室生犀星
「凍えたる魚」全文
半紙
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詩集「青き魚を釣る人」所収の詩。
全文は以下の通り。
凍(こご)えたる魚(うお)
魚はたえなく水の深きにあり。
その青き泳ぎもみじめに
落葉のかげにひそみつつ
凍(こほ)れるごとく魚はうごかず。
水は硝子(がらす)のごとく澄みてはながれ
冬の日のかげさし入れど
わがこころ、むなしくたたずみ
かすかなる魚をうかがふ。
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詩の意味するところは曖昧ですが
イメージは、冷たく、透明です。
北陸の冬が、肌に感じられます。