ドイツのバレエ団なのにドイツ人は何人いるんだ~、プリンシパルは皆無じゃないか~い、ってわりには、骨太なゲルマン気質が見えるような気がするのは、クランコ作品だからでしょうか。クランコも英国人だけどさ。
ルグリは念願のオネーギン役。これが、もう、似合いまくり。彼は王子様スマイルより、冷たい表情の方が素敵だ。キャリア終演間際に、似合う役を演じられて良かったねーーー。本人的により、ファン的に。
お話はプーシキン原作。タチヤーナは母や妹オリガなどとロシアの田舎に住む、本を読むのが好きな内向的な女の子。ある日、オリガの婚約者で詩人のレンスキーが友人を連れてくる。その友人・オネーギンはペテルブルクからやって来たのだ。都会的なハンサムな彼に、タチヤーナは恋し、彼への手紙をしたためる。実際に会う彼は、冷たい表情の持ち主だが、彼女の夢の中(妄想とも言うか)では、優しく微笑んでくれるのだ!乳母に手紙を渡してくれるよう頼むところで1幕終了。
一幕みどころ。
・ルグリが黒燕尾ですよ!くぅぅー。似合う。似合いすぎるよ。
・客演で、一人だけスタイルが違うルグリ。
その「浮き方」が、一人だけ都会人=異邦人=異質ってのに
マッチしています。冷たい表情が似合いまくりです。
・レンスキー。友人が「マラーホフがやったら似合いそうな踊り」と
言ってたけど、本当にそんなカンジ。
手足伸ばしたり~とかとか。衣装もね。
・コサック・ダンス等、ロシアの民族舞踏を
バレエ的に味付けしたところが、なかなか面白い。
・タチヤーナの寝室にて。鏡が謎だ。どうなっているのだ!
(ネタバラシを某所で読んで謎が氷解。なるほど!)
・上手から登場した乳母は下手にはけていくのに
再登場は上手からだった。部屋の作りも謎だ。
タチヤーナの誕生会が始まる。和気藹々な田舎貴族のダンスにオネーギンは加わりもせず、端の方で一人トランプゲームに興じている。人混みが切れたところでオネーギンはタチヤーナを呼び出し、彼女の恋心を拒む。都会派の大人な彼には、恋愛小説の世界に焦がれている田舎娘に興味など沸かないのだ。ちゃんと答えるだけ親切かも、と思っちゃいけない。拒み方がすごいのよ!タチヤーナの後ろから回り込んで、腕を回して、彼女の目の前で手紙を破くの!!うわー。容赦ないっす。タチヤーナ大ショック!さらにオネーギンは、オリガにちょっかいを出す。オリガも満更ではない様子。二人とも冗談のつもりだったが、レンスキーにはそうは見えない。レンスキーはオネーギンに決闘を申し込む。決闘の末、オネーギンは親友を撃ち殺す。
二幕みどころ。
・黒燕尾服だけでも嬉しいのに、二幕ではさらに白手袋付きですよ!
・一人遊びのオネーギン。全然楽しそうじゃないところが良いです。
・そして、手紙を破く。
これを観るだけでも金を払う価値があるってもんですな。
冷酷、とも、違うのよね。
・全然興味を持てない異性から熱烈に言い寄られたら
そりゃ迷惑だよな~、って、同感できる部分もあるよな。
・タチヤーナは、老人達にすごく優しいの。
良い子なんだよねえ。都会派には物足りないんだろうけど。
・グレーミン公爵、背が高いです。
お願い、ルグリの横には立たないで~~。
月日がたち、グレーミン公爵の舞踏会に招かれたオネーギン。虚無感は一層増しています。この虚無感、眠狂四郎の如し。そこで華やかなグレーミン公爵夫人を見ます。彼女こそ、かつてオネーギンが振ったタチヤーナなのです。
逃した魚は
大きかった・・・
大後悔し、「会いたい」とタチヤーナに手紙を書き、彼女の部屋へ赴く(公爵家なのに不用心!)。愛を乞うオネーギンだが、タチヤーナは踏みとどまり、永遠に自分の前から消えることを命ずる。
三幕みどころ。
・白手袋だけでも相当キているのに、三幕に至っては
ヒゲですよ!
鼻の下の八の字ヒゲ(ちょっと小振り)
私の心臓を止める気か~~。
ルグリのヒゲを拝めるなんて・・・。
似合う、似合うぞうっっ!
・舞踏会での虚無感も良かったですう。
一人、賑わいから背をそむけているんですよ!!
・タチヤーナにすがりつくとろこは、実に情熱的でした。
でも、許しを乞うんじゃないんだよね。
「俺のことが好きだって言ってたじゃないか」っていう
男の勝手な理屈なんですよね。
(*それだけの、単純な気持ちではないけれどさ)
ロシア文学だけど、クランコ振付なので、実にわかりやすかったです。あっというまの三幕でした。オネーギンも、ひどい男だけど、それだけで斬り捨てられないよね。少女時代のタチヤーナを愛せ、ってのムリな話だよね。タチヤーナの成長過程も良かったです。傷ついたことを、糧にできる人もいれば、そこで時間を止めてしまう人もいる。そういった人々の関わり合い、そしてすれ違いが、短い時間に濃縮に込められていました。主題は、アレですよね。
縁無き人 顔を合わせ すべもなく すれ違う
ルグリは膝がどうかと思ったけど、踊りの上で心配になる部分はありませんでした。難しいリフトも、ごく自然にこなしていました。技術よりもなによりも、「オネーギン」として舞台に存在していましたよね。こんな嫌な男を、こんな魅力的に演じるなんて・・・。彼にオネーギン役を振ってくれた人に(NBS?バレエ団側?)に大感謝です。
タチヤーナ役アイシュヴァルト以下は、ロシア系多し。それが物語の「ロシア文学」ぶりに貢献しているのかなあ。クランコ独特の腕や脚の直線の作り方は、似合っている人と、そうじゃない人がいたかな。感情表現ではなく、「反復の振付」になっちゃうところが一部ありました。アイシュヴァルトは一・二幕の少女振りも良かったのですが、三幕の「迷い」が良かったです。オネーギンに出て行け!と言った後の嘆きなどが、特に。でも時々、ああ、ハイデで観たかったなあ、と思うところあり。
群舞はちょっと足音が大きかったな。美術は地味に豪華でした。紗幕をうまく使い、暗転が殆どないのは舞台に集中できて良いね。マラーホフもコレを学べばいいのに・・・。鏡の使い方も面白かったな。ひとつ辛かったのが、紗幕に書かれている「E.O」の文字。わかっちゃいるけど、どーしても「キャプテンEO」を思い出しちゃうのよ・・・(涙)
ルグリは念願のオネーギン役。これが、もう、似合いまくり。彼は王子様スマイルより、冷たい表情の方が素敵だ。キャリア終演間際に、似合う役を演じられて良かったねーーー。本人的により、ファン的に。
お話はプーシキン原作。タチヤーナは母や妹オリガなどとロシアの田舎に住む、本を読むのが好きな内向的な女の子。ある日、オリガの婚約者で詩人のレンスキーが友人を連れてくる。その友人・オネーギンはペテルブルクからやって来たのだ。都会的なハンサムな彼に、タチヤーナは恋し、彼への手紙をしたためる。実際に会う彼は、冷たい表情の持ち主だが、彼女の夢の中(妄想とも言うか)では、優しく微笑んでくれるのだ!乳母に手紙を渡してくれるよう頼むところで1幕終了。

・ルグリが黒燕尾ですよ!くぅぅー。似合う。似合いすぎるよ。
・客演で、一人だけスタイルが違うルグリ。
その「浮き方」が、一人だけ都会人=異邦人=異質ってのに
マッチしています。冷たい表情が似合いまくりです。
・レンスキー。友人が「マラーホフがやったら似合いそうな踊り」と
言ってたけど、本当にそんなカンジ。
手足伸ばしたり~とかとか。衣装もね。
・コサック・ダンス等、ロシアの民族舞踏を
バレエ的に味付けしたところが、なかなか面白い。
・タチヤーナの寝室にて。鏡が謎だ。どうなっているのだ!
(ネタバラシを某所で読んで謎が氷解。なるほど!)
・上手から登場した乳母は下手にはけていくのに
再登場は上手からだった。部屋の作りも謎だ。
タチヤーナの誕生会が始まる。和気藹々な田舎貴族のダンスにオネーギンは加わりもせず、端の方で一人トランプゲームに興じている。人混みが切れたところでオネーギンはタチヤーナを呼び出し、彼女の恋心を拒む。都会派の大人な彼には、恋愛小説の世界に焦がれている田舎娘に興味など沸かないのだ。ちゃんと答えるだけ親切かも、と思っちゃいけない。拒み方がすごいのよ!タチヤーナの後ろから回り込んで、腕を回して、彼女の目の前で手紙を破くの!!うわー。容赦ないっす。タチヤーナ大ショック!さらにオネーギンは、オリガにちょっかいを出す。オリガも満更ではない様子。二人とも冗談のつもりだったが、レンスキーにはそうは見えない。レンスキーはオネーギンに決闘を申し込む。決闘の末、オネーギンは親友を撃ち殺す。

・黒燕尾服だけでも嬉しいのに、二幕ではさらに白手袋付きですよ!
・一人遊びのオネーギン。全然楽しそうじゃないところが良いです。
・そして、手紙を破く。
これを観るだけでも金を払う価値があるってもんですな。
冷酷、とも、違うのよね。
・全然興味を持てない異性から熱烈に言い寄られたら
そりゃ迷惑だよな~、って、同感できる部分もあるよな。
・タチヤーナは、老人達にすごく優しいの。
良い子なんだよねえ。都会派には物足りないんだろうけど。
・グレーミン公爵、背が高いです。
お願い、ルグリの横には立たないで~~。
月日がたち、グレーミン公爵の舞踏会に招かれたオネーギン。虚無感は一層増しています。この虚無感、眠狂四郎の如し。そこで華やかなグレーミン公爵夫人を見ます。彼女こそ、かつてオネーギンが振ったタチヤーナなのです。
逃した魚は
大きかった・・・
大後悔し、「会いたい」とタチヤーナに手紙を書き、彼女の部屋へ赴く(公爵家なのに不用心!)。愛を乞うオネーギンだが、タチヤーナは踏みとどまり、永遠に自分の前から消えることを命ずる。

・白手袋だけでも相当キているのに、三幕に至っては
ヒゲですよ!
鼻の下の八の字ヒゲ(ちょっと小振り)
私の心臓を止める気か~~。
ルグリのヒゲを拝めるなんて・・・。
似合う、似合うぞうっっ!
・舞踏会での虚無感も良かったですう。
一人、賑わいから背をそむけているんですよ!!
・タチヤーナにすがりつくとろこは、実に情熱的でした。
でも、許しを乞うんじゃないんだよね。
「俺のことが好きだって言ってたじゃないか」っていう
男の勝手な理屈なんですよね。
(*それだけの、単純な気持ちではないけれどさ)
ロシア文学だけど、クランコ振付なので、実にわかりやすかったです。あっというまの三幕でした。オネーギンも、ひどい男だけど、それだけで斬り捨てられないよね。少女時代のタチヤーナを愛せ、ってのムリな話だよね。タチヤーナの成長過程も良かったです。傷ついたことを、糧にできる人もいれば、そこで時間を止めてしまう人もいる。そういった人々の関わり合い、そしてすれ違いが、短い時間に濃縮に込められていました。主題は、アレですよね。

ルグリは膝がどうかと思ったけど、踊りの上で心配になる部分はありませんでした。難しいリフトも、ごく自然にこなしていました。技術よりもなによりも、「オネーギン」として舞台に存在していましたよね。こんな嫌な男を、こんな魅力的に演じるなんて・・・。彼にオネーギン役を振ってくれた人に(NBS?バレエ団側?)に大感謝です。
タチヤーナ役アイシュヴァルト以下は、ロシア系多し。それが物語の「ロシア文学」ぶりに貢献しているのかなあ。クランコ独特の腕や脚の直線の作り方は、似合っている人と、そうじゃない人がいたかな。感情表現ではなく、「反復の振付」になっちゃうところが一部ありました。アイシュヴァルトは一・二幕の少女振りも良かったのですが、三幕の「迷い」が良かったです。オネーギンに出て行け!と言った後の嘆きなどが、特に。でも時々、ああ、ハイデで観たかったなあ、と思うところあり。
群舞はちょっと足音が大きかったな。美術は地味に豪華でした。紗幕をうまく使い、暗転が殆どないのは舞台に集中できて良いね。マラーホフもコレを学べばいいのに・・・。鏡の使い方も面白かったな。ひとつ辛かったのが、紗幕に書かれている「E.O」の文字。わかっちゃいるけど、どーしても「キャプテンEO」を思い出しちゃうのよ・・・(涙)