芭蕉
木曽の情雪や生えぬく春の草
半紙
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一昨日の「嶋中道則最終講義」で
嶋中先生が、黒板に書いて紹介していた芭蕉の句です。
元禄4年1月。義仲寺の草庵で詠んだ句。
「あの木曽の山中に雌伏して、ついに兵を起こし、
平氏の天下を覆した木曽義仲の心意気なのであろう。
春の草が雪にも負けず芽を出して生い出ているよ。」
という意味。(「日本古典文学全集」小学館)による。
実は、この句をぼくはあの講義で初めて知ったのでした。
義仲寺には、芭蕉の墓もあり、そこをずいぶん前に訪ねたこともあるのですが
芭蕉が木曽義仲に共感を寄せていたことに注意を払わなかった。
ぼくは「義仲の最期」が好きでたまらないのに
なんだかボンヤリしていたのです。
嶋中先生の講義で、
芭蕉が深く義仲に思いを寄せていたことを、はっきりと認識しました。
「学問」というものは
ものごとを
「何となく知っている」ではなくて、「はっきりと認識する」
ためにあるのかもしれません。
この句を書きながら
嶋中先生は、この「心意気」で今まで生きてきて
そして、最終講義でも、この「心意気」を伝えたかったのではないか。
これからの自分の人生に、「春の草」の力強い芽生えを重ねていたのではないかと
ふと思ったのでした。
嶋中先生の板書の写真をもう一度アップで。