きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「レディ・ベス」

2014年04月19日 | 宝塚・劇団四季以外の舞台(落語含む)
エリザベスI世の若かりし頃を描いた作品。
田舎で育ち、姉に幽閉され、姉の死で玉座に登る。
描きたいことはわかるけど、
事前に見たあらすじからイメージした以上の話はあまり無かった。

ナポレオンと同じく「いただいた曲」を消化するだけで精一杯なかんじがするな。
ハナちゃんが姫役者だから納得させられるけど、脚本は弱い。
男装して庶民を見ても活かされてはいないような気がする。

自由に話を作ろうと頑張った1幕に比べると、
2幕は史実との整合に四苦八苦なかんじ。
姉妹の和解が唐突だった。
女性として自由な人生と、
王女の義務を対比させたいのはわかるけど、
「淫売」と呼ばれた女の娘が、
未婚であるにも関わらず、
男をベッドに引っ張りこんだらまずいだろう。

フェリペはなぜベスをああまで助けるのか。
美人だからだと言っても見返りなしの無償の愛だとしたら、
ロビンより健気だ。
ベスをメアリーの後釜にとか、などの陰謀が無いのはおかしいよね。
後にベスが彼の無敵艦隊を破ることを思うと、
便利屋以外の立場が欲しいな。
ここでベスを助けなければ、のIFがもう少し欲しいよね。

かなめさんとハマコが大迫力。
マルちゃんの役は要るのか?
進行役というほどじゃないし。
アン・ブーリンの出番が何気に多い。
ベスが母の無実がわかるのは
自身も投獄されてからなので
それまでの幽霊の忠告はあんまり意味が無かったような。

ロビンは育三郎だったんだけど、
爽やかな風貌で綺麗な歌声ではあるものの、
深みのない演技なので、
ベスが義務のために彼を切り捨てても
ベスが悪く見えないのは良かった。
加藤くんならどうなのかね。
作品としてはイマイチだけどWのもう片方が
ちょっぴり見たいな。
どちらにしても、考えなくベッドから飛び出して
ベスを危険な目に合わす馬鹿なのは
変わりなさそうだけど。

ハマコは黒子を取ったのか?

なんだかいろいろ思うところはあるけど、
最後は花總女帝陛下に皆が跪いたから、まあいいや、と思いました。
こんな納得は平野さんでも発生するのかな。
音楽はリーヴァイさんなんだよね。
馴染みのあるメロディラインからか、
花總エリザのプレビューにも見えなくもなく。

もとの脚本はもっと長くて
イケコが削りに削って日本人にもわかりやすい話にしたらしいけど、
もうちょい、なにか山場が欲しかったかなあ。
ロミジュリもどきの場面は山場じゃないよね。


【主な配役】
レディ・ベス:花總まり
ロビン・ブレイク:山崎育三郎
メアー・チューダー:未来優希
フェリペ:平方元基
アン・ブーリン:和音美桜
シモン・ルナール:吉野圭吾
ガーディナー:石川禅
ロジャー・アスカム:石丸幹二
キャット・アシュリー:涼風真世
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「心中・恋の大和路」宝塚雪組

2014年04月19日 | 宝塚(雪組)
テンポが良くてわかりやすくて面白かった。
(心中物に「面白い」と書くのはどうかと思ったけど
 チケット代分以上に堪能できたということです)

景子ちゃんの心中ありきより、話の流れが自然。
谷先生は原作ありだと上手いんだよね。

1幕前半では店の者に「預かり金に手を出すな」と諭す理性は残っていたのに、
惚れた女のために自ら封を切る。
遊び人の中にも、男の意地と女への恋心はある。
そのバランスがとても良かった。
上から目線なのに自ら身を滅ぼすって、えりたんに似合いすぎる。
ゾクゾクするわ。
あゆっちの梅川は、正直なところ
遊女の色香はかなり乏しい。
かもん太夫の聡さに比べると、
おつむの方もちょっと・・・、と思う。
けど、その裏のない単純さに男が惚れたとすれば
なんだか納得できる。
ひたすら男を恋う心がいじらしい。

孫右衛門が、最初は道を誤らせた女への憎しみが隠せないのに
最後は手を取ったり、
八右衛門が「ご新造さん」と呼んだり、
みな2人の気持を汲んでる。
でも許されないことなんだよな。
あの結末だから観客も罪人を許せるのかね。

白塗り世界とアップテンポの曲が違和感ない。
これぞヅカ。

えりたん、まっつは勿論上手いけど、
下級生まで所作が決まっている。
まゆみ姐さんがちょっと華やかすぎるかなあ。

せしこも上手かったな。
艶やかで、着物の捌き方が綺麗。
ホタテの芝居も上手い。

まっつはもちろん、言うこと無し。
最後の歌は、涙。

舞台美術も簡素なのに情景が目に浮かぶ。

雪の中で果てるのはヅカのオリジナルかな。
清い世界だね。
ハリウッド映画なら山を降りて新天地でハッピーエンドだよね。
そうならないのが、いいのだ。

芝居が終わった後も、一同並んでの礼はなし。
2人の世界で終わるのは珍しいけど
絶対この方が良いね。

逃亡の始めの頃、2人の着物が黒い頃、
あゆっちがえりたんの背中に乗り損ねて
「ごめんやす」のように、はんなりと謝っていたのが可愛かった。


【配役】
亀屋忠兵衛:壮 一帆
梅川:愛加 あゆ

孫右衛門:汝鳥 伶
妙閑:五峰 亜季
丹波屋八右衛門:未涼 亜希
かもん太夫:大湖 せしる
宿衆・藤屋(古手買):香綾 しずる
宿衆・角屋(節季候):朝風 れい
宿衆・丸十(傀儡師):透真 かずき
宿衆・伊勢屋(巡礼男):央雅 光希
遊女・鳴渡瀬:透水 さらさ
宿衆・もず屋(巡礼女):大澄 れい
遊女・千代歳:桃花 ひな
番頭・伊兵衛/忠三郎:帆風 成海
女将・お清:舞園 るり
宿衆・嶋屋(飴屋):久城 あす
女中・おまん:天舞音 さら
遣手・おたつ:杏野 このみ
女房・おかね:愛 すみれ
手代・与平:月城 かなと
丁稚・三太:真地 佑果
丁稚・庄介:永久輝 せあ
若侍・甚内:叶 ゆうり
幇間:真條 まから
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