かなしみて臘梅の香につきあたり
名取里美
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この句には、「悼 山口青邨先生」との「詞書」があります。
山口青邨先生は、名取さんの師。
師を失った悲しみの中で、臘梅(ロウバイ)の気高い香りにハッとさせられる。
師への思いが、臘梅の香りの中に、広がり、また凝縮する。
その緊張感が「つきあたり」の5文字によく出ています。
特に「つ・き」の音の厳しさが印象的です。
俳句は「一瞬」を詠む詩でしょうが、
この句には、その「一瞬」の中にある精神・感情の動きが、
見事に表現されています。
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久しぶりに「コラ書」の原点である
写真とのコラボです。