」のことが載っていた(ここ参照)。そして、”「はなし」は、普通漢字で書けば、「話」であるが、「咄」や「噺」もある。口偏に新と書く「噺」の字づらには耳新しいニュースという印象がある▼片や「咄」は口から出まかせのようにも見える。国文学の故佐竹明広さんの『古語雑談』によれば、古くには、「話す」を「放す」と表した例もある。虚実ないまぜにした、肩のこらないおしゃべりが「はなし」の原義だったそうだ▼かくて人の話には、とかく出まかせが交じる。”・・として、”記者なら百も承知のはずが、日本テレビの面々は騙された。そして、社長が虚偽証言に基ずく誤報での責任をとり退職するはめになった”例をあげ、”記者たるものがきな臭い情報を疑ってかかる必要がある事は当然だろう”とし、英国の作家・オスカー・ワイルドの対話形式の『芸術論』の中に出てくる名言「素顔で語るとき、人は最も本音から遠ざかるが、仮面を与えれば真実を語り出す」・・・という名言を引用。”このようなことも皮肉ながら一面の真理であろうが、匿名の仮面の時は、無責任と表裏一体になる危うさをはらむものであり、これからの報道に、心すべきこと”と、手厳しく指摘していた。
以下参考に記載の「Seven Mile Beach File/言語録」には、 三島由紀夫の、
「あらゆる種類の仮面のなかで「素顔」という仮面を僕はいちばん信用しません」
の名言が載っていたが、これは、ワイルドの名言を意識してのものだろうか?
ワイルドや三島のこれらの名言、私もその通りだと思っている。
私は、現役時代、人を相手に一対一の営業を長くやって来たし、長年のサラリーマン生活の中での経験から、会社そのものや又、そこに真面目に勤めている幹部や同僚、特に気心の知れた飲兵衛仲間にしても、笑って酒酌み交わしながらも真実以外のことを多く話している者が多いことを知っているし、これは、親子、夫婦にしても多かれ少なかれあるものである。昔の人は、「目は口ほどに物を言うなんてよく言ったもので、目でいっていることと、言葉で話しているとは裏腹であることなどよくあるものだ。又、人から聞いたことをまるで知ったかのように話す事も多いのは事実である。・・・そう言っている私自身も、このブログを書く時には、蔵書やマスコミ情報などのほか「Wikipedia」その他ネットで得たことを基に知ったかのように書いているのだから(^0^)。
ただ、ネットだけではなくマスコミや蔵書といえるもの中ににも、結構誤っているものや、故意に情報を伏せているものもあることから、できる限り多くのものを調べるようにはしている。そのため、このようなたわい無いブログを書くにも結構時間を要してはいるのだが、そのこと事態について、現役も退き自由な身の私には、いろいろと調べてみること事態が楽しみの1つでもあり、苦にはならない。しかし、それでも、後日振り返って見ると”あれあれ・・・”といったことが結構あるので、人のことをあれこれと言う資格もない。その点、悪しからずご了承の上、このブログも見てくださるようお願いします。<(_ _)>
ただ、それはそれとして、以下参考に記載の「Seven Mile Beach File/言語録」には、
「米国では大統領は4年間統治するが、ジャーナリズムは永久に支配する」(オスカー・ワイルド)
「新聞を読まない人のほうが、読んでる人より正しく物事を認識できる。うそと偽りに心を奪われた人より真実に近い」(トーマス・ジェファーソン)
の2つの名言があったことと、私自身、このブログを書き始めて、数年、色々なことの裏づけの為に調べてていて、色々と政治家や企業そして世の中のできごとに対して非難めいたことを述べているジャーナリズムそのものが、「如何に、本当らしく、いい加減なことを結構多く伝えているか?」・・・といった疑問を最近は特に持つようになったこと、それは、私が愛読している「天声人語」を書いている社でも同じことであることは付け加えておこう。
もとの「はなし」話に戻るが、「はなし」を『広辞苑』で引くと、
①はなすこと。談話。浄瑠璃、女地獄油地獄「ーの内から腕もんで力みかけ」
②人と言葉をかわすこと。会話。「はなしがかみ合わない」
③聞いたこと。うわさ。「人のはなしによれば」
④相談ごと。「うまいはなし」「はなしに乗る」「はなしがまとまる」
⑤語られたわけ、事情。
⑥実際にはなくていってみるだけのこと。つくりごと。「おはなしにすぎない」
⑦「咄」「噺」とも書く。人に聞かせようとまとめた事柄。(ア)ものがたり。(イ)おとしばなし。(ロ)落語。
⑧ことの成り行きからみた、ある事。「ここで何もしないはなしはない」
と色々の意味に使われている。
①の浄瑠璃、女地獄油地獄「ーの内から腕もんで力みかけ」の「ー」部分の「はなし」では、「咄」の字が使われているようだ。(以下参考に記載の浄瑠璃「※女殺油地獄」参照)
ところで、この「咄」の字を、以下参考に記載の「日本語を読むための「漢字字典」」で調べてみると、
“【咄】は、「はなし」の意の国字とされることがあるが、咄嗟などの熟語を作る漢字であり、「はなし」は国訓である。『名義抄(観智院本)』に「アヤニク ヤ」とある。なお「噺」は国字である。“・・・とある。
又、“中国などにあることを知らずに作ったと考えられる文字〔「俥(くるま・じんりきしゃ)」・「閖(ゆり・しなたりくぼ)」・「鯏(あさり)」など〕や漢字に新たな意味を追加したもの〔「森(もり)」・「椿(つばき)」・「沖(おき)」など〕は、国字とは呼ばず、その訓に着目して 国訓と呼ばれる。”ともある。
つまり、「噺」という字は、【咄】とは異なり、漢字【咄】の字がある事を知っていて、その上で、漢字にならって日本で作られた独自の文字「国字(和製漢字)」のようである。
【咄】の元の読み「アヤニク ヤ」であるが、以下参考に記載の「PDD図書館管理番号:巌谷小波:作『羅生門』」を詠むと、「處が其晩は生憎(アヤニク)雨で」、「オヽ乳母(バ)<ア>(ヤ)か、久し振だつたなア。』と振り仮名がされているように、今では、「生憎」と書いて「あいにく」と読んではいるが、これは「アヤニクの転」で、“期待や目的にはずれて、都合のわるいさま。折わるく。”(【広辞苑】)と言った意味のようだ。
又、以下参考に記載の「●は行な」に、幕末の“喜多川守貞の『守貞漫稿』(近世風俗志)第三十二編には、「噺・咄、ともに、はなしと訓ず。話の俗字なり。近世、道具入怪談咄と号け、終始ともに婦女怨念等を咄し、終に高座背ょり幽霊の木偶等を出すこと行はる。又、昔咄と云ふは、虚実ともに実事の如く、或は小歌、或は役者声色を交へ、一日或は一夜に咄し終らず、数日数夜を次でし、咄し終ること行はる。落し咄は、滑稽専一なり。専ら前座落し咄、真は昔咄なり」”とある。もう少し引用させてもらうと、
単に、はなし【咄・噺】(名)は落語のことをいい。「はなしか」は落語家のことをいう。
嘲家は世上のあらで飯を食ひ
口で飯食ふは咄家・講釈師
『大坂穴探』(明治)寄席の条に、「落語家(はなしか)は此地に寄席の設けありてより以来(このかた)始めて出来たるものにして、其最も旨とする所は滑稽と猥褻となり。近来猥褻は違警罪に間はるゝの恐れあれば、稍や其醜を減じたるに似たりといへども、元来猥褻は落語家のいはゆる落語(はなし)の原質とも云ふべきものなれば、これを厳禁する時は殆んど其業を為す能はざるものの如し。殊に大坂は猥褻を喜ぶの風あれば、けだしこれを絶つと同時に落語家の寄席に往くものまた其跡を断つべし。さて又落語家の滑稽は言語に加ふるに動作を以てす。人情叢裡、素裸になり、諧謔おとがひを解き、醜体眠(まなこ)を汚すの挙動あるは、田舎は暫くこれを措き、大都会の大坂には感ずべからず。最もこれ人気の向く所にして、随って落語家も亦むしろ真味の譚(ものがたり)よりほんの一場の笑柄をよしとするに在りとするか。成程古昔は一分線香即席話とて、わづかの間に一落語(ひとばなし)を終りたりと云へば、けだし是れ落語家の本体に適ふものならんか。“・・・とある。「咄」の意味が良くわかって面白い。
このような「はなし」を聞くと、「天声人語」の解釈に、「咄」は口から出まかせのようにも見える。」とあるのも頷けるし、これに対して、口偏に新と書いた「噺」は、耳新しいニュースと言った意味合いから別に独自の和製漢字が作られたのだろうことも理解できる。普段は何気なく使っている「漢字」であるが「話」「咄」「噺」で使うときの意味合いが違ってくるというのが、日本語の面白いところであり、難しいところではある。最近流行のクイズ番組でも漢字が話題になっているが、この機会に「漢字」を少し勉強して見るのも良いいのでは・・・。
最後に右翼思想家でもあった三島由紀夫は、大儀のために死にたいと語り、楯の会会長として1970(昭和45)年に、自衛隊にクーデターを促し失敗、割腹自殺を遂げ世間を騒然とさせ(三島事件。)ことがあるが、以下で三島が放している「はなし」は、「話」?「咄」?「噺」?・・・?
YouTube - 三島由紀夫
http://www.youtube.com/watch?v=EwUhRRWOwjU
(画像は、女殺油地獄 [DVD]出演: 松田優作, 山崎努)
参考:
三島由紀夫 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%B3%B6%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%A4%AB
女殺油地獄 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E6%AE%BA%E6%B2%B9%E5%9C%B0%E7%8D%84
天声人語 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%A3%B0%E4%BA%BA%E8%AA%9E
asahi.com(朝日新聞社):天声人語3月18日
http://www.asahi.com/paper/column20090318.html
オスカー・ワイルド – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%89
オスカー・ワイルド 最初の現代人
http://www.geocities.jp/oscar_wilde_fansite/
Seven Mile Beach File/言語録
http://www.asahi-net.or.jp/~pu4i-aok/core/quotdata/quotj.htm
芸術家としての批評家/オスカー・ワイルド
http://www5b.biglobe.ne.jp/~michimar/book/017.htm
※女殺油地獄
http://sakiho.com/Japanese/bunraku/scripts/onnagoroshi.html
日本語を読むための「漢字字典」
http://ksbookshelf.com/nozomu-oohara/index.html
国字 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AD%97
類聚名義抄 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A1%9E%E8%81%9A%E5%90%8D%E7%BE%A9%E6%8A%84
『日本昔噺』(東洋文庫)
http://www.d1.dion.ne.jp/~ueda_nob/wildcat/nippon.html
巌谷小波 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%8C%E8%B0%B7%E5%B0%8F%E6%B3%A2
PDD図書館管理番号:巌谷小波:作『羅生門』
http://pddlib.v.wol.ne.jp/literature/sazanami/rashomon.txt
●は行な
http://www.eonet.ne.jp/~pilehead/osaka_word/text/honbunhana.htm
落語 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%BD%E8%AA%9E
Kobe Library Network Materials Search
https://www.lib.city.kobe.jp/opac/opacs/find_books?link=AA%3A0004999339&searchmode=allink&topage=1&topage_mag=1&topage_av=1
第91回 生涯現役講座記録
http://orange.zero.jp/hnw.boat/kph/kph-91/kph-91.html
●落語 らくご
http://www.tabiken.com/history/doc/T/T020R100.HTM
市場直次郎コレクション:咄本
http://www.dl.saga-u.ac.jp/OgiNabesima/ichiba.php?book=hanashibon
安楽庵策伝 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E6%A5%BD%E5%BA%B5%E7%AD%96%E4%BC%9D
●きのふはけふの物語
http://hwm6.gyao.ne.jp/shin1bb/waraibanasi/kinohuhakehuno.html
トーマス・ジェファーソン - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3