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一日一書 1480 鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな・蕪村

2018-09-12 15:58:37 | 一日一書

 

蕪村

 

鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな

 

半紙

 

「句意」

野分が秋草をなびかせて吹き荒れる中を

軍装の武者五、六騎が一団となって鳥羽殿をさして次々と疾駆していった。

何か兵馬の変でも起こるのか、ただならぬ気配だ。

騎馬武者の去ったあとには、相変わらずすさまじい野分が吹きつのる。

 

「俳句の解釈と鑑賞事典」

 

 

蕪村の句は、物語的だとよく言われますが

この句などは典型的です。

「鳥羽殿」って何なのかを知らないと、まるで分かりません。

「鳥羽殿」というのは、京都の南、紀伊郡鳥羽(現在の京都府伏見区)に

白河・鳥羽両帝が造営した離宮のこと。

 

目の前に起きている出来事を題材にしているのではなくて

「保元物語」の記事を元に脚色してつくられていると言われています。

 

そういうつもりで読んでみると、

まるで映画のワンシーンのような句であることが分かります。

 

「五六騎」というのがいいですね。

こうやってぼかすことで、

「騎馬」のイメージが「ぶれている」かのようなイメージがわきます。

 

「野分」は、もちろん台風のこと。

今では、ただただ恐ろしい台風ですが、

こんなふうに描かれると、また格別な趣があります。

 

 

 

 

 

 

 

 


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