名取里美
一匹の蟬に高まる蟬時雨
句集「家族」
45×10cm
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一匹の蟬の鳴き声につられるかのように
一段と蟬時雨が高まったという句。
属目の句のようでありながら
普遍性をもった、しかも、ユーモラスな句ですね。
大学時代、友人がバイトをしていた小学生相手の塾の合宿の
引率の手伝いをしたことがありした。
白樺湖だったかの湖畔の宿で
昼間は勉強をしたのですが、
ある夜、一人の子が「おかあさ〜ん」といって泣き出したと思ったら
部屋に寝ていたほとんど全員が泣き出してしまいました。
この句を読んだとき、
それをちょっと思い出しました。